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- おかもとみか
- 2021夏デビューのオトナ女子新人ライター。ミドル層の男性声優さん関連記事を書くことが多いです。
このように自信家で傲慢な態度ばかり見せ、出久をいじめていた爆豪ですが、高校入学後に出会うクラスメイトたちの素晴らしい「個性」や能力、出久のめざましい成長を目の当たりにし、どんどん変化を見せ始めます。ここではそんな爆豪の数々の名エピソードを振り返ります。
雄英高校入学早々、出久と爆豪は初めての直接対決をすることに! それは、雄英教師となったオールマイトによる授業「屋内対人戦闘訓練」でのこと。2対2のチーム戦ではありながらも、2人は初めて対等な関係性で真正面から勝負をします。
爆豪は、これまで無個性だと信じていた出久が自分と肩を並べて雄英に入学したことに強い屈辱を覚えていたため、この機に自身の圧倒的な力を誇示するべく、出久を叩きのめそうとします。しかし、譲渡されたばかりの個性をうまくコントロール出来ないと感じていた出久は、その強大なパワーを秘めた個性の使用を避けたため、その行為がさらに爆豪を苛立たせます。
結果的に作戦が功を奏し、出久が勝利! この間までただの「道ばたの石ころ」だったはずの出久に負けただけでなく、クラスメイトの轟 焦凍や八百万百などの強い個性や有能さを目の当たりにした爆豪は、ここで初めて「自分が一番強い」という自信が揺らぎます。
しかし、こんなことで挫ける爆豪ではなく、これを機に「誰にも負けたくない」という向上心をさらに強く持つようになります。自分の才能を過信していたような爆豪の、さらに上を目指す努力をしようと決意を見せた姿には、思わず応援したくなってしまいます。
入学早々初の直接対決をした出久と爆豪でしたが、期末試験では2人がタッグを組み、敵(ヴィラン)役のオールマイトと対決をするという試験に臨みます。
作戦を持ちかける出久に対し、その言葉に耳を貸さず自分1人の力で試験をクリアしようとする爆豪。そんな2人が噛み合うはずもなく、オールマイトに追い込まれて行きます。
オールマイトの圧倒的なパワーに凌駕されながらも、出久の力を借りるくらいなら「負けた方がましだ」とまで言い放つ爆豪。そんな爆豪に出久の言葉が刺さります。
「勝つのを諦めないのが君じゃないか」
この言葉に突き動かされるように、爆豪は勝利への執念であがき始めます。絶大だったはずの自身のプライドをねじ曲げてでも、勝利を掴もうともがく爆豪の姿に思わず胸を熱くさせられるシーンでした。
せめて出久だけでも、とゴールへまっしぐらに投げ飛ばしながらも「死ねー!」という物騒な言葉を使うあたり、不本意ながら出久と協力関係を結んだ爆豪の、自我との闘いが透けて見えるようで、思わず笑みがこぼれてしまうような場面ですね。
夏休み中の林間学校で敵(ヴィラン)連合に襲われた出久たち。その混乱の中、敵(ヴィラン)にさらわれてしまった爆豪でしたが、出久たちの連携作戦で無事救出されるという事件も──この闘いの中で、”巨悪”オール・フォー・ワンと対決したオールマイトはヒーロー引退を余儀なくされます。
その時のオールマイトの言葉と出久の反応から、出久が譲り受けた個性がオールマイトのものであることに気づいた爆豪は、出久を呼び出し問いただします。ここで2人は初めて真摯に向き合うことに──!
