『マクロスΔ』戦術⾳楽ユニット“ワルキューレ”ファイナルライブツアー最終日公演レポートが到着|1stライブのオープニングナンバー「恋! ハレイション THE WAR」でツアーを締めくくる
TVアニメ『マクロスΔ』より誕生した戦術音楽ユニット“ワルキューレ”の単独最後となるファイナルライブツアー「SANKYO presents ワルキューレ FINAL LIVE TOUR 2023 〜Last Mission〜」。
このたび、6月4日(日)に幕張メッセ 国際展示場 1-3ホールにて開催された本ツアーのファイナル公演の公式レポートが到着しました!
「SANKYO presents ワルキューレ FINAL LIVE TOUR 2023 〜Last Mission〜」幕張Day-2公式レポート
5⽉20⽇から始まったワルキューレのファイナルツアー。東京、⼤阪、そして追加公演となる幕張メッセまで、3会場6公演、3週間に渡って、ワルキューレは“⼥神の歌声”をファンへ届けてきた。⽇替わり曲やメドレー合わせて、「ワルキューレのバースデイソング」以外の全楽曲をツアーを通して歌うという最⾼で最強のセットリストを実現させ、しかも本番は、瞬間完全燃焼で、1公演1公演、本当に燃え尽きるまで歌いきり、最⾼のライブを届けてくれていた。まさに、ワルキューレの8年の活動で積み上げてきたものすべてを捧げたツアーだったと⾔えるだろう。そのファイナル公演、幕張Day-2。4時間を超えたライブの模様をレポートしていきたい。
Day-2は『マクロスΔ』の主⼈公 ハヤテ・インメルマン(CV.内⽥雄⾺)が影ナレを担当。開演前に「最後まで最⾼の⾵吹かせような︕」と会場を煽ると、観客が湧く。壮⼤なBGMが流れ⼤地を揺さぶりファンの気持ちを⾼めると、どこからか⾵の⾳が聞こえてくる。
ステージにハインツ・ネーリッヒ・ウィンダミアの歌担当メロディー・チューバックが現れ、「オーラ・サーラ〜光る⾵〜」を歌っていく。その美しい歌声は会場を包み込み、観客もその神々しさに息を飲みながら⽩いペンライトを揺らしていた。歌の後半はステージに炎が灯り、ライブの始まりを告げる。
暗闇から静かに始まったオープニングムービーにフレイア、美雲、カナメ、レイナ、マキナが登場し観客を沸かせる。草原を駆ける彼⼥たちとΔ⼩隊が⼀緒にラストミッションに前向きに挑む姿は今回のライブを象徴する壮⼤な物語となっていた。新規に作られた次曲のイントロと共に、映像がフェードアウトすると、そこにワルキューレの美雲Δ JUNNA、フレイアΔ鈴⽊みのり、カナメΔ安野希世乃、レイナΔ東⼭奈央、マキナΔ⻄⽥望⾒が横並びに⽴っている。まずはデビューシングルから2曲を披露。いきなりの「⼀度だけの恋なら」にどよめきが起き、美雲ΔJUNNAも声の限りに歌い上げていく。幕張の⼤きな会場に張り巡らされた花道とミニステージに5⼈が散らばっていくと、メンバーの周りにはメンバーカラーのペンライトが灯り、会場が5⾊に彩られる。そして、センターステージに5⼈が揃うと「泣いても笑ってもラストミッション︕ みんな準備はいいんかね︕」とフレイアΔ鈴⽊みのりが叫び、彼⼥がメインボーカルを務める「ルンがピカッと光ったら」へ。久々の声出し可能のライブとなった今回のツアー。数年のブランクがあっても彼⼥の煽り上⼿なところはまったく変わらない。「Wow Woh」と叫ぶ観客に“まだまだきっと声出せる︕”と歌詞をアレンジし、煽りまくる。4⼈も花道から観客を盛り上げ、ボルテージが上がっていく会場。最後は5⼈でジャンプをしまくり、〈ゴリゴリアタック︕〉と声を合わせて、⼼をひとつにする。
