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『魔道祖師 完結編』魏無羨&藍忘機、美しき知己の愛溢れるシーン集

まだまだ余韻に浸りたい! アニメ『魔道祖師 完結編』絆を深める魏無羨&藍忘機──多くの視聴者の心を惹きつけた、美しき知己の愛溢れるシーンを辿る

 

「やりたいことがある」「つき合おう」

乱葬崗の伏魔洞の結界が破られて屍の群れが襲いかかるなか、「やりたいことがある」という魏無羨に藍忘機は「つき合おう」と躊躇うことなく受け入れています。それ以上の言葉を必要としないのもまた彼ららしく、この会話に二人の関係が集約されているような気がします。

魏無羨は自ら召陰旗として的になり、全ての屍を引きつける作戦に出ます。ここで藍忘機は叔父の藍啓仁に深々と一礼しているのですが、藍啓仁の「かくあれかし」という言葉も印象深く、そうするべきだという彼のただならぬ思いも心に染みてきます。

共に決死の覚悟を決めるシーンでありながら、衣が血の色で染まりゆく魏無羨と藍忘機の姿は非常に美しいものです。赤い衣装は中国の婚礼を想起させるとして反響を呼んだこちらの名シーン。アニメならではの美しい演出に眼福です!

 

 

手を差しのべる藍忘機

鬼腕の主である赤鋒尊が現れ、観音廟で急展開を迎える場面。魏無羨と藍忘機が共に戦う姿はやはり圧巻で魅せられてしまいます。江澄から陳情を受け取り、十数年ぶりに手元に戻った陳情を奏でる魏無羨は赤鋒尊を棺に鎮めます。その魏無羨に手を差しのべる藍忘機の眼差しがひときわ優しく、一瞬二人の世界になってしまっていました。

原作では、藍忘機が下から「下りておいで」と言って両手を広げて受け止めていますが、アニメで描かれた上から手を差しのべる光景は、江楓眠が魏無羨に手を差しのべて「うちに帰ろう」と救ってくれた幼少時代の雪の日が重なります。この言葉を最終話で藍忘機が言ってくれるのがもう……泣けてくるところでもあります。

 

 

金光瑶と藍曦臣

若かりし頃に金光瑶と出会った藍曦臣。これまで信じてきた金光瑶に剣を向け、阿瑶と呼ばず金宗主と呼んでいるのも、「二の兄君と呼ばなくてもいい」と言っているのも切なく悲しいものでした。

二人がこれまでに築いてきた絆も全てが嘘というわけではなかったのかもしれません。「私の二の兄君 一緒に死んでくれますね」と望んだ金光瑶ですが、最期には藍曦臣を突き放しています。

 

江家の祠堂で一緒に拝礼

金光瑶の悪事が暴かれ、魏無羨が魏先生などと持ち上げられるようになり、まさに手のひら返しを身を持って感じている魏無羨。好き勝手に広まっていく金光瑶の噂にも思うところがあるようです。噂ならなぜ鵜呑みにするのか、秘密ならどうやって知り得たのか。

魏無羨は藍忘機を雲夢江氏の祠堂へ連れていきます。二人はそれぞれ両手で線香を三本持ち、並んで一緒に拝礼。「今日は藍湛に会ってほしいと思ってさ」と魏無羨は位牌の前で告げています。

 

魏無羨と江澄

拝礼する魏無羨と藍忘機の元へ姿を現し、罵倒する江澄。さらに金丹の真実を知り、抑えきれない感情を二人にぶつけています。魏無羨も藍忘機も、お互いを悪く言われることや傷つけられることに怒りをあらわに。

藍忘機と去って行く魏無羨を繋ぎ止めることができなかった江澄。本当はずっと側にいて欲しかったでしょうし、金丹のことも教えて欲しかったですよね。

一緒に育ち、いつも魏無羨の隣にいたのは自分なのに、今その場所にいるのは別の者。江澄が「雲夢双傑」をずっと望んでいたことや、魏無羨に言えずにいる秘密に関しても切ないです。

 

戒鞭の痕と胸の烙印

魏無羨は藍忘機が尽くしてくれたのは知っていたけれど、藍曦臣から藍忘機の戒鞭の痕と胸の烙印のことを聞き、思っていた以上の彼の思いを知ります。

13年前の血の不夜天。藍忘機自身も手負いでしたが、陰虎符に操られ理性を失った魏無羨を連れ出していました。ずっと話しかけていた藍忘機に魏無羨は終始「失せろ」と浴びせていたといいます。

藍忘機は魏無羨を守るために33名の先達を攻撃し、33回の鞭を受け深手を負います。けれど魏無羨の死を知ると、確かめるため弱った体を引きずって乱葬崗へ。胸の烙印は戻った夜に自ら傷つけたものでした。

 

 

魏無羨は13年前にやり残したことを自らの手で終わらせるため、寝ている藍忘機を置いて出ますが、藍忘機が姿を現して一緒に陰虎符を破壊しています。魏無羨は今は一人ではないですし、二人で決着をつけたのも意義深いことだと思います。

 

 