いつも自分の後ろについて来ていたはずの「石ころ」出久が憧れのオールマイトに選ばれたという悔しさや、間接的だとしても自身の弱さがオールマイトを引退へ追いやってしまったという苦悩をにじませる爆豪。この時の爆豪は年相応の少年の素顔を垣間見せています。これまでの勝ち気で傲慢な爆豪からは想像もつかないような「弱さ」を見せる姿に、思わず涙し、ときめきを覚えた方も多いのではないでしょうか。
まるで拳で語り合うかのように、力と本音をぶつけ合って行く2人の姿はまるで「真っ当なライバル」のよう。そして爆豪はこれ以降、出久の個性の秘密を共有する者となり、出久との関係性の転機を迎えます。
この時のオールマイトの言葉「助けて勝つ、勝って助ける」は、のちの爆豪に大きな影響を与えていくのでした。
偏差値79という超名門・雄英高校に「模試でA判定」「合格圏内」という秀才っぷりで入学したほか、体育祭では個人総合1位を獲得するほどの身体能力と強烈な個性に恵まれた爆豪。しかしながら、爆豪の才能はそれだけにあらず。さまざまな学校行事の中で、意外にも思える爆豪の一面が発揮されています。
林間学校では、とんでもないスピードで食材をカットする爆豪の手際のよさがさりげなく披露されたほか、文化祭では音楽の才能も! 過去、音楽教室に通っていたという爆豪は「難しい」という楽曲のドラムを一発で完璧に叩きこなすという鬼才を見せています。
そんなマルチな才能を見せる爆豪でしたが、彼が発する言葉には成長の片鱗も……!? 文化祭で爆豪はいつものように、粗暴な言動で「ご機嫌取りのつもりならやめちまえ」と雰囲気に水を差す……かと思いきや「やるならガチで!雄英全員、音でヤるぞ」とクラス全員の士気を上げ、大成功へ導きます。爆豪のこの熱いセリフにグッと来た人も多いのではないでしょうか。
また仮免許補講では、課題の「問題児の小学生たちと心を通わせる」で、爆豪が小学生たちに向けたアドバイスが光ります。
「いつまでも見下したままじゃ自分の弱さに気づけねぇぞ」
まるで変化しつつある出久との関係性の中で気づいた、自身の弱さを表現しているかのようなこの言葉にはグッとさせられますね。また一歩、爆豪が大きく成長を遂げている様子が窺い知れるシーンとなっています。
同じヒーロー科としてライバル関係にある1年A組とB組は、チームでの「戦闘訓練」をすることに。爆豪は耳郎響香、瀬呂範太、砂藤力道とチームを組み、手強いB組のメンバーと真っ向勝負をします。
これまでのチーム対抗戦のように、爆豪が1人先走って勝利をつかみに行く……と思いきや、耳郎たち3人の個性をそれぞれ生かしながら闘う作戦に出る爆豪。「4対0」の完璧な勝利を導いたそのクレバーな戦略は実に鮮やかで目を惹きます。
また、B組メンバーに耳郎が狙われた際は、即座に駆けつけ撃退します。
「てめぇらが危ねぇ時はオレが助ける、オレが危ねぇ時はてめぇらがオレを助けろ」
言葉遣いは相変わらずですが、これまで何もかも1人よがりで他人の力を信用することのなかった爆豪のこの変化は、文化祭で生まれた信頼関係があったからこそなのかもしれません。
オールマイトの「助けて勝つ、勝って助ける」が活きていた印象的なシーンでした。
ついに訪れた、死柄木弔(しがらき とむら)率いる超常解放戦線とヒーローたちとの”全面戦争”。死闘が繰り広げられる中、オール・フォー・ワンに乗っ取られた死柄木から出久へ鋭い攻撃が放たれる……! そんな絶体絶命のピンチに飛び出したのは、なんと爆豪でした。
自らがその攻撃を受け、出久をかばった爆豪。
「体が勝手に動いてた」
そんな彼のモノローグは、まさに第1話で爆豪を救おうとした出久そのものでした。その無意識な行動は爆豪が真のヒーローとなった象徴的シーンのように思えます。
その後、超常解放戦線との”全面戦争”は一旦収束したものの、終わらない出久の闘い。みんなに迷惑をかけられないとの思いから、出久は雄英を離れ単独行動に走ります。そんなボロボロで悲壮な姿に、爆豪を含めたA組のメンバーが動き出し……
頑なだった出久の行動を最後に止めたのは爆豪の言葉でした。
「出久、今までごめん」
「デク」と呼び蔑み続けていた爆豪が初めて「いずく」と呼びかけ、これまでの行動を謝罪したこのシーンに、衝撃を受けた読者・視聴者も多かったことでしょう。「心の強さ」を持った出久を恐れ、いじめることで自尊心をなんとか保って来た爆豪。そんな彼が自身の弱さをようやく認めたことで、心身ともに大きく成長したその姿は、見る者に大きな感動を与えました。
爆豪の数々の名エピソードはいかがだったでしょうか。当初は「いじめっ子」「乱暴者」だった爆豪のその卑劣な行動に「嫌い」という感情を抱いた人も少なからずいたことでしょう。
しかし、出久や1年A組のメンバーとの切磋琢磨の中で、一番心身の成長を遂げたのが爆豪であったとも言えます。ようやく決めることの出来た爆豪のヒーロー名「大爆殺神ダイナマイト」を最初に教えたかったのは、職場体験でお世話になったベストジーニスト、という律儀さや筋の通し方からも、本来はまっすぐな心を持つ少年であることが窺えます。
心優しい出久ですら「嫌なヤツ」と評していた爆豪が、様々な経験の中でボロボロになりながら、もがき足掻いたその人間くさい姿も、多くの読者・視聴者に愛される理由となったのではないでしょうか。
相容れない存在から出久の真の「ライバル」となり、そして「己に勝つ」という名を冠した爆豪の、今後の成長と活躍が楽しみです!
2021夏から駆け出した新人ライター。大人になってから乙女ゲームに触れたことがきっかけで、男性声優さんに興味を持ち、本格的にアニメを見始めた文学部出身のオトナ女子。初めての乙女ゲームは『ときめきメモリアルGirl's Side(1st)』。作品などの聖地巡礼やコラボカフェも好き。ミドル層の男性声優さんやKiramuneレーベルについての記事を書くことが多いです。