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春アニメ『君は放課後インソムニア』主演声優が語る人生のターニングポイントとなった本作への熱い思い/インタビュー前編

春アニメ『君は放課後インソムニア』中見丸太役・佐藤元さん×曲伊咲役・田村好さんが語る人生のターニングポイントとなった本作への熱い思い|「これほどリアルに不眠症に寄り添ってくれる作品はなかなかない」

「ビッグコミックスピリッツ」にて連載中の、オジロマコト先生による青春漫画『君は放課後インソムニア(以下、君ソム)』。ファン待望である本作のTVアニメが、2023年4月10日(月)よりテレビ東京にて放送中です。

物語は、不眠症に悩む高校生・中見丸太(なかみがんた)が、クラスメイトの曲伊咲(まがりいさき)と、物置部屋になっている天文台で出会うことから始まります。第1話(「能登星」)で、ふたりはお互いの不眠症の悩みを打ち明け、眠れない苦痛な夜を共に過ごすことで楽しい時間を共有しました。

本稿では、中見丸太役の佐藤元さんと、曲伊咲役の田村好さんのインタビュー前編をお届け!  おふたりにとって、人生のターニングポイントとなった本作への熱い思いと、自然体で演じられる役との共通点を語っていただきました。

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「曲がいると、学校に行きたいと思う。これってどんな関係なんだろう。」不眠症に悩む高校生・中身丸太は、文化祭の準備を抜け出して入った物置になっている天文台で同じく不眠症の曲伊咲と出会う。二人は秘密の場所を共有することになり...?青春漫画の旗手・オジロマコトの原作を、若手スタッフ陣がアニメ化。<あなたの眠れない夜にも、きっと意味がある――>作品名君は放課後インソムニア放送形態TVアニメスケジュール2023年4月10日(月)〜2023年7月3日(月)テレビ東京ほか話数全13話キャスト中見丸太:佐藤元曲伊咲:田村好白丸結:戸松遥受川太鳳:山下誠一郎蟹川モトコ:Lynn穴水かなみ:藤原夏海野々三奈:諸星すみれ倉敷兎子:能登麻美子灰田塁:狩野翔曲早矢:雨宮天スタッフ原作:オジロマコト「君は放課後インソムニア」(小学館「週刊ビッグコミックスピリッツ」連載中)監督:池田ユウキシリーズ構成・脚本:池田臨太郎キャラクターデザイン:福田裕樹美術監督:大西達朗美術設定:平澤晃弘美術背景:草薙色彩設計:小野寺笑子2Dワークス:中村倫子3Dワークス:山崎嘉雅撮影監督:姫野めぐみ撮影:グラフィニカ編集:長谷川舞(editz)音響監督:本山哲音楽:林ゆうきアニメーション...

「これほどリアルに不眠症に寄り添ってくれる作品はなかなかない」

ーー佐藤さんは原作の大ファンだとお聞きしました。最初に漫画をご覧になった時の感想はいかがでしたか?

中見丸太役・佐藤元さん(以下、佐藤):これほどリアルに不眠症に寄り添ってくれる作品はなかなかないと思います。

縁あって、僕は不眠症のキャラを演じる機会が多いんです(笑)。『よふかしのうた』(※1)と収録時期がちょうど一緒で、コウは(丸太と)別タイプのキャラだったので情緒が不安定でした(笑)。

※1:コトヤマ先生の漫画を原作としたTVアニメ。佐藤さんは、不登校で夜に眠れない中学生・夜守コウを演じた。

ーー同時期に、寝れないキャラを2人演じていたんですね!

曲伊咲役・田村好さん(以下、田村):現場で「眠れない、眠れない……」ってずっと言っていました(笑)。

佐藤:“寝ない”と“寝れない”のは演技が違うんですよ!

コウは「寝なくていいや!」と開き直っていますが、丸太は寝れなくてイライラしている。正反対な役なので地獄でした(笑)。

ーーかなり過酷だったんですね。

佐藤:丸太はトラウマ的要素があるから眠れない、精神的な問題で寝れなくなってしまっているんです。

作中にもあるように、人間の4人に1人が不眠症で、日本だけではない実際の問題です。病気っぽさもありますが、完全な病ではないので理解されにくくて。僕にとってもとてもリアルな問題でしたから、「僕以外にもこういう人がいるんだ」とホッと安心したのを覚えています。

ーー不眠症は理解されづらいですよね。田村さんは漫画にどのような印象をお持ちですか?

田村:良い意味で2次元っぽさがなく、絵のタッチや間がとても繊細で純朴だなと。

私はオーディションをきっかけに『君ソム』を知りました。作品を調べた際ジャンルに、「ラブコメディ」と書かれていましたが、実際に読んでみると「コメディジャンル!?」と思うほどに二人の絶妙な関係性やそれを見守る周りがリアルで、「こんなに素敵な作品にヒロインとして携われているんだ…!」と衝撃を受けました。

ーー佐藤さんは、コメントにて「伊咲の一言一言に救われていた」と書かれていました。どのような言葉が胸に響いたのでしょうか?