最初からアクセル全開で⾶ばしていくワルキューレは、まったく⽌まる気配を⾒せない。続く「破滅の純情」では、観客もさらに⼀段ギアが上がったかのような熱狂ぶりだった。美雲ΔJUNNAが何度も何度も〈純情︕純情︕︕〉と叫び、ロングトーンでエモさを出し、魂の歌を響かせる。かと思えば、レイナΔ東⼭奈央が〈「好・き・よ」〉を“「⼤好き」”にアレンジし、観客のハートを撃ち抜く。そして、無数のレーザーが⾶び散る中、ワルキューレも5声が重なる歌のビームをステージから放った「絶対零度θノヴァティック」。クールなカッコよさがある曲だが、ダンスにアレンジを加えていたり、歌にニュアンスを⼊れたりして、ライブならではの魅⼒を付加していく。
キャラクターでのMCで、会場とライブビューイングのファンへ挨拶をする。そして「銀河のために」(マキナ)「誰かのために」(レイナ)「いま、私たち」(フレイア)「瞬間完全燃焼」(美雲)「命がけで楽しんじゃえ」(カナメ)、「ゴー︕ ワルキューレ」という決め台詞を繋げて披露したのは「チェンジ!!!!!」。フォーメーションダンスと5⼈の個性的なボーカル、そしてコーラスの美しさ……改めて、この5⼈のバランスの良さを再確認した。
バンマスを務める⻄脇⾠弥のピアノソロで⼀度クールダウンすると、再びライブのオープニングのようなイントロが流れ始める。「歌は⽣命︕」(カナメ)「歌は愛︕」(レイナ)「歌は希望︕」(マキナ)「歌は神秘︕」(美雲)「歌は元気︕」(フレイア)というキャラクターのセリフのあと、今度は後⽅のステージに出現したワルキューレが「唇の凍傷」を歌っていく。すぐにトロッコに乗り込むと、『劇場版マクロスΔ 絶対LIVE!!!!!!』で、観客の上空を滑っていくアイススケート演出を思わせるかのように、トロッコで会場を疾⾛していく。
ソロで歌を繋いでいき、離れた場所から5⼈で声を重ね、最後は限界を超えていく感じがたまらない。さらに「いけないボーダーライン」では、美雲ΔJUNNAとフレイアΔ鈴⽊みのりがソロを熱唱。5⼈それぞれ、歌っていないときはトロッコから⼿を振り、会場のファンと⽬を合わせていた。この楽曲では、間奏で⿊⽥晃年と外園⼀⾺のツインギターが銀河争奪バトルを始めるのだが、ワルキューレライブ初となるツインギターも、この⽇の⾒どころのひとつになっていた。「Walküre Attack!」では、バラバラのところで歌を届けていた5⼈が、センターステージに集まってくる。メインステージで歌っていた美雲ΔJUNNAが、最後にセンターステージまでの花道を駆けていくのだが、フレイアΔ鈴⽊みのりがそれを受け⽌め抱きしめる。終盤は背中合わせになって、歌を全⽅向へと届けていった。
静寂のあと『劇場版マクロスΔ 激情のワルキューレ』から、メッサーとカナメの映像が流れる。新規で録り下ろしたカナメからメッサーへのメッセージを受け取り、こちらも新録された「歌ってくれ、カナメさん 歌ってくれ、ワルキューレ」というメッサー(CV.内⼭昂輝)のセリフで始まった「AXIA 〜ダイスキでダイキライ〜」は、カナメΔ安野希世乃が命の歌声をメッサーに届くように歌い、4⼈がそれを⽀える。
スクリーンで展開されるメッサーと⽩騎⼠キースの壮絶な対決を⾒守るカナメΔ安野希世乃。そしてメッサーの最期……。「GIRAFFE BLUES」は、美雲ΔJUNNAとフレイアΔ鈴⽊みのりがメインで歌い、途中でカナメΔ安野希世乃が加わる、アニメに沿った演出で感動を誘う。その後バンドがアウトロを演奏し続けていったのだが、バンドメンバーそれぞれの魂のこもった演奏に、⼼が震えた。
