ゲームやアニメの魅力を原作者 田中靖規先生が語る! 「サマータイムレンダ Another Horizon」発売記念 スペシャルインタビュー
アニメ完結で「完成したな」
――アニメが完結しましたが、最終回を迎えての心境やアニメ化に関わられた際のご苦労や作品作りの上で気づいたことはございますか?
田中:終わったというか、個人的には「完成したな」というのが正直な感想です。僕自身がわりと関わったので、とても感慨深いですね。最も大変だったのは、キャストさんも仰っていたと思いますが、和歌山弁の特有の訛りですね。精一杯、役作りしてきてくれているのは分かるんですが、イントネーションが少しでも違うとこちらも指摘せざるを得ない。ただ、回を重ねるごとに皆さん上手くなってくださって、本当に嬉しかったです。
なかでも印象深かったのは、(主人公・網代慎平役の)花江夏樹さんですね。方言指導役のカイホリ(ショータ)さんのガイド音声を自分で編集し、それを収録当日に音声さんに渡して自分のセリフより前に流してもらう。2秒先の声を追って演じるという、ある意味リアル竜之介状態で。本当に凄いなと思いました。たしか、第14話「to be/not to be」で、慎平が体育館でみんなの前で心境を吐露する場面だったと思います。セリフが長尺ですし、演技と方言が高いレベルで成立していないといけない場面で、見事に演じてくださいました。
――スピンオフコミック『サマータイムレンダ2026 未然事故物件』を描かれました。作品では、様々な魅力的なキャラクターがいますが、ひづる、波稲をメインにした話を思いついたきっかけのようなものはございましたか?
田中:『サマータイムレンダ2026 未然事故物件』に関しては、まず「TVアニメが始まるから読み切りを描いてほしい」という話がありました。ひづる、波稲をメインにした理由は自然です。僕が『サマータイムレンダ』で2人を描ききれていない、もっと見たいという感覚があったんですよ。本編ではあまりにも酷い出会いをしてしまいましたが、2人は絶対に友達になれただろうと。だから自然と波稲を上京されるという話が僕の中に降ってきて、じゃあまず物件を探すだろう、一緒にいるのはひづるだろう、なにか起きるなら事故物件かなという感じで話が出来上がっていきました。
――アニメ化にあたり、田中先生の想像を超えた演出をされたシーンなど、「ここが見所!」というものがありましたら教えて下さい。
田中:もちろんすべてが見所なんですが、挙げるとすると”音や声の演出”ですね。漫画でもセリフ回しやコマ割りで動いているように見せることはできますが、音や声はどうやっても乗せられません。シーンやキャラの表情、感情などと合致したタイミングで響く音、演出は本当に素晴らしかったです。音響監督の小泉紀介さんも仰っていましたが、徹底的にこだわりを持って音を当ててくださいました。
具体的に挙げると第3話「漂着」の特殊エンディングやラストバトルですかね。ラストバトルに関しては、どこでOPテーマを流すか。かなり四苦八苦したとお聞きしましたが、最高のタイミングだったと思います。ほかにも、第24話「Summertime re-rendering」のラストで、時を超えた潮が慎平に瞳をプレゼントしたり、ひづるのスマホにメッセージを吹き込むシーンは、本来原作ではセリフがありました。しかし、アニメでは音楽と演出のみという魅せ方をしていて、本当に素晴らしかったです。
ストーリーの順番は前後しますが、第20話「All is (not) lost.」ラストのひづるの回想シーンも。あのシーンで流れる音楽が最高なんですよね。ああいうことやられちゃうと、漫画を超えていってしまいますよ(笑)。悔しいですね。
――以前「アニメイトタイムズ」の企画で、ゲームを開発したMAGES.のエグゼクティブプロデューサー・志倉千代丸氏と対談されましたが、ご感想をお聞かせください。
