『アキバ冥途戦争』は心の葛藤を呼び起こしてくれる、ハードな道徳の教科書――近藤玲奈さん、佐藤利奈さん、田中美海さん、黒沢ともよさん、ジェーニャさん、高垣彩陽さんが思いの丈を語る【連載第13回】
『アキバ冥途戦争』はハードな道徳の教科書
──放送終了後の今だから明かせるエピソードはありますか?
田中:以前(第9回)のインタビューでもお話したんですが……実は第1話のゆめちの劇中歌「純情メイドぶっころ主KISS」は最初のキーがもっと低くて。
一同:へええ!
田中:アフレコよりもレコーディングが先だったので「ゆめちってどう歌うのかな?」と思っていて。で、当日はキーを半音上げて歌ったんです。仮歌をずっと聴いていたので最初は違和感があって、「大丈夫かな?」と思っていたんですけど、第1話のアフレコのVにゆめちの歌が入っていたので、それを皆さん聴いてくださっていて。利奈さんも「すごい可愛い〜」って言ってくださったことがすごく嬉しかったです。めっちゃ安心しました(笑)。そのあとのOPテーマも無事にレコーディングできました。
ジェーニャ:OPテーマの映像もすっごく可愛くて、泣いてしまいました! もしかしたらそれが一番感動したかもしれない(笑)。自分のキャラクターが踊って、みんなと並んでいる光景を経験したことがなかったからすっごく嬉しかった。真面目な話だけど、可愛い映像から生まれるギャップも良いなって思いました。
高垣:それで言うと……実はOPテーマに参加するのはメイドたちだけの予定だったんです。店長は入っていなくて。
──連載第2回で佐藤さんからお伺いしてびっくりしました! 参加にあたってはどのような経緯があったのでしょうか?
高垣:第1話のアフレコのときに、「メイド大回転」の仮歌が入っていたんですよね。それを見て、近くにいた宣伝プロデューサーさんに「あれはとんとことんのメイドのみんなが歌うんですか?」って聞いたら「そうです」とおっしゃっていたので「店長も掛け声やりますよ!」って(笑)。そうしたら事務所から「高垣さん、OPテーマの仕事が入りました」と。
一同:(笑)
高垣:それで急遽、店長が参加することになりました。掛け声だけじゃなく、2番は店長のパートがあったり、コーラスでも参加しています(笑)。
佐藤:そうそう、「じゃあ作りましょう」って急遽付け足したんだよね。
高垣:「言ってみるもんだな」と思いました。店長はとんとことんではプレイヤーじゃないのに参加させていただいて。(宣伝プロデューサーに向かって)その節はありがとうございました(笑)。
宣伝P:こちらこそありがとうございました(笑)。
高垣:ゴリ押しました! それは今だからこそ話せることかな(笑)。
宣伝P:その繋がりで一点だけ……皆さんにお渡しした現段階の映像には入っていませんが、第1話〜第3話のOP映像はゾーヤにモザイクが掛かっています(インタビューはアニメ放送前)。
一同:えーっっ!!!!!!
黒沢:面白すぎる……!
佐藤:知らなかった(笑)。
ジェーニャ:とんとことんに加入してから初めてゾーヤが分かるってことですね(笑)。「メイド大回転」の収録の時、ディレクターさんに「もっと訛って! もっと訛って!」って言われたんです(笑)。「日本語が上手すぎるから、外国人風に歌って」と。喋ってるときは訛りが出やすいんですけど、歌になると普通に日本語のイントネーションになるんですよ。だから日本語になってないくらい訛ってます。
近藤:(小さく手を上げて)私からもいいですか……?
──ぜひ!
近藤:最終回のラーメンの場面……。実際にラーメンを食べながら録ったんです。
高垣:動画見た(笑)。
──えっ、ラーメン!? しかも動画!(笑)
高垣:利奈さんがとんとことんのグループLINEにその時の収録中の動画を送ってくれて(笑)。「なごみ、ラーメン頑張ってます」って。ラーメンをすすっては出し、すすっては出し(笑)。
近藤:本当にお見苦しいところをお見せしました(笑)。
高垣:あれってスタッフさんが用意してくれてたの?
近藤:台本を読んだときに「これ、ラーメンを実際にすすったほうがいいのかな?」と思って、事前にマネージャーさんを通して連絡していたんです。そうしたら当日、カップラーメンをいくつか用意してくださっていて。「何味がいいですか?」「じゃあシーフードヌードルで」と……。
一同:(笑)
佐藤:シュールだったね……! アフレコスタジオにラーメンがあるのは初めて見たかもしれない(笑)。
高垣:めっちゃ良い裏話だね(笑)。実際にシーフードヌードルを食べてたんだっていう。
近藤:アフレコが始まる前に作っていただいたので、麺が伸びまくってて、カップ一杯になっていたんですよ。吐き出してしまうとカップの外に出てしまうので、紙皿を用意していただいて、そこにラーメンを移して分量を調節して(笑)。本編の最後に録ったんです。
一同:(笑)
高垣:あそこは良いシーンだったよね。収録の様子を知ってたので、本編映像を見たときに「ここは本当に吐き出していたんだ」と(笑)。
近藤:あそこまでカップ麺を吐き出したのは初めてでした。
黒沢:抵抗あるよね(笑)。
ジェーニャ:1回でオッケーだったの?