雰囲気が⼀転し、今度はYami_Q_ray(ヤミキューレ)のターン。センターステージの上⽅のリングからスモークが噴射され、そこに現れた闇雲ΔJUNNAが「Glow in the dark」を熱唱する。静かに始まり⼤胆に展開していくエモーショナルなナンバーでグイグイと観客を引き込んでいく。
ステージで円になり内側を向いて歌い踊る5⼈を、ステージの中央からのカメラが捉える。感情を振り切ったメンバーの表情をスクリーンに映し出す演出がカッコいい。さらに「Dive in Abyss」へ。5⼈の歌が複雑に絡み合い、時に重なっていく難易度の⾼い曲だが、“堕天使の歌”を完璧なパフォーマンスで披露。Yami_Q_rayラストは「綺麗な花には毒がある」。花道やミニステージで座り込んだり、闇マキナΔ⻄⽥望⾒に関しては、寝転んで歌ったり、⾃由気ままな無邪気さに、狂気すら感じる最⾼のステージだった。
再びハインツの歌声が響き渡る。メロディー・チューバックが「ザルド・ヴァーサ!〜決意の⾵〜」を、⻑い花道を歩きながら歌っていく。戦いを予感させる楽曲からワルキューレの新たな戦いも始まった。
マクロスエリシオンの発進映像とともに、⽩いドレスに⾝を包み、⼥神のように美しくなった5⼈がメインステージに降り⽴つと、炎が吹き上がる中「ワルキューレがとまらない」を歌う。ソロを楽しそうにニュアンスを⼊れて歌っているのが印象的だった。
その勢いのまま〈いつかこの声が果てるその⽇まで 歌うよ〉という美雲ΔJUNNAのシャウトから始まった「ワルキューレは裏切らない」。⼒強い五重唱で、5⼈が声を振り絞っていく。
そんなワルキューレを後押しするように「オイ︕オイ︕」とコールをし、⼒を送り続ける観客。両者の間にも強い絆が⽣まれ、「ワルキューレはあきらめない」へ突⼊。〈あきらめない〉と何度も何度も繰り返す歌だが、絶対にあきらめないからこそここまで来たワルキューレを象徴するような歌だ。みんなで⼒の限り、声の限りに歌い切り、そして踊り切った。このブロック最後は「未来はオンナのためにある」。花道でソロのダンスを繰り出したり、ここでは5⼈の楽しそうな姿も垣間⾒えた。
ほとんどノンストップで突っ⾛ってきたライブ。キャラクターによるMCで、「ゴー︕」「ワルキューレ」のコール&レスポンスを繰り返しテンションを⾼めていくと、ラスト2曲へ。「Absolute 5」を後⽅ステージで披露。息の合ったダンスで、誰ひとり⽋けても成り⽴たないワルキューレの全⼒パフォーマンスを⾒せつけると、「思い残すことなく楽しみましょう︕」とフレイアΔ鈴⽊みのりが叫んで、本編ラストは「ルンに花咲く恋もある」を、トロッコに乗りながら、会場中に届けていく。ツアー開始当初から「さよならではなく、ありがとうを伝えるライブにしたい」と約束していたが、観客の近くまで⾏って、歌とありがとうの気持ちを届けていた。そしてこの⽇最⾼の演奏をしてくれたバンドメンバーを、誇らしげに紹介。ここにも⼤きな絆があることが伝わってきた。
アンコールは、これまでTシャツになっていたが、ファイナルだけは着替えずに、⽩い⾐装に髪飾りとしてヴェールを付けて登場し、アルバム「Walküre Reborn!」のソロ曲を中⼼としたメドレーを歌っていく。美雲ΔJUNNAの「無限⼤DRIVE」からフレイアΔ鈴⽊みのりの「⾵は予告なく吹く」。歌謡曲調の「キキワケナイ︕」をカナメΔ安野希世乃が歌い、「マダマニア」は、トロッコからマキナΔ⻄⽥望⾒が、念願だった観客と⼀緒に歌っていく。そしてレイナΔ東⼭奈央が「キズナ→スパイラル」で内にある熱い気持ちを届ける。
