WOWOWオリジナルアニメ『火狩りの王』明楽役&EDテーマ担当 坂本真綾さんインタビュー|「未来に生きる子どもたちへ希望を与えられるような音楽を届けたい」【連載6回】
明楽はとても感情移入がしやすかった
ーー演じられている明楽について、坂本さんご自身「登場人物の中でもすごく好きだった」と。どういったところに魅力を感じていますか?
坂本:明楽はとても感情移入がしやすかったんです。『火狩りの王』は児童書として出版されているため、灯子や煌四のような少年少女の視点で読む方も多くいると思います。けれど、私にとっては大人になってから読んでいる作品なので、彼ら(灯子・煌四)の視点で読むことはできなくて、どうしても見守る側の目線になってしまいます。そんな中、明楽は一人の女性として素敵だったことから、身近に感じられる存在でした。
とても強いキャラクターとして登場するから、最初は「味方なのか、敵なのか、どっちなんだろう」とも思いましたけど、知れば知るほど情に厚く、頭が良く、勇気があり、はつらつとした元気な女性です。この時代に生まれたことで家族を失い、寂しい気持ちを抱えながら、戦わざるを得ない状況に置かれていますが、時代が違えば好きな仕事をしながら自己表現ができたのだろうなと。そういう面も含めてすごく好きな登場人物です。
ーーそんな明楽を演じる上で意識したことはありましたか?
坂本:明楽の年齢感を20代前半とイメージしていて、私の実年齢からは20歳くらい違うんですよね。だからといって年齢的に若づくりをしたつもりはなかったのですが、最初のアフレコの時に音響監督の若林(和弘)さんから「ちょっと若づくりしていない?」と言われまして(笑)。
ーーへぇ……!
坂本:自分で意識したつもりはなかったものの、はつらつとし過ぎてしまったのかもしれません。それは私が小説を読んで「普通の女の子だけど、こんな状況だから戦っている」と明楽に対して思っていたからなんですよね。でも、明楽は大変な状況を生き抜いてきた人で、年齢の割に経験も豊富です。そのため、「どっしりとした貫禄があってもいい。もっと強さが全面に出ていい」と若林さんの演出の中で気づき、変えていった部分です。
ほかにも、若林さんからは「考えて言葉を選んで話しているよりは、反射的に思ったことを臆面なく言う雰囲気が欲しい」とも言われました。悪気なく思ったことをズバズバと口に出してしまうところも明楽のいいところです。だから、灯子に対しても、灯子以外の人に対しても、話す時は態度を変えることなく、いつも明楽らしさがあるように演じました。