落ちこぼれスパイの少女7人が完璧スパイの教官と、その先に待つ「不可能任務」に挑む! 冬アニメ『スパイ教室』グレーテ役 伊藤美来さん×ジビア役 東山奈央さんインタビュー|シリアスさとコミカルさを兼ね備え、トリックやどんでん返しが魅力
凛として大人っぽく冷静なグレーテと男の子っぽく正義感と情熱に燃えるジビア
――まず伊藤さんが演じるグレーテの印象とご自身との相違点をお聞かせください。
伊藤:私が演じるグレーテは7人の中でも年上のほうで、大人っぽく背も高いので男性の変装もします。凛としている印象がありますし、1話でも頭が良くて、みんなをまとめるように、あえて一歩引いている感じがしますが、お話が進むにつれて、年ごろの女の子らしさや乙女チックな表情も出てくるキャラクターなので、そこに期待してみてほしいです。私との相違点は……前髪が長いところくらいかな(笑)。はかなく美しかったり、賢く冷静なグレーテとはあまり似ているところが見つからないので、憧れの女性像です。
東山:そう? 私からするとピッタリな気がする。役者さんなので本人とキャラクターの印象が違っていいと思いますけど、美来ちゃんのたたずまいはグレーテと近しいものがあると思います。現場でも一歩引いて、微笑んで見ている感じで。もちろん話しかければ気さくにおしゃべりしてくれるし、親しみやすさと温かく見守っている姿はまさに聡明な女性で、グレーテに似ているし、素敵だなと。美来ちゃんからにじみ出ているものがちゃんと声にのっかって、グレーテになっているんだろうなと感じています。
伊藤:そんなふうに思ってもらえていたなんて、嬉しいです! たぶん現場ではただ緊張していただけだと思いますけど(笑)。
東山: 美来ちゃんのインタビュー記事を見つけると、ときどき読ませていただくのですが「なんて素敵な子なんだろう!」と思っていて、いつも刺激をもらっています。
伊藤:嬉しすぎて手汗が出てきました(笑)。
――東山さんのジビアの印象は?
東山:ファッションはパンツスタイルで、「灯」のメンバーの中でも男の子っぽい、姉御肌の子です。メンバー内にはモニカというボクっ娘の子がいますが、お互いに方向性も違っていて……静と動でいうとジビアは動の人ですね。たくましい感じかな。そして情熱的かつ正義感に燃えていて。メンバー内には飛び道具的な子が多い中で、ジビアは常識人枠だと思っています。
でも昨年12月に生配信された『スパイ教室 放送直前特番』でそう話したら、視聴者の皆さんからかなり突っ込まれて。「もしかして常識人枠ではないのかな?」と思い始めましたが……(笑)でもやっぱり、物語の中でもジビアはよく突っ込んでいるし、面倒見が良くてしっかり者だなと私は思っています。逆に突っ込まれることがあるとすれば、リリィたちに巻き込まれても、すべて受け止めて対応できてしまうところがコミカルに見えてしまうのかも。貧乏くじを引いても「ちぇっ! しょうがねえな」と受け入れてしまうので、「受け入れちゃうのかよ!」と突っ込まれてしまうのかな。そんなお人好しなところも含めて、いいヤツだなと。
伊藤:ジビアみたいなカッコよさと、どんな状況にも対応できてしまうところは東山さんと似ているところなのかなと思います。私は人見知りで、緊張しやすいタイプなので、今でもアフレコ現場でドキドキしている時が多くて。この『スパイ教室』のキャストの方も先輩ばかりで、第一線で活躍されている方たちなのでドキドキするんですけど、東山さんは私を見つけると声をかけてくださったり、笑顔で手を振ってくださるのがとても嬉しいし、安心します。
――まさに姉御肌ですね!
