落ちて失うものってないんですよね――大久保瑠美さん、駒田 航さん、白田千尋さんら歴代受賞者が語る、81オーディションまでの道のり【短期連載第1回】

今年で第17回目を迎える、大手声優プロダクション・81プロデュース主催の「81オーディション」。

本オーディションは、毎年8月1日に行われている新人発掘のための81プロデュース単独主催の一般公開オーディション。先人たちが築いてきた声優業界の技術や文化、そしてマインドを継承し、長きにわたって活動することができる才能の発掘・育成を目指すという趣旨のもと、3万人を超える応募者の中から数々の人気役者を輩出してきました。

特徴としては、専門学校や養成所からだけでなく、広く一般からその原石を募集する一般公開形式であること。グランプリ受賞者は特待生として、81プロデュースの養成所・81ACTOR’S STUDIOでのレッスンのほか、デビュー後の長期的な声優活動のバックアップが約束されています。

そして、「第17回81オーディション＜エイティワンオーディション＞」のエントリーが2023年5月15日（月）まで受付中です。

本オーディションの開催に際して、受賞歴を持つ81プロデュース所属の3名の声優の短期鼎談インタビュー連載を実施。

ご登場いただくのは、「第3回81オーディション」で優秀賞（グランプリ）を受賞した大久保瑠美さん、「第5回81オーディション」で優秀賞（グランプリ）を受賞した駒田 航さん、「第11回81オーディション」でスタジオディーン賞を受賞した白田千尋さん。

声優を目指している方も、そして大久保さん、駒田さん、白田さんのファンの方も必見のインタビューを全4回に渡りお届けしていきます。第1回では、81オーディションを受けた経緯についてお話いただきました。

自分が求める最短ルートで最前線に立つことができるんじゃないか

――インタビュー前に皆さんの「81オーディション」の様子をご覧いただきましたが……大久保さんから「もうやめましょう！」という声があがっていました（笑）。

駒田航さん（以下、駒田）：まさか当時の映像を見ることになるとは思っていなかったのでビックリしましたよ（笑）。（スタッフを見ながら）よくあんなものを残していましたね……。

大久保瑠美さん（以下、大久保）：本当に（笑）。私は当時、埼玉のコギャルだったので、まさかここにきてその姿を見ることになるとは思いませんでした。

駒田：埼玉のコギャル（笑）。瑠美さんは今と体型がまったく変わってなくてビックリしました。僕らの時代はまだクローズドでオーディションが行われていたんですが、白田さんの時は公開オーディションだったよね。

白田千尋さん（以下、白田）：はい。私がオーディションを受けたときは審査の様子が「バンダイチャンネル」と「LINE LIVE」で生配信されていたんです。だから映像は残っているとは思っていましたが、今日見たものは配信用のものではなく、（社内用に撮っていた）別アングルの映像だったので、おふたりの前で見るのはより恥ずかしかったです（笑）。まだお化粧をあまり覚えていない時期だったのでアップはキツいです……。

大久保：いやいや、めちゃくちゃ可愛かったよ！　

駒田：うんうん。でも恥ずかしい気持ちはよくわかるよ（笑）。

――では一度映像はストップして、皆さんが「81オーディション」を受けられるまでの経緯を教えてください。

大久保：正直な話をしてしまうと……オーディションに合格すると「81ACTOR’S STUDIO」（81プロデュースの養成所）の特待生として、無料で授業を受けられることに魅力を感じていたんです。

駒田：それ大事です。

白田：大事です！

大久保：私の場合はもともと専門学校（声優科）に通っていたので、オーディションを受けた時にすでに声優としての勉強を始めていたんです。「養成所は自分でお金を出していこう」と思い、ひたすらアルバイトをしていました。

でも学校生活の中で挫折するようなことも多々あって。アルバイトとの両立も大変でしたし、「（声優を目指すことを）辞めようかな」と思うこともありました。そんなときに81オーディションの存在を知ったんです。さきほど言った通り、養成所費用が無料になるのも大きかったのですが、もしこのオーディションに受かったら、声優を諦めない理由にもなるのかなと。チャレンジのひとつとして何か残せたらいいな、と思っていました。

――当時の挫折というのは、例えばどんなことだったんでしょう……？

大久保：専門学校では、学内でオーディションが定期的に行われるんです。それで今後の人生が決まるわけではないのですが、クラスの中には巧い子ももちろんいて、「あ～、なかなか上手くいかないな」と自分の実力不足を感じていました。いち学生ではあったんですけど「あんまり向いてないのかな」と悩んでいましたね。だからオーディションに受かったときは嬉しかったです。

――学校生活の中で葛藤があったのですね。では駒田さんの場合は？

駒田：声優として第一線で活躍するには、大きなオーディションに合格するのが最短ルートだと思っていました。「81オーディション」は媒体が挟まった大会ではなく、事務所が直に開催しているオーディションです。

いろいろとオーディションは調べていたのですが、事務所の名前を冠しているオーディションは多くない印象がありましたし、「事務所が本当に新人を求めているのかもしれない」「このオーディションに受かれば81プロデュースの一員になれるかもしれない」という期待がありました。

また、オーディションの要項もシンプルで分かりやすかったんです。そこは意外とドライで逆に好感が持てたというか。

大久保：「すぐにデビュー！」とは書いてないんですよね。逆に言うと、養成所へ行けたとしても、たとえオーディションでグランプリを取っても、実力次第では（事務所に所属できず）落とされる可能性もある。

駒田：そうなんです。でも受ける価値はあるなと思いました。瑠美さんが話していた通り養成所に特待生として入ることができますし、自分が求める最短ルートで最前線に立つことができるんじゃないかと。

――白田さんの場合はどのような道のりがあったのでしょうか。

白田：「81オーディション」を受ける前に別の養成所に通っていたんですが、そこには所属することができずどうしようと思っていた時に、お世話になっていた方から「白田、次も大手に挑戦したらどうだろう？」と言われたんです。「大手と言えば81プロデュース……81オーディションだ！」って（笑）。

駒田：そういう経緯だったんだね。

白田：そうなんです！　81プロデュースと言えば、知らない人がいないくらい大きな事務所です。そこで改めて「81オーディション」の要項や合格者の方々のお名前を見たら凄まじい方々が結果を残されてたので、「81オーディション受けよう」と決意しました。このオーディションに合格できたら、もしかしたら81プロデュースの一員になれるかもしれないって。