佐藤:第1話なら、「変だよ」「心配かけたくないからこんなこと誰にも言えない」とかです。そう、誰にも言えないんですよ! 学生が試験前に「徹夜して寝てねー」と言うのではなく、本気で眠れない。自分でも変だと分かっているんですが、苛立ってしまう感情に共感して泣いてしまいます。「今、本当に自分は辛いんだな」と気づかせてくれますし、逆に“寝れる幸せ”にも気づかせてくれます。

田村:言葉がないシーンであえてはしゃいだり笑う伊咲を見ていると「それも伊咲なりの気遣いなんじゃないかな」と感じました。何気ない伊咲の行動で救われている人が居るんじゃないかなって。

佐藤:安心感は何にも代えられないですし、ましてや人からもらえるのは一番大事だなと思います。そんな安心感の大切さをこの作品で感じてほしいなと思いますね。

役に共感できるからこそリアルに演じられる

ーー田村さんは初めてオーディションにて受かったヒロインですが、当時はどのようなことを考えながら臨まれましたか?

田村:所属して間もないのですが、いただく全てのオーディションに落ち続けていました……。

ーーオーディションに受かるというのは本当に難しいと聞きます。

田村:皆さんそう言ってくれましたが、もう私の頭には落ちることしかなかったんです。なので「私はまたダメなんだろうな。もう伊咲ちゃんで最後にしよう」と思っていました。実はかなり心折れていて、「地元の静岡に帰って、アニメを見る側に戻ろうかな」と考えていた時期だったんです。

ーーこの作品が田村さんの大きな転機になったんですね。

田村:はい。あと、今までオーディションでいただく役は見た目から作り込んでしまうことを優先してしまっていたのですが、伊咲の素朴さがアニメなのにアニメらしくなくて戸惑いました。

ーー演技プランはどのように作りあげましたか?

田村:オーディションでは「とにかくやりたいことをやる」と決めました。受からなかったら、そのキャラが私の手から離れてしまうので…悔いだけは残さないようにと思って臨みました。

ーー佐藤さんはオーディションはいかがでしたか? ご自身も不眠症で、丸太と被ることがあったと思いますが……。

佐藤:今まで演じてきた中で、一番自然体でいようと心がけていました。アニメならではの空気感や独特の間はありますが、『君ソム』ではとことんリアルに言おうと決めていました。

オーディションではひたすら試していて、演じながら考えつつ、リテイクをわざともらうようにしたりもしました(笑)。

ーーオーディションでリテイクをもらうのは、怖くないんですか?

佐藤:別に良いかなと思っています(笑)。

田村:えー! すごい度胸!

佐藤:なので、ディレクションを探りながら受けていますね。

ーーお芝居が大好きな佐藤さんだからこそできる冒険ですね!

佐藤:僕、芝居以外は死ぬほど繊細なので(笑)。芝居だけなら誰よりも大胆になれますが、終わったら別人です(笑)。

ーーそんな繊細な部分も反映したのでしょうか?

佐藤:入れていました。

僕も小さい頃は眠れなかったので、今でも当時のことを覚えています。3時半頃に新聞配達の音が来て、4時にシャッターが開いて、5時に光が差して、6時を過ぎると小学生の声がする。これが僕はとっても苦手でした。

自分で言うのもなんですが、家族から気が狂うんじゃないかと心配されるほど、声優になるためにずっと練習していました。寝ても、夢の中ではずっと練習しています。

ーー聞いているだけでも気が休まらないです……。

佐藤:寝ても覚めても練習していて、頭の中は常に芝居でいっぱいで不眠になって。でも、寝たら芝居を考える時間が無くなるのが怖かったんです。この理由以外にも人間関係で悩んでいたり、丸太に近いトラウマがあるので、今回役作りする必要がありませんでした。実際、PVを見た家族からも「これは元の役だな」と言われました。外見も「メガネかけたらそのままじゃん?」って(笑)。

ーーなるべくしてなった丸太役なんですね。撮影している時も「佐藤さん、丸太になってる!」と思っていました(笑)。

佐藤:僕は役に寄せるのが好きですし、命削ってでも役になりきるのがスタンスなので!

ーー佐藤さんらしいストイックさ! ご自身の過去と重なることも多かったんですね。

佐藤:フラッシュバックに近い感覚で演じていました。このちゃん(田村さん)は見ていたと思うけど、本当に泣いたりしていたよね?

田村:泣いてました。

佐藤:ちょっと辛い時はトイレに入って、フーッと(深くため息をつく)したり。

田村:AパートとBパートで間が空いている時に、「遊ぶぞー!」と佐藤さんに声をかけて、ふざけながら気を紛らわそうとしたんですよ。

佐藤:そうそう、してたね(笑)。

田村:(佐藤さんは)めちゃくちゃ繊細さんなので……。

ーー田村さんにバレてますよ!

佐藤:(笑)

田村:なんとしても伊咲として気分を盛り上げようと! ふたりは対の存在なので、「カバーできるところは!」と思っていました。後輩ですけど(笑)。

佐藤:後輩にカバーさせちゃった!(照笑)

ーーそんな明るい田村さんだからこそ、伊咲役になったんでしょうね。

田村:でも最近、私は根明ネガティブ(心根は明るいが思考がネガティブ)なんだなと気がつきました(笑)。(佐藤さんを見ながら)ですよね?

佐藤:うん、明るいけどネガティブな時もあるね。

ーー意外ですね。

田村:結構ネガティブで、例えば電車に乗っていたら、突然目の前の人が鞄からゴキブリ100匹出してくるんじゃないか、とか考えます(笑)。

ーー怖すぎますよ!(笑)

田村:こんな感じに私は悪い方へ考える癖があるんです。

佐藤:このちゃんとは「一緒に楽しい現場にしていこう」と話していましたし、(他のキャストに)たくさん声をかけてくれます。でも、伊咲の根幹にある不安も似ているのかなとも思います。

(C) オジロマコト・小学館/アニメ「君ソム」製作委員会
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