田中:お会いできて本当に光栄でした。実は僕が好きだとお伝えした、志倉さん著者の『Occultic;Nine -オカルティック・ナイン-』のアニメDVDを、後日全巻頂いたんですよ。すぐに全話見させて頂いたんですが、テンポが良くてとても面白かったです。DVDのブックレットで知ったんですが、会話のテンポ感を堤幸彦監督のTVドラマ『SPEC〜警視庁公安部公安第五課未詳事件特別対策係事件簿〜』を参考にされたらしくて。僕も『SPEC』が大好きなので、まさにドンピシャでした。
ちなみにアニメ全話視聴後、LINEで志倉さんに長文の感想メールを送らせて頂きました。すると、志倉さんからも長文が返ってきてという嬉しい体験がありました(笑)。
――最後に、ゲームをプレイする方に一言お願い致します。
田中:ぜひ、物語が分岐する楽しさを堪能して頂ければと思います。ゲームで初めて『サマータイムレンダ』に触れるという方にとっても、いい入り口だと思っています。もし気に入って頂けたのなら、原作の漫画やアニメをぜひご覧になって頂けると嬉しいです。
――ありがとうございました。
ライター:長戸勲
インタビュー協力:逆井マリ
田中靖規先生の仕事場
「サマータイムレンダ」のスタンディや、キャストのサイン入りポスターなどが飾られている。デスクのまわりには、先生直筆の設定画やネームが。
田中先生直筆「小弓場かおり設定画」
田中靖規先生デザインのオリジナルキャラクター・小弓場かおり(CV:小倉唯)設定画
サマータイムレンダ Another Horizon
ジャンル:タイムリープADV
対応機種:Nintendo Switch™PlayStation®4
発売日:2023年1月26日(木)
価格:
通常版:8,580円(税込)
限定版:11,880円(税込)
ダウンロード版:7,700円(税込)
CERO:C(15才以上対象)
ボイス:フルボイス ※網代慎平はパートボイス
限定版特典:公式攻略本『サマータイムレンダ Another Horizon シークレットブック』(全64P)
《収録内容》
キャラクター設定
攻略フローチャート
背景ギャラリー
原作者・田中靖規先生 スペシャルインタビュー
音楽CD『サマータイムレンダ Another Horizon ゲームオリジナルサウンドトラック』
《収録内容》
ゲームで使用されたBGM全曲
オープニングテーマ「燈火 (Game size ver.)」歌:亜咲花
エンディングテーマ「さかいめだらけ (Game size ver.)」歌:cadode
公式サイト:https://summertimerendering.mages.co.jp/
公式ツイッター:https://twitter.com/summertime_adv
《キャスト》
網代 慎平:花江 夏樹
小舟 潮:永瀬 アンナ
小舟 澪:白砂 沙帆
南方 ひづる:日笠 陽子
菱形 窓:小野 賢章
菱形 朱鷺子:河瀬 茉希
凸村 哲:上田 燿司
ハイネ:久野 美咲
小弓場 かおり:小倉 唯
南方 竜之介:三瓶 由布子 他
《STORY》
網代慎平は、幼馴染の小舟潮の葬儀に参列するため、故郷の「日都ヶ島」へ2年ぶりに帰郷した。
潮の妹の澪やなじみの友人の窓と再会する中で、潮の不可解な死因や島に古くから伝わる「影の病」の伝承に触れる。
影の伝承――それは、自分と同じ姿の「影」を見たものは死ぬ。というもの。
そして潮は、その影を見ていたという。
慎平達につきまとう死の影。やがて日都ヶ島に訪れる絶望の日。
「どうすれば、仲間を救えるか、島の皆を守れるか、死を回避できるか……」
慎平は絶望を回避するために、常に思考と選択を強いられるが、それはどれも新たな絶望への入り口でしかないのかもしれない。
しかし、考える事、選択することを止めるわけにはいかない。
絶望の三日間を超えるために……。
(C)田中靖規/集英社・サマータイムレンダ製作委員会 (C)MAGES.
(C)MAGES./Chiyo St. Inc.