第8話劇中歌「ゆえに背脂は輝く」のイメージは軍歌? 歌唱しながら「何を歌っているんだろう」『アキバ冥途戦争』なごみ役・近藤玲奈さん&嵐子役・佐藤利奈さん&ゆめち役・田中美海さん&主題歌・挿入歌 音楽プロデュース・佐藤宏次さん 音楽座談会【連載第9回】
CygamesとP.A.WORKSのタッグで贈る新作オリジナルTVアニメ『アキバ冥途戦争』が2022年10月6日(水)より放送中です。
第8話はまさかの野球で勝負!? 第7話で愛美を失い、ケダモノランドがメイドリアンを丸呑みする吸収合併となり、アキバの生態系に大きな変化が見られました。メイドリアングループは事実上消滅したものの、わだかまりは残ります。
そこで愛美のトレードマークである赤バット=野球でカタをつけることになりました。表向きは親善試合なものの、実情は己のプライドを賭けた戦い。「過去のわだかまりを汗で流す…メイドとしてこんな平和な解決法はありません!」と張り切るなごみ。
右往左往しながらも勝利を手にしたとんとことんは「ゆえに背脂は輝く」を斉唱。一方、試合後に改めて顔を合わせることになった嵐子と凪は……。
インタビュー連載第9回は、和平なごみ役の近藤玲奈さん、万年嵐子役の佐藤利奈さん、ゆめち役の田中美海さん、本作の歌モノの音楽制作を担っているSCOOP MUSIC 佐藤宏次さんが登場。第8話を振り返りながら、これまでの劇中歌、OP&EDテーマのお話を伺いました。1万字超えのロングインタビューをどうぞお楽しみくださいだブー!
第8話の劇中歌は歌唱しながら「何を歌っているんだろう」
――今回の連載インタビューにはSCOOP MUSICの佐藤さんにお越しいただいております。まずは佐藤さんがどのようなポジションで本作に携わられているかを教えてください。
音楽担当・佐藤宏次さん(以下、佐藤(宏)):OP&EDテーマ、挿入歌のプロデュースを担当しました。劇伴は池頼広さんがいらっしゃるので、歌モノだけ僕が担っています。ざっくりとした説明ですけど(笑)。キャストの皆さんとは、歌の部分でお話をさせてもらったり、録らせてもらったりした関係性です。
――第8話では「ゆえに背脂は輝く」が挿入歌として起用されていました。軍歌のような、すごい曲でしたね……。
佐藤(宏):あれは本当にわけがわからない曲ですね(笑)。勢いで作家の山下洋介に曲を書いてもらい、作詞の古屋真にその流れで歌詞をお願いしました(笑)。
本編で使用されたパターンはアフレコで演技の延長で録っていたので、私は立ち会ってないんですよ。後日「本編はみんな泣きながら歌っている」という情報だけを聞いて、「泣きながら、ですか!?」と衝撃を受けました(笑)。
その後、改めて私もアフレコスタジオの方に伺わせていただいて真面目なパターンとしてフルサイズ分を収録しました。
楽曲自体は球場の雰囲気を出しつつ、みんなで歌っている感じにしたいなと思っていました。まるでどこかの校歌の如くピアノ一本であまり豪華にならないように作ってもらいました。
和平なごみ役・近藤玲奈さん(以下、近藤):嬉し泣きしながら歌唱するものと、真面目にちゃんと歌っているものとの2パターンを録ったんです。私は高垣さん、佐藤(利奈)さんと一緒に3人で録りました。軍歌を歌っているような気持ちでしたね(笑)。
万年嵐子役・佐藤利奈さん(以下、佐藤(利)):そう、アフレコの延長線という感じで。絵に合わせてみんなで楽しく録っています。
近藤:家で練習したんですけど、途中で「何を歌っているんだろう……」と、はっと我に返る瞬間がありました(笑)。歌詞がぶっ飛んでいてすごく面白くて。
ゆめち役・田中美海さん(以下、田中):天才!と思いました(笑)。真面目なパターンも録って。「軍隊のような感じで歌ってください」というディレクションを受けたんです。だから張り切って、拳を振りながら激しく歌いました。
佐藤(宏):真面目に歌っているパターンでは、店長(高垣彩陽さん)が前に出て、拳を振って歌っていましたから(笑)。店長の気合いがすごくて。3人での収録だったので、音のバランスを取るために「すみません、高垣さん一歩下がってもらっていいですか」と言った記憶があります(笑)。
田中:声量の問題で(笑)。私は(ゾーヤ役の)ジェーニャさんとふたりで録ったんですけど、ジェーニャさんは「もっと巻き舌を入れていいよ。ラ行は全部巻き舌で」って言われていました(笑)。
ゆめちはゆめちで「お客さんの前での、ゆめちバージョンも録りましょう」と、いろいろなパターンを録りました。ブヒブヒとめちゃくちゃ言ってるから「今どこだっけ?」となることも(笑)。
佐藤(利):あんなにブヒブヒ言うことなかなかないよね(笑)。
田中:生きていて絶対にありません(笑)。だからだんだん楽しくなっていきました。
佐藤(宏):あんなに真面目に、みんながブヒブヒ言うってすごいことですよ。声優さんたちに何を歌わせているんだ、っていう。申し訳ない(笑)。
佐藤(利):でも楽しかったですよ。「これ、第8話の挿入歌です」と渡されたときは「これは一体何なんだろう?」と思いましたけども(笑)。
佐藤(宏):大体そのパターンでしょうね(笑)。
佐藤(利):そうしたら3番まで作ってあって。アフレコスタジオで録った後、フルでレコーディングしました。
――え、あの曲は3番まであるんですか!?(笑)
佐藤(利):そうなんですよ、「なんなのこの人たち」と良い意味で思っていました(笑)。ここまで本気でやってくださる制作陣が「すごい」と。だって、1回で録れたら時間もかからないわけじゃないですか。でも「劇中で歌っているものとはまた違うので」と、歌い方についてもご提案いただいて、一緒に作っている感じが嬉しかったです。
近藤:(宣伝Pに向かって)あの曲、音源化される予定なんですかね……?
宣伝P:なにかしらの形で出したいなと思っています。
田中:カオスだ(笑)。