『デッドマウント・デスプレイ』榊原優希さん×水瀬いのりさん×内田雄馬さん アニメ第1クール最終回直前 座談会|ポルカに守りたい場所ができたんだなと思って、ほっこりしました
原作:成田良悟先生×藤本新太先生による、衝撃の異世界転生ノワールファンタジー『デッドマウント・デスプレイ』のTVアニメが2023年4月より放送中! 「新宿」を舞台に、個性的なキャラクターたちが暴れまくる!
アニメイトタイムズでは、最終回直前となる今回は、四乃山ポルカ役の榊原優希さん、崎宮ミサキ役の水瀬いのりさん、繰屋 匠役の内田雄馬さんに、これまでを振り返ってもらった。
3人が演じたポルカ、ミサキ、匠をお互いはどう見ていたのか?
――いよいよ最終回直前ですが、それぞれが演じているキャラクターについて、皆さんはどう思われましたか? まずは榊原さんが演じた四乃山ポルカから。
榊原優希さん(以下、榊原):彼は凄く純粋な子だなと思っていました。ポルカくんの見せてくれる表情には、ギャグがあったり、シリアスパートがあったり様々なシーンがあるんですけど、その中でも彼は一貫して平穏を求めているんです。様々な常識外れの言動は、ポルカくん的にはボケようとしているわけではなく、異世界人であるが故にという感じなんですね。なので、そういう彼の中身はブレないようにと考えて演じていました。
また視聴者からすると、物語が進むにつれて新たにわかることっていうのがあるんですけど、ポルカくん自身はすべて経験した上でそこにいるんです。だから第1話から、ポルカくんの過去をすべて踏まえた上で演じていこうと思って、原作は熟読していました。彼の中にある純粋さの源はとても大切にしたいと思っていましたね。
水瀬いのりさん(以下、水瀬):出しすぎないお芝居って難しいだろうなぁと思いながら、ポルカくんを見ていました。不思議系なキャラクターなんですけど、それが素に聞こえるさじ加減とかもきっと難しいんですよね。。でも、第一声を聞いたときに、ポルカくんだな~って思ったし、彼がいた転生前の世界の深みも感じる声だったんです。彼の見た目に合う声ではなく、何かしらのバックボーンを抱えているんだなっていうミステリアスさを感じたので、素敵でした。
榊原:やった!
内田雄馬さん(以下、内田):僕もポルカは難しい役だなぁと思っていました。それにポルカって誰よりも経験値があるんですよね。
ポルカの思考や行動に周りが影響を受けていってるんです。
淡々とした中に信念があるのだと表現していかなければいけないので大変ですよね。それをしっかり引っ張っていってくれたので、匠としてツッコみやすかったですし、ポルカも素敵だなと思いました。
――続いて、水瀬さん演じる崎宮ミサキはいかがでしたか?
水瀬:彼女を演じる上で、あまり細かいディレクションはなかったんですけど、楽しそうでへんてこな女の子だったので、「周りに流されない我が道を行きすぎた子」みたいな(笑)、振り切った彼女らしさを表現できるように心掛けました。
話が進むと、ポルカくんの言動に対しては「え!?」って、匠くんと同じようなリアクションを取るんですけど、匠くんよりは人ではない感じというか……キャラクターっぽい、アニメーションっぽいコミカルな返事をしていたりするんです。この子って、素もこれなんだ!と思い、底抜けの狂気と無邪気さを常に意識していました。
榊原:無邪気っていうのが、すごく出ているんですよね。邪気の結果の狂気ではなく、無邪気の結果の狂気なんだなっていうのが、僕から見たミサキちゃんの大切なポイントだと思っているんです。それが第一声を聞いたときから「なんてミサキちゃんなんだ!」となって! アフレコは水瀬さんと内田さんと収録が一緒になることが多かったんですけど、お二人共めちゃくちゃ上手いので、ついつい演技を聞いてしまう瞬間があったりしたんです……。ミサキちゃんの無邪気な興味が爆発した結果の狂気がバシバシ伝わってきて、聞いていて感動しました。
内田:ミサキってずっと笑顔なので、最初に読んだときにキャラの心情が読めないな~って思ったんです。表面的には笑っていて楽しそうなんだけど、その塩梅が難しいというか。笑顔だけど温度がないみたいなときもあるし、それが逆に純粋無垢に見えて怖いし……。
その中で、そこにたまに熱が入ってくるポイントがくると、ハッとさせられます。観ていてすごく面白いですね。
――内田さん演じる繰屋 匠はいかがでしたか?
