夏アニメ『白聖女と黒牧師』最終回直前!澤田姫さん×石川界人さん×石谷春貴さん×中村カンナさんインタビュー|声優陣が語る一番印象に残っているエピソードとは
2023年7月よりTOKYO MXほかで放送中のTVアニメ『白聖女と黒牧師』。本作は和武はざの先生によって月マガ基地で連載中の漫画を原作としており、聖女・セシリアと、真面目で料理上手だけれど鈍感な牧師・ローレンスのもどかしい関係性が描かれています。
アニメイトタイムズでは本作の最終話放送を前に、セシリア役の澤田姫さん、ローレンス役の石川界人さん、アベル役の石谷春貴さん、ヘーゼリッタ役の中村カンナさんへのインタビューを行いました。
声優陣が感じたキャラクターたちの印象の変化
――次回がアニメ『白聖女と黒牧師』最終回となります。今の心境をお願いします。
ローレンス役・石川界人さん(以下、石川):この作品はアフレコスケジュールの関係もあり、長期間にわたって関わることになりました。それが遂に最終回を迎えるということで、僕たちも視聴者のみなさんと同じ新鮮な気持ちで最終回を楽しみにしています。今は、長く関わってきた作品が終わる寂しさとようやく最終回を迎える感慨が両方あって、少し複雑な心境です。
セシリア役・澤田姫さん(以下、澤田):私はこの作品で初めてひとつの役をずっと担当することになったのですが、最終回が近づく今も聖女様と一緒にいるような感覚があります。たまに本を読んでいる時に声を出しちゃったりするくらいなので、終わってしまうのは寂しいです。ですが原作はまだ続いているので、アニメはこれで一端終わりになるという感覚でいます。まだ完成した映像は見られていないのですが、アニメ『白聖女と黒牧師』がどんな結末を迎えるのか楽しみです。
アベル役・石谷春貴さん(以下、石谷):アフレコは大体この4人での収録だったのですが、最終回の収録では「あっという間だったね」と話していました。放送が始まると1クールなんてあっと言う間だけれど、この作品らしさは凄く出ていたんじゃないかと台本を読んで思いました。
作中には原作で描かれているシーンを少し入れてみる工夫もあったので、原作とあわせて楽しめる作品だとも感じています。この先のエピソードもやりたいし、できるんじゃないかと思いつつ今は少し寂しい気持ちがあります。
ヘーゼリッタ役・中村カンナさん(以下、中村):この作品はゆったりほんわかした感じで、ここまでも落ち着いた気持ちで見られたと思います。ですが最終回を迎えるとなると、優しい気持ちになれる時間が終わってしまうことに悲しさがあります。最終回はセシリアとローレンスの心情変化の行方が気になる内容になっていますが、ヘーゼリッタはただ見守っているだけなのか、茶々をいれるのかどうかが気になるところです。
――ご自身の演じられているキャラクターの第一印象は序盤から変わりましたか?
石川:ローレンスはかなり変わったと思います。最初はかなり大人っぽい印象を受けましたし、聖女様を導くようなキャラクターとして描かれることが多かったと思います。
けれど聖女様との関係性が深くなったりアベルやヘーゼリッタとも関わることで、徐々に年相応の部分が見えてきました。まるで幼い頃に抑制していたことや、我慢していたものを今取り戻そうとしているかのような印象があります。
自分の気持ちに気づけないとか、自分の感情に整理がついていないとかってみんな思春期で済ませることだと思うんです。聖女様のおかげですが、ローレンスはそれを今になってできているし、ここから成長しようとしているのかなとも思います。
澤田:セシリアもかなり変わったと思います。最初は聖女だけどだらけている印象でしたが、ローレンスに対してちゃんと自分の気持ちを伝えられるし、流されやすそうに見えて自分の軸を持っているカッコいい一面もお話が進む毎に見られたので、今は凄く強い子なんだという印象に変わりました。とはいえ、対ローレンスの時や街でウエディングドレスを見た時、ローレンスがいないところでアベルやヘーゼリッタと話している時はひとりの恋する女の子ですけどね(笑)。
石谷:アベルは他の人と割と壁を作ってしまうタイプで、自分の周囲が見えてしまうからこそバランサーになろうとするところがありました。けれど自分を見られないタイプなので、ローレンスやセシリア、ヘーゼリッタの事は考えつつ、いざ自分となると無頓着で。
そんな彼もお話が進むごとに壁が取り払われて、素を見せられるようになってきました。きっと肩の荷が少しずつ降ろせるようになってきたのだろうなと思います。この先も続けられるのであれば、そんな彼の変化をわかりやすく表現したいです。
その上で彼自身が自覚していない重さがほどかれていっているイメージもあるので、ようやく自分にも目を向け始めている感覚があります。そのまま他の人だけでなく自分も大切にしてくれたら嬉しいと思います。