東山:私も遂にそう呼ばれてしまう時がやってくるとは(笑)。美来ちゃんがかわいいから思わず手を振りたくなっちゃうだけなんですけどね。普段の私はツッコミを入れるタイプではないけど、この座組では私とモニカ役の(悠木)碧ちゃんとティア役の(上坂)すみれちゃんが年長組になるので、ツッコミを入れやすいっていうのもあるかもしれないですね。この空気感の中ではやりやすい役なのかなと思ったりもします。
東山さんと梅原さんというかつての事務所の先輩・後輩が立場を逆にした関係性のキャラを演じる不思議な縁
――若い方が多い現場のようですが、東山さんはクラウス役の梅原裕一郎さんとも年齢が近いそうですね。
東山: そうですね。私が前の事務所にいた時、梅ちゃんが入所してきて。「わっ、すごいイケメンな方が入ってきた!」って。その後、新年会があって途中から参加したら偶然、隣りの席になったのが1年目の梅ちゃんだったのを覚えています。
伊藤:そんな過去があったんですね!?
東山: なつかしいですね。ある意味、最古参を名乗れるわけですね!(笑)。
――そんな2人が、梅原さんは先生役、東山さんが教え子役として共演するなんて、ご縁がありますね。
東山: ご一緒すると梅原さんの知的さや上品さに刺激を受けますし、演じていらっしゃるクラウスにも本当にぴったりですよね。でも現場での落ち着いた雰囲気とは違って、フリートークはおもしろくて、ギャップがあるところなどもクラウスと通ずるところがあるかもしれませんよね。
伊藤:そこまでボスのことを知っているんですね。
東山: いやいや、すこし前のことですけど「どうやったら梅ちゃんと仲良く話せるようになるかな?」と考えてたときがあって。梅ちゃんはどんなことをおしゃべりするんだろうと思って、出演しているラジオ番組を聴いてみたら結構おしゃべりされていて。際どいネタとかもいっぱい言ってて(笑)。それが活かせているのかわかりませんが、せっかくご一緒できるならコミュニケーションを取れたほうが楽しいですし、意味もあると思ったので。今はそこそこお話しできるようになってうれしいです。
伊藤:私もリサーチします(笑)。
――お二人が演じる時に意識されたことや印象に残っているディレクションなどありますか?
伊藤:まずPVの収録があって、しばらくしてから1話のアフレコがあったんですけど、PVの時はシリアスさを切り取ったセリフが多く、あとは自己紹介の部分が多かったですね。その時の印象で声を低めに作ったり、淡々としている部分をしっかり出せるように演じましたが、1話では女の子がたくさんいるので、そのあたりのバランスを見ていただきつつ、PVの時よりは17歳という年相応の女の子らしいところまで雰囲気を変えてみました。ディレクションで印象的だったのは、1話でPVの時と同じようにやってみたら「もっと幸薄く」と言われたことです(笑)。グレーテの持つ、はかなさをより声で表現してほしいと言われたので模索しながら1話を録り終えました。
東山: 確か、ジビアに関しては特に大きなディレクションはなかった気がします。むしろリリィとの掛け合いが多かったため、(雨宮)天ちゃんのお芝居が変わっていったことが印象に残っています。私が一番できるカッコいいお芝居をジビアにのせられたらいいなと思っているので、自分が演じていることも忘れるくらい、ジビアで頭の中を染め切ってしまう、ジビアの声に耳を傾けてお芝居することを心がけています。でも今までとは違うトーンでお芝居していることもあってテイクを重ねて修正していく作業をすることはあります。
――PVで初めてジビアの声を聴いた時、ボーイッシュな感じで、最近の東山さんのキャラクターとしては珍しいなと思った記憶があります。
東山:そうですね。(サラ役の)佐倉綾音ちゃんからも「こんな奈央は聴いたことがない」と言われました。私自身も事務所のボイスサンプルにここまで男の子っぽいトーンは入れてないくらいなので、『スパイ教室』が新しい引き出しを開いてくれた気がします。