内田:これは以前のインタビューでも話しましたが、(ヘッドマウントディスプレイを付けていて)目が見えていないというのが、めちゃめちゃ難しかったんです。キャラクターが何を考えているのかを、台本と顔、特にキャラの目で確認することが多いので、どのくらいの温度感で話しているのかを演じながら掴んでいく感じでした。
彼は頭がいいので、相手のことを感じることはできるし一般常識もあるから普通に返答できるんだけど、彼にとって、これは入れ込むべきものなのか、それともやめておいたほうがいい、くらいなのか、そこのバランスがすごく難しいなって感じました。そういう意味では、序盤はこの3人で掛け合いで録れたことは大きかったです。
榊原:匠くんは一番の被害者ですからね(笑)。ポルカくんが来たことによっていろんな事に巻き込まれてしまうし。すべてをぶん投げて逃げることもできなくはないんでしょうけど、端々から匠くん本来の世話焼きな部分? めんどくさいなって素振りを見せながらもサポートしてくれたりする内側の優しさがにじみ出ているんですよね。だから声を聞いていると、もっと変なことをしても、きっと守ってくれるっていう安心感がありました(笑)。
水瀬:もう!みたいな感じで不満を言っているけど、同じ方向へ向かっている感じはありますね。受け入れてくれるし、向き合おうと思ってくれる。あとは説明セリフが多いすかね。ミサキは何もしていなくて「ふんふん」とか言っているだけなんですけど(笑)、それを全部カバーしてくれているのが匠くんで、ブレーン的なポジションだから、どんどん好きになるキャラクターだと思います。
――これまでで印象的なエピソードを挙げるとしたら、どんなところでしょうか。
水瀬:四乃山家はすごかったです。息苦しいおうちって思っちゃって(笑)。
内田:怖いですよね(笑)。
水瀬:圧のすごい人が多いので、緊張しちゃいますよ。
内田:ポルカと四乃山呂算との会話とかもすごかったよね?
榊原:さすがパパでした(笑)。呂算さんの空気感が、唯一無二のものですごかったんですよ。だから僕もポルカくんと一緒に緊張するような感じでした。僕の緊張が、あの空気に乗っかって、いい方向に作用したんじゃないかなって思います。
2人の会話って、いろんな物を飲み込んだ上での「で、どうする?」っていう、次元がひとつ上の知的な会話なんですよ。知的な会話ができるおじさまって、個人的に好きなので、「これは推せるわ!」って思ったりしました。
内田:まさかの呂算推し(笑)。
榊原:おじさまはいいですね!
――呂算役の山路和弘さんとは掛け合えたのですか?
榊原:一緒には掛け合えなかったんですけど、ボイスを聞くことはできたので、そのとき「呂算さんだ~」って思ったので、ちゃんと緊張してできました。
――四乃山 尊(CV.小西克幸)もやばいですよね?