近藤:2テイクくらいでした。めちゃくちゃ汚いバージョンと、綺麗なバージョンをやりました。
田中:あれは本当に食べてるんだ、と思ったらまた違う印象があるかもしれませんね(笑)。
佐藤:それこそ、トマトジュースも飲んだからね。「もうちょっと綺麗に飲んでください」って言われた記憶があります(笑)。
高垣:マイク前でトマトジュースを吹き出したら大変なことになっちゃいますからね(笑)。他の飲み物でも良かったはずなんですけど、スタッフさんが「今日、トマトジュースありますよ」って。私は利奈さんがご自身のお洋服にこぼさないか心配でちょっとハラハラしました(笑)。ちなみに! 最終回の差し入れはトマトジュースと、ブタの形のドーナツでした(笑)。スタッフさんのサポートも粋だなと。
ジェーニャ:私は彩陽さんの鯉の声がお腹いたくなるくらい笑った!
高垣:(第9話の釣り堀のシーンで)兼役で鯉もやったんだよね(笑)。音響監督の飯田(里樹)さんに試されているなと思いました。あと増井監督も楽しそうにOKを出してくださって。
ジェーニャ:監督がその時に「今までで一番好きなシーンだ」と言ってました(笑)。
高垣:嬉しかった! でも、その後更新されているとは思いますけどね(笑)。
ジェーニャ:その時、アフレコ現場に(取り立て屋役の)内山昂輝さんがいて。一緒に笑いをこらえていました(笑)。
──そして、あっという間にインタビューの終わりの時間が来てしまって……なんだか寂しいです。
ジェーニャ:あっという間でしたね。この連載インタビューもずっと笑って話してきたけど、今日はみんな思い切って話している気がするし、みんなちょっとシュンとしてる気がする。私は(取材前に)完成したものを一気に見たので気持ちが全然収まらない(笑)。どうしても溢れてしまいますね。
──ではそのあふれる気持ちを最後に近藤さん、まとめてもらえますか?
近藤:えっと……多くは語りませんが『アキバ冥途戦争』はものすごく真面目なお仕事アニメです!
一同:(笑)
近藤:自分を見つめ直す機会として、この作品を愛してくれたらいいなと個人的には思います。好きで始めたメイドが、目の前の欲望、誘惑によって戦うことが目的になってしまう。そういうことって自分にもありますし、どのお仕事をしている人にも当てはまると思うんです。好きで始めたはずが、義務感になっていたり、揺らいでしまったり。そんな心の葛藤を呼び起こさせてくれる作品ですし、本当に多くの人に見ていただきたいです。私としては、すごくハードな道徳の教科書だと思っています。
佐藤:良いワードだ!
一同:(拍手)
佐藤:なごみちゃんがいることですべて緩和されますから。臆することなく、これからも見るがよろしいです!(笑)
[インタビュー・逆井マリ]
連載バックナンバー
TVアニメ「アキバ冥途戦争」作品情報
2022年10月6日(木)~TOKYO MXほかにて放送
放送情報
TOKYO MX・サンテレビ・KBS京都・BS11
10月6日より 毎週木曜 24:00~ 放送開始
AT-X
10月7日より 毎週金曜 21:30~ 放送開始
リピート放送:毎週火曜9:30~ 毎週木曜15:30~
配信情報
ABEMA:10月6日より 毎週木曜 24:00~
dアニメストア:10月9日より 毎週日曜 24:00~
ほか 各配信プラットフォームにて 10月12日(水) 24:00以降、 順次配信予定!
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スタッフ
原作:ケダモノランド経営戦略室
監督:増井 壮一
シリーズ構成:比企 能博
キャラクターデザイン・総作画監督:仁井 学
美術監督:本田 こうへい
美術設定:伊良波 理沙
色彩設計:中野 尚美
プロップ設定:入江 健司、 鍋田 香代子
撮影監督:石黒 瑠美
3D監督:小川 耕平
特殊効果:村上 正博
編集:高橋 歩
音楽:池 頼広
音楽制作:Cygames
音響監督:飯田 里樹
音響効果:中野 勝博
音響制作:dugout
アニメーション制作:P.A.WORKS
キャスト
和平なごみ:近藤玲奈
万年嵐子:佐藤利奈
ゆめち:田中美海
しぃぽん:黒沢ともよ
ゾーヤ:ジェーニャ
店長:高垣彩陽