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『アリスとテレスのまぼろし工場』上田麗奈インタビュー

『アリスとテレスのまぼろし工場』佐上睦実役・上田麗奈さんインタビュー|「どこか怖さと色気を感じさせる物語だと思っています」

2018年に公開された『さよならの朝に約束の花をかざろう』で監督デビューを果たした脚本家の岡田麿里さん。その最新作となる映画『アリスとテレスのまぼろし工場』(以下、本作)が、いよいよ2023年9月15日(金)より公開中です。

アニメイトタイムズでは、公開に先駆けて本作の3人のメインキャラクターのひとりである佐上陸実を演じる上田麗奈さんへのインタビューを行いました。

収録時には菊入正宗を演じる榎木淳弥さんと、五実を演じる久野美咲さんと珍しい形でお芝居をしたようで……!?

また、終盤のあるシーンでの岡田監督からのディレクションについての話題も必読です。

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アリスとテレスのまぼろし工場
突然起こった製鉄所の爆発事故により全ての出口を失い、時まで止まってしまった町で暮らす中学三年生の正宗。いつか元に戻れるように、住人たちは変化を禁じられ鬱屈した日々を過ごす中、謎めいた同級生の睦実に導かれ、製鉄所の第五高炉へと足を踏み入れる。そこにいたのは喋ることのできない、野生の狼のような少女―。二人の少女と正宗との出会いが世界の均衡を崩していき、日常に飽きた少年少女たちの、止められない<恋する衝動>が世界を壊し始める―。作品名アリスとテレスのまぼろし工場放送形態劇場版アニメスケジュール2023年9月15日(金)キャスト菊入正宗:榎木淳弥佐上睦実:上田麗奈五実:久野美咲笹倉大輔:八代拓新田篤史:畠中祐仙波康成:小林大紀園部裕子:齋藤彩夏原陽菜:河瀬茉希安見玲奈:藤井ゆきよ佐上衛:佐藤せつじ菊入昭宗:瀬戸康史菊入時宗:林遣都スタッフ原作・脚本・監督:岡田麿里副監督:平松禎史キャラクターデザイン:石井百合子美術監督:東地和生音楽:横山克制作:MAPPA配給:ワーナー・ブラザース映画 MAPPA主題歌「心音」中島みゆきアニメイト通販での購入はこちら公開開始年&季節2023アニメ映画(C)新見伏製鐵保存会『アリスとテレスのまぼろし工場』公...

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14歳でありながらも、それ以上に大人っぽい年齢感で演じている

――出演が決まるまでの経緯とその時の心境からお話いただけますでしょうか。

佐上陸実役・上田麗奈さん(以下、上田):キャラクターの台詞の間尺を測るなど、制作する上で画面作りの参考のために作るVコンテ の収録に、ご協力いただけませんかとオファーをいただいたのがこの作品と関わった最初の機会でした。

数名のキャストでキャラクターを兼ねながら収録したのですが、私はその時から睦実役も振っていただきつつ、クラスメイトや、おじいちゃんおばあちゃんやお母さんも含めて担当しました 。

そうやって何日かに分けて1本の映画を収録していきました。 そのおかげかこの作品への愛着がどんどん増して、本番の収録でも何かしらの形で関わりたいなと思うようになりました。その後、しばらく経ったタイミングで睦実役を本番でもお願いしたいと連絡をいただいたんです。

なので改めてオーディションを受けることはなく、Vコンテの収録を受けて制作スタッフのみなさんに決めていただいた形です。関わっていく中で作品自体がとても好きになり、睦実というキャラクターにも思い入れができていたので、決まったときは本当に嬉しかった……!

――本作は岡田麿里さんが脚本・監督を務めています。上田さんから見た作品全体の印象はいかがだったでしょうか?

上田:シナリオを一度読んだだけでは、発見できない魅力や伏線がたくさん残ってしまうくらいの情報量だなと。なおかつキャラクター同士の言葉数が少なく、1カットの中に一言しか台詞がないのに、凄く情報が込められている……みたいなカットがたくさんあった印象もあります。

とても濃い物語だと思いながら読んでいたのですが、そのうえで正宗や睦実たちの爽やかでは決してない青春のいっぱいいっぱいさが何か怖くもあり、寂しくもあり。切実だからこそ胸が苦しくなる、どこか怖さと色気を感じさせる物語だと思っています。

 

――どこかキャラクターたちが傷つき傷つけあいながらも近づこうとしていくような印象がありました。

上田:傷つけあってはいるのですが、本心はその言葉とまた別のところにあったりするんですよね。正宗と睦実、五実はなんとなくそれを感じとりながら会話しているようにも見えました。ずっと14歳を続けているからか、少し大人っぽいやり取りをしていた印象もあります。14歳を繰り返しているというキャラクターたちの描かれ方もまた絶妙で、ただ少年少女たちの傷つけあいや喧嘩を描いている訳ではないんです。

――ずっと14歳を続けている という年齢感のキャラクターを演じる際に難しかった部分はありましたか?

上田:最初はどのくらいの年齢を意識したらいいか悩みました。自分としては14歳だとしても大人っぽいんじゃないかと思うくらいのラインだったのですが、その感じで大丈夫との言葉をいただいたので、それからは安心して収録に臨めました。

榎木さんとは本番の収録で初めて掛け合いをしたのですが、榎木さんも14歳にしては大人っぽく、それでいて年相応の可愛げがある絶妙なラインのお芝居をされていたので、正宗とのバランスも違和感なく観ていただけるのではと思います。

――睦実を演じるうえでご自身で意識されたことや、睦実というキャラクター自体の印象もお願いします。

上田:睦実は他のキャラクターたちよりも色々な事情を知ってしまっている中で、どうにかして感情を動かさないように、心を動かさないように、そして本心がバレないようにと一生懸命に生きている女の子です。

なので心を動かさない方が楽だという諦めの気持ちが強いのだと思ってVコンテの収録の時は演じていたのですが、榎木さん演じる正宗に出会ってからは心を動かさない苦しさが理解できてしまって……。

その影響もあって本番の収録からは、一生懸命だからこそ出てしまう無駄なアンニュイさを意識するようにしました。収録を終えた今となっては、そのアンニュイさこそが睦実の魅力なんじゃないかなって思ったりもしますね。

――五実と掛け合う時の陸実についてはどんな印象がありましたか?

上田:五実に対しての睦実は、ずっと好きになってはいけないと思いながら接していたはずです。けれど、やっぱりどうしたって放っておけなくなってしまう。その構ってあげたくなってしまう感情が、睦実はかなり強いと感じました。その強さは元々そういうキャラクターとして描かれていたからなのか、演じる私自身が影響してしまったのかはわからないのですが……。

ただ完成した映像を見たときに、そんな睦実がなんだか素敵だなって思えたんです。彼女の恋と愛の狭間で揺れる危うさみたいなものがとても放ってはおけなくて、庇護欲を掻き立てられるような魅力があると思いました。


 

(C)新見伏製鐵保存会
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