「忘羨」~天地に曲響けば いつか山水は出会う~

原作の大事な場面がアニメならではの描写でオマージュされているのが、シリーズを通して随所で伝わってきます。林檎ちゃんから落ちそうになった魏無羨を藍忘機が抱き止めるシーンもドキドキします。

 

 

そして幼少期のことを思い出した藍思追と温寧と別れ、最後に二人となった魏無羨と藍忘機。長い旅路の終わり……「うちに帰ろう」と言ってくれた藍忘機は今では魏無羨の帰る場所となっています。一緒に帰る二人の姿が尊く、二人の出会いから振り返ると、ここまできたんだなと感慨深さがあります。

かつて藍忘機が玄武洞で歌ってくれた曲でもあり、二人を再び繋いでくれた曲は、藍忘機が作ったものでした。その曲の名は「忘羨」。藍忘機から教えてもらった魏無羨は「いいね 最高だ 俺は好きだ」と言っています。

 

 

途は続く

『前塵編』『羨雲編』の日本上陸のあと、続編を待ち焦がれる声がたくさん寄せられるなか、ついに『完結編』の情報が解禁されてファンの期待も高まっていました。BL小説の映像化ということで、アニメのエンディングがどう描かれるのか、魏無羨と藍忘機がどう生きていくのか気になっていた人も多いと思います。

『完結編』では、魏無羨と藍忘機の距離感が大きな話題にもなっており、最終話では二人が一緒に家に帰るという最高の形で幕が下りたと筆者は感じています。完結まで見届けることができて感謝の気持ちでいっぱいで、余韻が凄くて今も多幸感と寂しさに包まれています。

善悪の本質をちゃんと見ることができる少年たちの未来は楽しみです。そして、皆の予想外に上手く立ち回る聶懐桑、傷心の藍曦臣、気になるのは閉関したとされている江澄。事件解決後、彼らがどんな人生を歩むのか、思いを巡らせてしまいます。

 

数年前にBLと出会い、心に潤いを取り戻しました。BLとブロマンスを愛し、大好きな作品はたくさんありますが『チェリまほ』が心のよりどころです。そして『魔道祖師』をはじめ中華BLの沼へ。趣味は国内外のBL漫画や小説を読むこと&ドラマ観賞で、これまでに執筆した記事は『チェリまほ』『美しい彼』『魔道祖師』『陳情令』『ENNEAD』など。

この記事をかいた人

藤崎萌恵
数年前にBLと出会い、心に潤いを取り戻しました。BLとブロマンスが癒し。主な記事は『チェリまほ』『陳情令』等。

担当記事

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アニメ『魔道祖師 完結編』作品情報

イントロダクション

各地で起こる不可解な事件を追ううちに、鬼腕の主が全ての謎に関わっていることに気付いた魏無羨(ウェイ・ウーシエン)と藍忘機(ラン・ワンジー)。旅を続ける二人は、霧に覆われた不吉な町「義城」にたどり着き、曉星塵(シャオ・シンチェン)と名乗る盲目の道士と出会う。
そして魏無羨と藍忘機は、かつてここ義城で曉星塵と薛洋(シュエ・ヤン)、宋嵐(ソン・ラン)、阿箐(アージン)に起きた凄惨な事件を知ることになるのだった。

鬼腕の正体、仙界に渦巻く陰謀、真の黒幕―――

全ての謎が解き明かされ、物語はついに結末へ。

(公式サイトより引用)

 

スタッフ

原作:「魔道祖師」 墨香銅臭
監督:熊可
シリーズ構成・脚本:梁莎
キャラクター原案・デザイン:申琳
音楽:孫玉鏡
日本版制作:ソニー・ミュージックソリューションズ、アニプレックス

 

日本語吹替版キャスト

魏無羨(ウェイ・ウーシエン):木村良平
藍忘機(ラン・ワンジー):立花慎之介
江澄(ジャン・チョン):緑川光
江厭離(ジャン・イエンリー):早見沙織
藍曦臣(ラン・シーチェン):森川智之
金凌(ジン・リン):梶裕貴
藍思追(ラン・スージュイ):土屋神葉
藍景儀(ラン・ジンイー):斉藤壮馬
聶懐桑(ニエ・ホワイサン):花江夏樹
金子軒(ジン・ズーシュエン):赤羽根健治
温寧(ウェン・ニン):島﨑信長
温情(ウェン・チン):川澄綾子
温晁(ウェン・チャオ):吉野裕行
王霊嬌(ワン・リンジャオ):阿澄佳奈
羅青羊(ルオ・チンヤン):Lynn
江楓眠(ジャン・フォンミエン):浜田賢二
虞紫鳶(ユー・ズーユエン):本田貴子
藍啓仁(ラン・チーレン):酒巻光宏
金光善(ジン・グアンシャン):速水奨
温若寒(ウェン・ルォハン):三宅健太
温逐流(ウェン・ジューリウ):酒井敬幸
聶明玦(ニエ・ミンジュエ):白熊寛嗣
蘇渉(スー・ショー):こばたけまさふみ
金光瑶(ジン・グアンヤオ):石田彰
薛洋(シュエ・ヤン):内山昂輝
曉星塵(シャオ・シンチェン):石川界人
宋嵐(ソン・ラン):江口拓也
阿箐(アージン):悠木碧

 

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