『アリスとテレスのまぼろし工場』五実役・久野美咲さんインタビュー|「誰かをまっすぐに好きになる気持ちを大切にしたい、そう気付かせてくれる作品だと思います」
2018年に公開された『さよならの朝に約束の花をかざろう』で監督デビューを果たした脚本家の岡田麿里さん。その最新作となる映画『アリスとテレスのまぼろし工場』(以下、本作)が、いよいよ2023年9月15日(金)より公開中です。
アニメイトタイムズでは、公開に先駆けて本作の3人のメインキャラクターのひとり、五実を演じる久野美咲さんへのインタビューを実施しました。
久野さんは、本作で演じる五実というキャラクターを「眩しいくらい純粋で、真っ直ぐで、私にはちょっと怖いくらいですね」と語っています。そんな役どころを演じる時に必要なものとは!? その理由も含めて必読です!
これまでのインタビュー
まるで水滴がぽたぽたと落ちて滲んでいくような、そんな感情表現をしたいと思いました
――今回、脚本・監督の岡田監督が当初から五実役は久野さんだと想定した、いわゆる“あて書き”での役どころだと伺いました。このお話を知った時の心境をお聞かせください。
五実役・久野美咲さん(以下、久野):信じられないほど嬉しかったです。嬉しい気持ちと同じくらい、相当なプレッシャーも正直ありました。ですが、岡田監督の生み出したキャラクターに命を吹き込むという、それができるということに幸せを感じました。自分にできることは何でもやろうと思いました。
――出演されて感じた作品全体やシナリオの印象は?
久野:初めて脚本を読んだ時に、ものすごく息苦しさを感じたんです。それと同時に、ものすごい生命力も感じて。生きるってこういうことだよなって、まるで呼吸や鼓動が聞こえてくるような、そんな感覚になりました。
――まだコロナの影響もあるかと存じますが、収録での他キャストとのエピソードもお伺いできますでしょうか。
久野:私はアフレコの際に、セリフが被るという理由で、一人で入る個別のブースだったんです。みんなと同時に収録するけど、部屋だけ別、という状況で。ちょっぴり寂しかったのですが、休憩時間の度に、キャストの誰かが様子を覗きに来てくれて(笑)。嬉しかったですね。
――ご自身の演じられる五実というキャラクターの印象や、演じる上で意識したことは?
久野:眩しいくらい純粋で、真っ直ぐで、私にはちょっと怖いくらいですね。こういう純真無垢な役を演じる時って、逆に自分の汚い部分が浮き彫りになる感覚があって、勇気が必要だったりします。何も知らない、まっさらな彼女の白いところに、ひとつひとつ他の色が、まるで水滴がぽたぽたと落ちて滲んでいくような、そんな感情表現をしたいと思いました。