『火狩りの王』ワールドガイダンス|世界観、登場人物、用語などを徹底解説ーー火を失った時代に。少女と少年は運命と邂逅する。
工場都市
灯子が村を旅立ったところで、物語はもうひとりの主人公、煌四(こうし)に移る。
煌四は、首都に住む15歳の少年だ。彼は灯子を守って死んだ火狩りの灰十の息子だ。灰十は腕利きの火狩りであったが、1年前に首都を出ていった。煌四は教師に技術的な才能を見出され、特待生として学院に通っている。本来は工場経営者のような上流階級の子女しか通えない学校である。煌四の母親は工場で働いていたが、工場で出る毒にやられて、病死した。彼女の葬儀のシーンから煌四の物語は始まる。
首都には、工場があり、炎魔の火を動力にした機械を使って、さまざまな品物を生産しているが、その代わり、有毒成分が出るため、工場で働く者たちはやがて、病み苦しんで死んでいく。煌四の妹、緋名子(ひなこ)は、工場で働く母親から生まれたため、生まれながらに体が弱かった。その母も工場の毒で病気になり、死んだ。
父が行方不明で、母が病死したため、生活そのものが不安定になった煌四と緋名子に手を差し伸べたのは、偽肉工場の経営者の燠火(おきび)家の当主、油百七(ゆおしち)だった。彼は代々の工場経営者として、莫大な資産を持つ名家の当主であり、灰十ら火狩りたちを雇って火を集めていたが、彼は世界の変化を感じており、灰十の残したものと煌四の才能に目をつけたのである。
千年彗星の噂
やがて、生き残った人々の間でこんな噂がささやかれるようになっていた。
「最終戦争前に打ち上げられ、永らく虚空を彷徨っていた人工の星、〈揺るる火〉が、帰ってくる。そして、〈揺るる火〉を狩った火狩りは、〈火狩りの王〉と呼ばれるだろう」
作者・日向理恵子
原作者の日向理恵子は、児童文学で活躍する小説家。図書館の奥で、不思議な本屋に出会う「雨ふる本屋」シリーズでデビュー、不登校をテーマにした『日曜日の王国』などを発表した後、本格的なジュヴナイル・ファンタジー「火狩りの王」シリーズを上梓した。全4巻+外伝1巻。WOWOWオリジナルアニメのヴィジュアルによる新装丁版、「静山社ペガサス文庫 火狩りの王」シリーズ刊行中。
[文/朱鷺田祐介]
WOWOWオリジナルアニメ『火狩りの王』作品情報
放送・配信日:毎週土曜午後10時30分より放送・配信中
あらすじ
人類最終戦争後の世界。
大地は炎魔が闊歩する黒い森におおわれ、人々は結界に守られた土地で細々と暮らしていた。
最終戦争前に開発・使用された人体発火病原体によって、この時代の人間は、傍で天然の火が燃焼すると、内側から発火して燃え上がってしまう。
この世界で人が安全に使用できる唯一の<火>は、森に棲む炎魔から採れる。
火を狩ることを生業とする火狩りたちの間で、あるうわさがささやかれていた。
「最終戦争前に打ち上げられ、永らく虚空を彷徨っていた人工の星、<揺るる火>が、帰ってくるー」と。
“千年彗星<揺るる火>を狩った火狩りは、<火狩りの王>と呼ばれるだろう”
紙漉きの村に生まれ、禁じられた森に入って炎魔に襲われたところを、火狩りに助けられた灯子。
首都に生まれ、母を工場毒で失い、幼い妹を抱えた煌四は“燠火の家”に身を寄せることを決意する。
灯子と煌四、二人の生き様が交差するとき、あらたな運命が動きだすー
スタッフ
原作:日向理恵子(「火狩りの王」ほるぷ出版 刊)
キャラクター原案:山田章博
監督:西村純二
構成/脚本:押井守
キャラクターデザイン:齋藤卓也
総作画監督:齋藤卓也・黄瀬和哉・海谷敏久
エフェクト作画監督:小澤和則
イメージイラスト/プロップデザイン:岩畑剛一
美術設定:中島美佳
メカニックデザイン:神菊薫
クリーチャーデザイン:松原朋広
美術監督:小倉宏昌
色彩設計:渡辺陽子
筆文字:勝又まゆみ
劇中画:水野歌
CG監督:西牟田祐禎
CG制作:レイルズ
タイトルデザイン/2Dワークス:山崎真紀子
特殊効果:櫻井英朗
撮影監督:荒井栄児
編集:植松淳一
監督助手:菅野幸子
音楽:川井憲次
音楽制作:フライングドッグ
音響監督:若林和弘
音響制作:プロダクション I.G
アニメーション制作:シグナル・エムディ
キャスト
灯子:久野美咲
煌四:石毛翔弥
明楽:坂本真綾
炉六:細谷佳正
綺羅:早見沙織
緋名子:山口愛
クン:國立幸
照三:小林千晃
火穂:小市眞琴
油百七:三宅健太
火華:名塚佳織
焚三:宮野真守
灰十:三木眞一郎
紅緒:原優子
ほたる:宮本侑芽
炸六:真木駿一
炎千:上田燿司
火十:綿貫竜之介
ヤナギ:大原さやか
キリ:嶋村侑
ひばり:石田彰
ナレーション:榊原良子
公式サイト:http://hikarinoou-anime.com/
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