そして、フレイアΔ鈴⽊みのりによる「愛してる」。この曲をウエディングドレスを着て歌ってほしかったのだと思う。花道がヴァージンロードのようで、彼⼥も歩きながら⼿で⾶⾏機にしたり、おでこにルンを作ったりして、ハヤテとフレイアを想いながら歌っていく。そして最後の〈愛してる〉は、ワルキューレのメンバーへ向けてのものだったのだろう。
最後のMCでは、キャラクターではなく個⼈として、それぞれが思いの丈を涙ながらに話していく。安野希世乃は、アニメスタッフ、ワルキューレチームへありがとうを伝える。中でもバンドメンバーへ「あなた⽅なしには、ライブの歴史は紡いでこれませんでした」と⼤きな感謝を⾔葉にする。
「解散でも卒業でもない。⼀⽣私たちはワルキューレです」と、ワルキューレへの特別な想いを⼝にした東⼭奈央は、少しだけ寂しいけど同じくらい幸せだと気持ちを吐露する。
メンバーひとりひとりへ、熱い想いと愛とありがとうの気持ちをたくさん⾔葉にした⻄⽥望⾒。彼⼥がいたからワルキューレの絆はどんどん深くなっていったのだと感じる。
そしてJUNNAは、ワルキューレに、そして『マクロスΔ』に出会えた感謝を語る。そして何より歌と声で⼀緒に美雲を作り上げてきた声優の⼩清⽔亜美へありがとうを伝える。泣きじゃくりながら話す姿はデビュー当初とあまり変わらない感じもして尊い。最後に、鈴⽊みのりがフレイアへの想いを語っていく。「愛してる」で歌詞が⾶び、同じ歌詞を歌ってしまったことを打ち明ける。その歌詞が〈特別な⼥の⼦に私を変えたのは あなただった〉で「フレイアに伝えたかったんだな、私と思った」と語る。そしてファンの声援でここまでこれたことは、『マクロス』の⻑い歴史の中でも、『マクロスΔ』が⼀番誇っていいことだと⼒強く⾔う。
MCのあと、フレイアΔ鈴⽊みのりが花道を歩きだすと「りんごのうた」をアカペラで披露。「ALIVE〜祈りの唄〜」は、5⼈で寄り添いながら歌っていき、会場のみんなで「ラララ」の⼤合唱をして、最後は5⼈で〈ーー⼼から愛してる〉と歌う。「宇宙のかけら」では、終盤に5⼈で顔を⾒つめ合いながら声を重ねていくのが感動的で、5⼈で⼀度固く抱きしめ合い、最後は背中合わせになって、⼿を取り合いながら歌い終えた。
ここでライブが終わったのかと思いきや、イントロが流れて観客がどよめいたのが、1stライブではオープニングナンバーだった「恋! ハレイション THE WAR」。MCでも、ワルキューレは、この先の未来に結成されるユニットだと話していたが、これが終わりではなくワルキューレは銀河のどこかで歌い続けていると信じさせてくれる楽曲で、『ワルキューレ FINAL LIVE TOUR 2023 〜Last Mission〜』を締めくくった。
この公演の最後には、『マクロス』シリーズ新作アニメが制作決定し、アニメーション制作をサンライズが担当することが発表された。『マクロスΔ』そしてワルキューレは、ここで正式にバトンを託したことになる。次にどんな驚きが待っているのか、それも楽しみにしていたい。
全公演、「全曲がクライマックス」を合⾔葉に、瞬間完全燃焼で命がけで楽しんだ、東京・⼤阪・幕張の全6公演のライブ。その写真を100点以上収録し、ワルキューレ全員によるライブ振り返り対談や新規撮りおろし写真など掲載する『「ワルキューレ FINAL LIVE TOUR 2023 〜Last Mission〜」ライブメモリアルブック』の発売も決定︕ まだしばらくの間はこの余韻を感じていたい。
【Text by 塚越淳⼀ / Photo by 川島彩⽔ 冨⽥味我 VictorNomoto】