『白聖女と黒牧師』最終話(第12話)放送後インタビュー:監督・野呂純恵さん|「心の結びつきを重視した恋愛表現を心掛けていました」
和武はざの先生によって月マガ基地で連載中の漫画『白聖女と黒牧師』。本作のTVアニメが、TOKYO MXほかで遂に最終回を迎えました。
アニメイトタイムズでは本作の出演声優陣にメールインタビューを実施していましたが、今回は特別に監督を務めた野呂純恵さんが登場!
本作が最終回を迎えた今の心境や作中を通してのセシリアやローレンスの見せ方、印象に残るエピソードの制作時に意識したことなどを語っていただきました。ぜひ本記事を通してアニメ『白聖女と黒牧師』を振り返ってみてはいかがでしょうか。
あわせて、今回も和武先生による描き下ろしイラストが到着しています。
原作・和武はざの先生描き下ろしイラスト|第12話放送後「パンケーキ」
最後まで頑張ってくれたスタッフの皆様に感謝の気持ちでいっぱいです
――最終話まで放送が終了しました。まずは今の心境をお願いします。
野呂純恵監督(以下、野呂):無事に終わってよかったです。最後まで頑張ってくれたスタッフの皆様に感謝の気持ちでいっぱいです。
――アニメ化にあたって原作の和武はざの先生とはどのようなお話をされましたか?
野呂:主に方向性のすり合わせや確認をさせていただくことが多かったです。作品の認識は先生ともそんなに齟齬がなかったのでスムーズに話が進みました。
あとは聖女とは何なのか? 定義は? ルールは? そういった原作で明らかにしていない部分についても教えていただきました。
――本作のオープニング&エンディングの絵作りやこだわりについても教えてください。
野呂:正直オープニングもエンディングもほぼノータッチです(笑)。
担当してくださった演出さんたちが本当に優れた方で、コンテの段階からこだわりが詰め込まれていて圧倒されました。
やったことと言えば、オープニングではセシリアの心境に寄せて明るくキャラも見せつつ、エンディングではローレンスの心境に寄せて落ち着いた優しい感じで、あとはお任せします~とお伝えしたぐらいで、そうしたらとんでもなく素敵なものが出来上がってました。
何度も見返したくなるオープニングとエンディングを作って下さり本当に感謝です。
――公式サイトで放送前に公開されたコメントにおいて、「もどかしくも見“守っていたくなる」そんな優しくて暖かな雰囲気をアニメでも丁寧に表現しようと心がけております。と述べられていました。これを実現する上で特にこ”だわった点、苦労されていた点を教えてください。
野呂:あくまでも主人公二人は両(?)片想いであり恋人同士ではないということを強く意識してました。
恋人に見えてしまうと応援したい気持ちになりにくいですし、だけど必死な恋愛にはさせ過ぎず、「一緒にいられて幸せ」と当の本人たちがのほほんとしていることで「もどかしくも見守っていたくなる」雰囲気を実現できたように思います。
実はアニメでは原作よりも接触を控えていたんですが、これももどかしさを増長するのがねらいでした。
――特にローレンスの鈍感さは視聴者のみなさんにとって非常にもどかしいポイントだったかと思います。彼の鈍感さを表現する上での絵作りや、演じる石川さんへのディレクションで印象に残っているものを伺えますでしょうか。
野呂:石川さんは割と最初からローレンスでしたね。シナリオやコンテ段階からキャストさんへのディレクションが難しそうだと感じていたシーンなんかは大体杞憂に終わります。時には、その方向で来ましたか…! 確かにその方がローレンスっぽい! とこちらが学ばせていただく場面も多かったです。
絵作りで言うと、とにかくデレさせないことを徹底しました。セシリアのアプローチに対するシーンではよくデレた表情で描かれがちだったので、そういう時は表情の修正をお願いしてました。
――逆にセシリアの可愛らしいアプローチも応援したくなるポイントです。そんな彼女の健気さやふとした時にローレンスに見せる表情や甘えるような仕草を表現する上でのこだわりや、演じる澤田さんへのディレクションで印象に残っているものも伺わせてください。
野呂:セシリアの見せ方は一番苦労しました。アニメ化にあたって視聴者を男女のふるいにかけない作品にしたかったので、単にセシリアが可愛いだけだと女性にとってはうま味がないんですよね。
実際に1話の絵コンテを描いていた時はセシリアが計算高く見えたり、あざとく見えたり…いわゆる同性に嫌われるタイプの女の子になってしまって。原作ではそんな印象を受けないので、どうしてだろうとよく漫画とにらめっこしたものです笑
聖女の一面を持っている分、肉質的な恋愛感情を持たせると純粋さが削がれてしまうんでしょうね。なので心の結びつきを重視した恋愛表現を心掛けていました。あとは原作でもよく見かける小動物のような表現もセシリアを描く上で欠かせなかったです。素のままのセシリアに見えるから恋愛描写でもいやらしさが出ないので、結構重要な要素の一つでした。
澤田さんの収録初日は本当に緊張していて笑 最初のテストでは芝居が硬くてちょっと心配だったんですが、音響監督や他のキャストさんが場を和ませてくれたようで、いざ本番になったらスッとスイッチが入ったように豹変したのを今でも覚えています。