互いの配役に「逆じゃね?」 正解がわからない収録エピソードの数々│『THE MARGINAL SERVICE』下野紘さん&内山昂輝さんインタビュー【連載第7回】
ジャパン澁宿という架空の世界を舞台に、≪境界人≫と呼ばれる”伝説上の生き物”が起こす事件を解決する≪マージナルサービス≫というチームの活躍と、≪境界人≫たちの謎やドラマを描いたオリジナルTVアニメ『THE MARGINAL SERVICE(ザ・マージナルサービス)』が好評放送中!
第6話では、サメの≪境界人≫に襲われた≪マージナルサービス≫のメンバー。ほぼ不死身のペックに爆弾を持たせ、サメの口の中で爆発させる作戦を遂行。しかし、サメの≪境界人≫が脳腫瘍を患っていると察したサイラスは医者として治療することに。
アニメイトタイムズでは、本作のインタビュー連載を毎週掲載中。第7回にご登場いただくのはサイラス・N・空閑役の下野 紘さんとペック・デズモント役の内山昂輝さんです。
放送されたばかりの第6話の振り返りと次回の第7話の見どころ、好きな映画について語っていただきました。
下野さんと逆では? 内山さんのペック役に衝撃!?
――作品に対する印象や感想をお聞かせください。
サイラス・N・空閑役 下野 紘さん(以下、下野):普通のアニメとは違ってぶっ飛んでるなって(笑)。第6話まで収録しても、いまだにこの作品の全容やどこに向かっているのか全然わからなくて。でもまだ過去が明かされていないメンバーもいるし、今後が楽しみでもあります。
ペック・デズモント役 内山昂輝さん(以下、内山):作品の内容も新鮮でしたが、まず思ったのはこのキャラ(ペック)が何で僕なんだろうと。
(全員爆笑)
内山:お話をいただいて、ペックのデザインを見てみたらビックリしました。しかもオーディションではなく、ご指名をいただいて。
下野:僕だって思うもん。逆じゃねって。
内山:僕と下野さんの配役は逆でも全然イケますよね。
――どうしてペック役が内山さんなのか、理由を尋ねられたのでしょうか?
内山:よくお世話になっている会社からのお話だったので、「自分らしさを発揮すればいいんだろうな」と思って引き受けましたが、スタジオではまったく想像していなかったことを求められて。衝撃の連続で、「あっ、どうしよう」と思ったけど、「受けちゃったからしょうがない」と(笑)。
下野:僕も事務所から「新しいアニメへの出演が決まりました」と言われたけど、手元に届いたのはキャラ絵と台本しかなくて。キャラ絵と名前がサイラスとしか書いていなくて。だから台本と絵から想像して固めていって、第2話の収録後に設定資料をいただいて、やっとサイラスがどんなキャラなのか知りました。
――もしかしたら、下野さんにお任せしたほうがいいお芝居をしてもらえるという信頼感からかもしれませんね。
内山:作品のキャラクターたちと同様に、演者に対してもあまり情報を渡さずにやってもらおうという戦略だったのかも。
下野:絶対そんなことない! ロビンとボルツならわかるよ。でもサイラスはところどころで説明しなきゃいけないから。
内山:巻き込まれ型主人公のブライアンとかと違って、サイラスは詳しく説明するシーンも多かったですもんね。
下野:達観している佇まいだし。
内山:とはいえオリジナルアニメなので、結局はスタジオでスタッフの方々とコミュニケーションをとった上でどう表現していくか、ですからね。
下野:そうだね。ペックをやっている内山くんに言える立場じゃなかったね。ペックが初登場した第2話の収録が内山くんと一緒だったからペックを作り上げていく過程を見ていたけど、「普段は絶対こんな芝居しないだろうな」って。
内山:今までやったことないです。
下野:内山くんの新しい扉が開かれたと思いました。
内山:あまり開かなくてよかった扉かもしれない。このアニメを見て、ペックみたいなキャラクターのオファーがきたらどうしよう(笑)
下野:ただ確実にみんながビックリするのは間違いないよね。
内山:それはペックに限らず、他のキャラとかお話の展開にも衝撃を受けたと思います。
内山さんがペック役を作り上げていく過程と葛藤とは?
――具体的に内山さんはペックをどのように作っていったんですか?
内山:オリジナル作品なので事前にわからない部分も多いし、とりあえず自分の持ち味を活かして組み立てていけばいいのかなと思って、スタジオでテストをやってみたら「もっと(トーンを)高く」と。それで僕なりに等身が低いキャラのイメージで高めに出したら「もっと高く。裏声で話してほしい」と言われて。
それでやってみたら全然きれいに音が出なくて。試行錯誤しつつ何度かテイクを重ねていったらOKをいただいて、その日はキョトンとしながらスタジオを後にしました(笑)。
下野:(笑)。それ以降はちゃんとペックでOKを重ねているわけだから。
内山:『ハリー・ポッター』でドビー役の吹き替えを高木 渉さんがされていたのを聞いて、「この方向かも」と参考になりました。高木さんは高いところとハスキーな部分を組みあわせて巧みに表現されていて。そういう自分のアイディアも取り入れてやっていくようにしました。
下野:僕も自分で考えてやっていかないとダメだなと思いました。この第6話では特に、サイラスとブライアンの声量の違いとか。
内山:会話している二人の距離が少し離れているんですよね。船で釣っているブライアンと甲板の上にいるサイラスで。
下野:釣っていてテンションが上がっているブライアンと、釣ってないでただボソボソしゃべっているサイラスということで、バランスをとるため、若干声を強めにしました。もちろん音響の方が調節してくれるとは思うけど、自分なりに考えて変えていいのかもしれないと第6話にして初めて思いました。そういう意味で、内山くんのほうが掴むのが早かったですね。
内山:でも自分なりにやっていく中で「ここはもっと高い声で」と裏声の要素を求められるシーンもあって。ただ、これは僕の技術の問題ですけど、裏声だと言葉を強く出せないんですよね。
――ペックはおっさんぽさもありますが、内山さんが演じるおっさんぽいキャラも見たことがないような。
内山:でもペックはたまにかわいい顔もするんですよね。表情変化が大きくて、目が飛び出したり、何でもアリで。統一感にこだわりすぎず、そのシーンやカットごとのおもしろさを追求していったほうがいいのかなと思っています。
下野:ただ内山くんがペックをやってくれているおかげで、スタジオのみんなは「今回どうやっているのかな?」という楽しみがあります。(ブライアン役の)宮野(真守)くんなんて「今日、ペックと一緒か」とか「ペックと一緒じゃないのか……」と毎回言うしね。
――下野さんと内山さんの配役が逆でもいいんじゃないかというお話がありましたが、下野さんは小動物の役が上手ですよね。
内山:下野さんはペックを上手に演じられると思うので、いつか役をシャッフルしてアフレコしてみるのもありかも。
下野:それはおもしろそうだね。僕もたぶんペックはやりやすいと思うし。
内山:もしボルツやロビンのマッチョ系がきたらどうします? ヤバいですよね?
下野:確かにヤバいね。まだセオドアのほうが頑張れるかもしれない。内山くんのサイラスも合うと思う。≪マージナルサービス≫のメンバーで誰が一番自分と合わないかなぁ。ライラ以外で。
――下野さんならライラ役もいけそうな気も?
下野:いけねぇよ!(笑) すみません、思わず強めにツッコんでしまいました(笑)。