まだお互いに歩み寄れていない人間と≪境界人≫。虐げられる≪境界人≫たちの想いが浮き彫りになった第4話。『THE MARGINAL SERVICE』甲斐田裕子さん&三宅健太さんインタビュー【連載第5回】
少し心が痛く、心にズキッときた第4話
――改めて先日放送された第4話のご感想をお願いします。
甲斐田:私は前回からの登場でしたが、第3話ではラバー・スーツ役の内田雄馬くんと警備員役の方との収録で、今回初めて≪マージナルサービス≫の方々とご一緒しました。宮野さんと森川さんとはマイクを並べて合間におしゃべりできて楽しかったです。
三宅:イヅナを演じていて、少し心が痛く感じました。人間と≪境界人≫が同居する世界で、イヅナたちは自分たちの存在や考えを知ってほしいという想いがあって。結果的に悪いことをしてしまいましたが、イヅナの境遇や人間側が自分たちの法で≪境界人≫を確保し、裁くことに違和感があったし、ゼノがイヅナに手錠をかけて「貴様らのたくらみはここまでだ」と言われた時、「そのようだな」と目を伏せたイヅナの姿がつらくて。まだお互いに歩み寄れないことを象徴しているようで、収録自体は楽しかったけど、心にズキっとくるお話でした。
――第3話、そして今回とイザベラはかなり体術が強そうですね。
三宅:背中に羽も生えているし。
甲斐田:今回は油断したのか、すぐに投げられてしまいましたけど(笑)。
――思い起こせばイザベラは≪マージナルサービス≫のおかげで警備会社をクビになったわけですよね。
甲斐田:イザベラたち≪境界人≫は子供の頃から人間たちに虐げられて、≪境界人≫たちがつつましく暮らすスラムにもよく警察が取り調べに来て。そんな状況への諦めや苛立ちをあの短いシーンの中で出さないといけない難しさを感じていました。ブライアンがイザベラの元を立ち去る時に、「約束するよ、いつかアンタたちが笑って暮らせるようにするよ」とつぶやくシーンがありましたが、そんな日が来るのか、そしてイザベラはまた登場するのか(笑)、楽しみです。
――イザベラを演じる時に意識したことは?
甲斐田:第3話では生い立ちなどわかっていなかったけど、悪い人ではないことは感じていました。あとニヤっと笑う表情があったり、上から目線の発言があったり。
三宅:ちょっと似ているよね?
甲斐田:私に? 何ですと!?
三宅:絵がね(笑)。
甲斐田:第4話で生い立ちが明かされて、つらい過去や、やり場のない怒りがありつつも、あまり出しすぎず、根底には置いておこうと思って演じました。
天狗とテクノロジーをMIX!? イザベラの悲哀などの人間ドラマも魅力的
――≪境界人≫が実体を現わすまで時間やエピソードを重ねていますが、イヅナは割と実体化が早かったような気がします。
三宅:なんせ天狗ですから(笑)。森川さんとマモちゃんの話では、ゲストキャラの≪境界人≫とはもっと戦うみたいでしたが、そういうこともなく。素直にいいヤツでしたね。演じる時は、「人間とは少し違うトーンで聞こえたらいいな」と思いながらセリフを発していました。あとセリフにもLPとか、ひと昔前のアイテムとかも出てきたので、少し時代的に古く聞こえたらいいなと。
――イザベラがブライアンたちにイヅナの悲しい過去を話していましたが、天狗の姿を現した時もどこか悲哀を感じました。
三宅:(甲斐田さんを見て)どうでしたか?
甲斐田:イザベラがブライアンたちにイヅナについて語るシーンがありましたが、まじめに働いていて、不法移民の運動にも参加したり。イザベラの家に爆弾を仕掛けたのもイザベラが犯行と無関係であると思わせるためにやったことで。
三宅:本当は心根が優しい男なんです(笑)。頭がいい分、常に2、3歩先を考えて動いてしまうがゆえの悲劇だったのかなと。こんなことをしなくても、じっくりと自分の存在を示すことができなかったのかな?と思ったりします。
――あとブライアンとゼノを自動で拘束して、爆破スイッチがオンになるあの有名なスイッチ的な仕掛けもすごかったです。イヅナは元物理科学者を目指すほどの天才だからこそできるんでしょうね。
甲斐田:天狗とテクノロジーという組み合わせもおもしろいですよね(笑)。
三宅:腕力ではなく、頭脳で勝負というところが(笑)。でもイヅナだけでなく、イザベラからも悲哀を感じました。
――改めて第4話は生っぽい人間ドラマだったなと思います。
甲斐田:オンエアでそこを感じてもらえたらいいですね。