中村:ヘーゼリッタもターニングポイントが何度もありました。はじめはしっかり者のお嬢様という印象で、アベルに対しては最後まであまり態度が変わりませんでした。けれどセシリアみたいな同い年くらいの女の子と初めて接したり、今まで会ったことのないローレンスのようなキャラクターとも関わったりして段々と柔軟になっていったと思います。私がしっかりしなければと思いつつ、上手く甘えられているといえばいいのかな。柔らかく可愛らしい雰囲気に変わっていったので、さらに愛おしい気持ちになりました。
――ここまでの物語で印象に残ったエピソードもお願いできますか。
石川:ギーゼルベルトさんとフレデリカさんのお話はずっと印象に残っています。おそらく作中屈指のシリアスさで、人の生き死にが関わっている。しかも何らかの他の要因があったら結末が変わっていた、救える未来があったかもしれないじゃないですか。
僕が演じるローレンスが関わる部分ではないですし、アフレコで前野さんや上田さんが演じている所を全て見ていた訳でもないですが、それでも台本を読んでいる時からインパクトが強かったです。原作でも涙なしには見られないお話でしたし。
澤田:私はセシリアとローレンスの出会いのシーンが印象に残っています。誰からも相手にしてもらえなかったのに、それを見つけてくれたローレンスはやっぱりセシリアにとって大きな存在だと思います。手を差し伸べて一緒に動いてくれて、しかもちゃんと自分でも調べた上で話を聴いてくれる。
最後にセシリアが「見つけてくれてありがとうございます」と言うシーンは本当に救われたと思います。私の中ではここから始まったんだなという感覚が大きくて、色々な感情がこみ上げてきました。やっぱり自分を見つけてくれる、見ていてくれる人のありがたみを実感しましたし、自分と重なる部分もあったので私はこのシーンが大好きです。
石谷:僕は作中でずっと描かれていたセシリアとローレンスの「早くくっつけよ!」みたいなやりとりが、話数を経るにつれて少しずつ変化していったところですね。少しずつ変わっていったのはふたりだけではなくて、アベルとヘーゼリッタもだし、街の人たちとの関係もそうでした。ふたりだけだったところから何かのきっかけで3人、4人と関わる人が広がって、ローレンスとセシリアの関係性も徐々に変わっていく。そんなグラデーションみたいな関係性が印象に残っています。
中村:私も石川さんと同じくフレデリカのお話ですね。やっぱりヘーゼリッタ視点で原作を読んで、一番ピンポイントで心に残ったシーンなんです。ここでヘーゼリッタの背景を知ったことが、この作品のオーディションに受かりたいと思ったきっかけでもありました。だからこそアフレコでもこのシーンは一番背負っていましたし、みなさんと掛け合いもできたので思い出深いです。
――収録は済んでいるそうなので、アフレコで印象に残っているエピソードもお聞かせ願います。
石川:どうですか、みなさん!?
中村:やっぱり姫ちゃんの成長を私たちで見届けられたことでしょうか!
石川:親かな!?
一同:(笑)。
石谷:でも後ろから見ている時、みんなそういう顔をしていましたよ!
石川:澤田さんは最初から肝が据わっていたんです。もちろん緊張している様子ではありましたが、アフレコ中に初めて弄ってくれた時は嬉しすぎてどうにかなりそうでした。この作品のアフレコを通してここまで距離が近づいたのだと思うと、一緒に作品を作る仲間としては本当に嬉しくて……!
澤田:私は石川さんを弄った覚えがないんです。緊張しているのを察してお話を振ってくださったことはあるのですが、毎回色々なお話をしてくれるので、アフレコの時は今日はどんなお話かなってちょっと楽しみにしていました。おかげで緊張がほぐれて思いっきりやらせてもらえました!
石川:こんなことを言われたら気持ちよくなっちゃいますよね!
――ですね(笑)。石谷さんや中村さんはいかがでしょう?
石谷:最初のアフレコで入りやすい雰囲気だなって思ったんです。アイキャッチはアドリブだったのですが、本番前のテストではどうするか相談せずにはじめるんです。すると、ああこんな感じなのかみたいな雰囲気で掛け合いが生まれたりしました。後は澤田ちゃんが「ありがとうございました!」って何かお菓子をくれた事もあったよね?
石川:姫様は本当に丁寧で、育ちが本当に高貴で……。
澤田:違うんです! まだアニメの現場に出た経験がなくて、主演なんてどうしたらいいかもわかっていなかったので、自分で調べてみたんです。そうしたら差し入れを持っていく、笑顔でいる、場を盛り上げるみたいに書いてあったので実践していただけなんです!
中村:わぁ!
石谷:ひとりずつお手紙もくださったので、僕も頑張らなきゃって思いましたね。
石川:収録終わりとかにLINEで今日はありがとうございましたと連絡をくれるのですが、おそらく気遣いで最後に返信不要ですと書いてあるんですよ。だから圧をかけちゃうと思って僕から返信したことはないんです。
澤田:忙しいだろうから手間をかけるのも悪いかなって思っていました。
中村:この作品は登場人物が少なかったから、この4人でアフレコする機会が多かったもんね。その分だけこうやって親睦も深められたし、最後のほうはこの雰囲気のままで収録ができたと思っています。とても良い関係性の現場でした。