ミカは誰しもが持つ悩みを抱えたリアルで不器用な女の子│春アニメ『スキップとローファー』江頭ミカ役・寺崎裕香さんインタビュー【リレー連載:第3回】
4月より好評放送中のTVアニメ『スキップとローファー』。キラキラ楽しいけれどときどきズキズキ、そんなスクールライフをやわらかなトーンで描く本作品に毎週、癒やされている人も多いのでは。
田舎育ちで同世代とのコミュニケーションもイマイチに見えるのに、いつの間にか学校一のイケメンの志摩と仲よくなっている主人公のみつみ。クラスメイトのミカは、そんな彼女が気になって仕方がないようで……。
十人十色、だけど、きっとあなたとの共通点が見つかる、魅力的なキャラクターたちを深掘りするべく、アニメイトタイムズではキャスト陣のリレー連載をお届けします。第3回は江頭ミカ役の寺崎裕香さんです! 当初、計算高いように見えていたミカですが、それは彼女のファイティングポーズだった? ミカの心の変化を深掘りしてお聞きしました。
キラキラだけじゃない、リアルな青春
――初めて本作に触れたときの印象をお聞かせください。
寺崎裕香さん(以下、寺崎):オーディションのとき原作を読ませていただいたんですが、人間関係がすごくリアルだなと感じました。思春期にありがちな心臓がズキズキくるようなエピソードも多いのですが、同時に「あのときこうすればよかったんだな」と別の選択肢を体験させてくれるような気もして……。キラキラだけじゃない、リアルな青春が詰まっている漫画だなと思いました。
――第一印象で、ミカはどんな子だと思われましたか?
寺崎:不器用な子、ですね。でも、実は意外と読んでいる方が一番共感することが多いキャラクターなんじゃないかと思っています。容姿にコンプレックスを抱えていたり、他人と自分を比べてしまったり。あと、クラスのカーストというんでしょうか、自分の立ち位置を気にして、周りの目を意識してしまう……そういう部分って、学生時代に私もあったし、誰しもが持っていると思うんです。なので、自分の中に投影して観てくださる方は多いのではないでしょうか。
――ミカを演じる上で、工夫したことや気をつけたことなどはありますか?
寺崎:ミカはみつみと出会うことによって変わっていくんですが、最初、(黒沢)ともよちゃんがみつみだって聞いたとき、ぴったりだと思ったんです。私、彼女のお芝居大好きなんですけど、とても自然な演技をする女優さんなんですね。みつみって、世間の女子高生からしたら少しファンタジー寄りの子じゃないかと思うんですけど、ちゃんと「いる」。ともよちゃんなら、きっと「存在するかもしれない」と思わせるお芝居をしてくるだろうと。なので、私もリアルな女子高生……自然なミカになろうと、女子高生が主役のドラマとかいっぱい見て研究しました。あとは、自分の経験や高校生当時を思い出しながら、「わかるな~」という自分と近い部分を探していった感じですね。
――自分と近い部分というと、具体的には?
寺崎:やっぱり自分らしくいるより、周りにどう見られるかを気にしちゃうところでしょうか。私も高校一年生のときクラスに派手なキラキラグループと大人しいグループがあって、ちょっと対立っぽくなってしまっていたんですね。私はどっちにも所属したくなくて、敢えてまん中を選んで、どっちとも仲良くしていました。それが、この組でうまくやっていくベストポジションだと思ったので……。だから、ミカちゃんがクラスでの立ち位置を気にしちゃう部分は一緒だなと思いましたし、自分に自信がないところは共感できると思いながら演じていました。
根っから悪い子じゃないんですよ
――5話のバレーボールの話でミカとみつみの関係性が変わったかなと思いますが、ご自分ではどのような意識で挑まれましたか。
寺崎:みつみが「(ミカはみつみに対して)当たりが強いなとは思ってたけど、嘘は言ってない」って言うじゃないですか。やっぱり彼女は根っから悪い子じゃないんですよ。自分がそうやられてきたから、そういうやり方しかできない。小学生の頃に容姿でいじめられた経験があったからこそ、そうならないために一生懸命努力して今がある子なので……。ミカは入学してから、自分がキラキラした場所にいられるように、いじめられないポジションに立てるように、ずっとファイティングポーズしていたイメージで。
――ファイティングポーズ!?
寺崎:あまりそうは見えないかも知れないけど、ミカは1~4話まで、ものすごく頑張って自分の居場所なりポジションなりを探していたんだと思うんです。志摩くんってどういう子なんだろう、みつみは、結月はって、人間関係も探り探りでね。でも、すっとその腕を下ろしたのが5話だったんじゃないかなと思っています。だから6話以降は素直にというか、ミカらしくというか、なんかすごく楽しく演じたのを覚えていますね。ミカ本人はその後ももやもやしたり、自己嫌悪で女子会に素直に飛び込んでいけなかったりしてますけど(笑)。
――音響監督さんからは、どのようなディレクションがありましたか?
寺崎:私だけじゃないんですけど、役作りに関することは特にありませんでした。個別のシーンで「もうちょっと弾けて」みたいなのはありましたけど。ミカがみつみに初めて話しかけるシーンで、セリフにハートマークがあったんですよ。その塩梅が難しくて……やり過ぎてしまうとミカじゃなくなる気がして、最初は少し控えめに演じたんです。でも、音響監督さんからもっと強めにというディレクションをいただいて、今のミカになりました。それと、この作品はそれぞれが相手に言われた言葉に影響し合って変化していく話なので、会話がすごく大事なんですね。それが作品の良さだとスタッフさんも感じてくださったのか、できるだけ演者同士掛け合いができるように全員のスケジュールを細かく組んでくださったんです。みつみの声を聞いて、志摩くんの声を聞いて、そこから生まれる感情を大事にやらせてもらえたので、本当に有り難かったです。
――アフレコ中の出来事で、印象に残っていることを聞かせてください。
寺崎:全体的に学校みたいな雰囲気で楽しかったですね。今は分散収録が多くて、終わったらすぐ帰っちゃうことも多いのですが、『スキップとローファー』の現場はけっこうみんな残っていて、ロビーでセリフについて考えたり、作品について語ったりしました。キャスト同士でグループLINEを作って、ちょこちょこ集まったりもしました。お誕生会も開いてもらったんですよ。私と江越(彬紀)くんが同じ8月生まれだったので、ほかのメンバーがサプライズで企画してくれて。普通に食事行こうって言われてご飯食べていたらケーキが入ってきて、「え、なになに!?」みたいな。嬉しかったですね。潘めぐみちゃんの誕生日がアフレコの翌日だったことがあって、そのときに私がプレゼント渡したり。学校の話なので現場の人数も多くて、みんなでワイワイと……本当に学校みたいでした。