榊原:すごく存在感があるんですよね。尊さんも直で掛け合えなかったなぁ。
水瀬:確かに。四乃山家だと、小夜(CV.大地葉)とは一緒に録れました。
――小夜はユニークなキャラクターですよね。サメ好きっていう。
水瀬:ここで真ポルカくんのサメとつながるんだ!って思いました(笑)。
榊原:そこで、ドヤー!って感じの真ポルカくんも面白かった。
水瀬:あと、四乃山家に行ったとき(第6話)、ミサキって、頭がいい子なのかな?っていうくらいおしとやかなご令嬢モードになっていたんですよ。こんなに器用に立ち回ることができる子だったんだ!って、改めて知らないミサキの狂気が見えた感じがするんですよね。こうやって自分を偽って隠したりもできて、普通の感覚も知っているんだ!って。
内田:令嬢のふりをしてたね、そう言えば(笑)。
水瀬:あんなに凄みのある呂算さんに対しても、内心ドキッとしつつも渡り合えていたので、「殺し屋殺し」として壮絶な環境下にいたから、そこは臆することなく立ち会えるんだなと思いました。あそこはポルカくん的も「ミサキちゃんすごい」って思ったんじゃないかな。
――ここでは、ミサキもしっかりと四乃山華月(CV.芹澤優)と紫月(CV.市川蒼)を助けていましたからね。
水瀬:お姉さんっぽい部分を見せました(笑)。
榊原:助けてくれてありがたかった。あそこで守ってもらえなかったら、ポルカが傷ついていたかもしれない。
――そうですね。
榊原:個人的には、華月と紫月が乗り込んできたときが面白くて(第5話)。あんなに最初は強気だったのに、「こいつ、録音してます」って黒服に言われたり、泣きそうになっていて(笑)。
――匠に口で負けていましたからね。
内田:あの感じがかわいいし、そこからのエピソードもめちゃめちゃ良かったですよね。あれは、ポルカが視えているからこその話だったというか。
――あそこで、涼火の霊に助けを乞われたからこそ、ポルカが「この子たちは僕が守る」と、助けに行ったわけですからね。
水瀬:ここはちょっとサスペンス感もありましたよね。誰が犯人なんだって。
内田:それで現れるのが火吹き蟲の偽物でしたけど、本物も出てきて、結局誰だったの?って、謎がかなり深まったエピソードでもあったから、ここから加速していく感じはありましたよね。
――厄ネタも集結していっている感じがありますね。ソリティア(CV.高橋広樹)も出てきたりして。
内田:そうですね。だから、あのマークが出てきたときは「うわっ!」って思いましたよ。第9話の飛行船のシーンですけど。あれ? これは異世界なのでは?ってなったし。
榊原:皆さんも、出たよあのマーク、どういうこと?ってなったと思います。いろんな考察が捗りそうですよね。
内田:絶対に1クールで終わらないでくれ!ってなると思う(笑)。
榊原:ここまでは、元の世界(異世界)要素みたいなのは出てきていなくて、元の世界は完全に切り離して、新宿を舞台に話が進んでいくんだと思わせておいての「滅びた帝国の国章だ!」(第9話)でしたからね。
水瀬:何かの因果とか関係があるんだ!って思いました。
榊原:そういうところが面白いですよね! あとは、明確にこのシーンが、というわけではないんですけど、ここまでで、ポルカくんにとっての自分の平穏を守りたい場所、平穏を保ちたい場所の定義がだんだん広がっていっているのが個人的にはすごく好きなんです。
ミサキちゃんや匠くんに危険が及びそうになったら、そこも含めた上で平穏を守ろうとするんですよね。彼は過去、いろんなものを失ってきているので、辛いこともあったけど、この世界に来て、ちゃんと守りたい場所ができたんだな、増えたんだなってほっこりしました。良かったね、ポルカ!って。
――「どんな短い時間でも…一緒に笑ってくれた子を見捨てて得る平穏なんて、僕はゴメンだ」(第5話)という台詞もありましたからね。
水瀬:私たち3人の会話の距離感もだいぶ近くなって、「仲良くなりすぎ」って言われたこともあったり(笑)。その変化も感じていただけると思うので、見返してみるのもいいかもしれません。