「ひろがるスカイ!プリキュアLIVE2023 Hero Girls Live ~Max!Splash!GoGo!~」『ひろプリ』ライブリレーインタビュー! キュア・カルテットうちやえゆかさん【連載第11回】
歌を通じて橋渡しをしたい
──うちやえさんに取材をさせていただくのが初めてなので、ぜひ『プリキュア』に対する思いもおうかがいしたいなと思っていました。
うちやえ:私にとって『プリキュア』はすごく大きな存在です。『プリキュア』があったから、歌の世界が広がりました。
結構な大人になってから『プリキュア』の曲を歌わせていただいてますが、『プリキュア』をきっかけに新しい仲間も増えました。そういう意味でも『プリキュア』には感謝しています。
この20年、さまざまなプリキュアが登場しましたが、みんなキラキラしていて。子どもたちが短冊に「プリキュアになりたい」と書いたりするじゃないですか。そういう作品に関わらせていただけていることが光栄です。
『キボウノチカラ〜オトナプリキュア’23〜』もありますし、今後もさまざまな角度から『プリキュア』は進化していくと思いますが、みんなの憧れの存在であり続けてほしいなとは思いますね。
──お話を聞いていて、うちやえさんにとってキュア・カルテットはどういう存在なのかも気になりました。
うちやえ:なんていうんだろう。同志であり、仲間であり……。一緒に楽しみながら作り上げていったというか。ミュージカルでは、キャラクターと自分たちが一緒になって歌ったり踊ったりしていましたが、五條さんも私もやったことがなかったので。
──最初は新しい試みだったわけですもんね。
うちやえ:はい。「ダンスはそんなにないよ」と言われていたのですが、前日リハーサルに行ったら結構ついていて。上手と下手で違う踊りをやるんだ、と(笑)。「よーし、やるしかないね」と五條さんとふたりで必死になりながら練習したのも本当に良い思い出です。
それと、当時はメイクや衣装もみんなで「これでいいかな?」「どうする?」なんて言っていました。もしかしたらみんなは忘れちゃったかもしれないんですけれど、私にとっては、何気ない一つひとつが宝物です。一緒に話し合って歩いてきた仲間だと思っています。
──うちやえさんはアフレコ現場にも毎回のように足を運ばれていたとうかがいました。五條さんも行かれていたと以前うかがっていたので、その話を聞いたところ「いや、うちやえさんほどではないです」と(笑)。
うちやえ:(笑)。そうなんですよ。鷲尾さんに「見に来てください」と言っていただいて「本当ですか!」と。
それまでも歌を歌わせていただく機会はありましたが、『プリキュア』ではシリーズを通して歌わせていただけるということで、現場を見たいなと思っていたんです。
間近でアフレコを拝見させていただいた時に「声優さんがキャラクターに命を吹き込むってこういうことなんだ」と感じました。それで「もっと知った方がいいな」と。
歌い手は老若男女のお客さんの前で曲を歌うじゃないですか。声優やスタッフさんたちの熱量を持っていった上でステージに立ちたいと思ったんです。その橋渡し役になれればいいなと思っていました。勝手にですけどね(笑)。
それで毎週のように遊びに行って。普通は1回、2回くらいだと思うんですけど、「すみません、来週は用事があって」と伝えるくらい(笑)。おかしいですよね。でもそれが自分の中では日常でした。
──他の『プリキュア』シリーズにも言えることだと思いますが『Splash☆Star』はすごく温かい現場だとうかがいました。
うちやえ:本当に居心地が良くて。「こうやって作っているんだ!」と感動しました。樹元オリエちゃんの背中を見て「こんなに頑張るんだ」と。オリエちゃんは役作りというか……むしろキャラクターそのままな気もして、そういう声優さんもいるんだなと。
一方で、あっちゃん(榎本温子さん)はクールだけど、役に入った時には可愛らしさや儚さがある。毎回いろいろな発見があるので、飽きることなく毎週アフレコに行かせていただきました。
声優の皆さんはそれぞれの作品に対して思い入れがあると思うんですけどもも、私は声優さんたちの熱量を『Splash☆Star』の現場で知ったので……マイク前は“聖なる場所”に見えていました。
人がたくさんいる中で、自分の番がきたら音も立てずにすっとマイク前に立って。台本の音だけでなく、服や靴にまで皆さん気を配っていて……その中で、あの熱量のある演技を繰り出していく。皆さんのパワーに引き込まれていました。
オリエちゃんとあっちゃんの関係性がまたよくて。素直なオリエちゃんとリーダーシップのあるあっちゃん。すごく良いバランスだなと思って見ていました。
──その樹元さんと榎本さんのように、うちやえさんと五條さんもすごく素敵な関係性ですよね。
うちやえ:そうなんです!尊敬するシンガーでありながらも、年齢が近いこともあって、もはや家族のような感覚です。当初はこんなに仲良くなるとは思っていませんでした。五條さんが先に『プリキュア』シリーズにいて、大人気のところに私が入っていったので、最初は「どうなんだろう? 大丈夫かな?」なんて思うところがありました。
だけど、五條さんはお披露目の時からすごく気さくで、楽屋で喋るときの雰囲気のまま一緒にステージに行って。そのおかげで変に緊張せず。新しい世界を五條さんに教えてもらったように思っています。その時に『プリキュア』ってそういうものなのかもしれないなと思って。
プリキュアは大切なものを守るために戦うけれど、その前に、友だち同士の友情、楽しいという気持ちがあって。
少し言葉にしづらいですけど、プリキュアの世界に飛び込むというのは、そういうことかなと教えてもらったように思います。本人はきっとそういうつもりはなかったと思うんですけども。
──北川理恵さんから五條さんへの質問が「ライブの極意を教えてほしい」だったんですけど、それに対して「楽しむこと」とおっしゃっていました。
うちやえ:良い質問!その通りだと思います。
──きっと『プリキュア』シンガーはみんなそう思ってると思うとも添えられていて。
うちやえ:その五條さんのマインドが受け継がれていってるんだと思いますね。五條さんがそういうマインドでいてくれるおかげで、私も気負わず楽しむことができました。
今でも覚えている「オーディション合格の連絡」
──話が遡ってしまいますが、うちやえさんが当時『プリキュア』の曲を歌うことになったのはオーディションだったのでしょうか。
うちやえ:オーディションですね。直前にお声がけいただいて。確か曲も前日にいただいたのですが、自分が歌ったことのないくらい速い曲で。じっくりと練習する時間がなかったので、枕を抱えながら歌った記憶があります(笑)。
それで「とにかく元気よく歌ってみよう!」と。今思えば、あまり考えなかったのも良かったのかもしれないですね(笑)。合格のご連絡をいただいた時は「嘘だろ」と思いましたけども。どの場所で連絡を受けたかも、鮮明に思い出せます。
──それほど強烈だったんですね。
うちやえ:強烈ですね。まさかと思っていたので。その時、ちょうど母と一緒に買い物をしていたんですよ。「今すごく嬉しいことがあったけど、親にもまだ言えないし」って(笑)。
それ以前にも『ふたりはプリキュア』の挿入歌「Beautiful World」(「ふたりはプリキュア ボーカルアルバム2 VOCAL RAINBOW STORM!! 〜光になりたい〜」他収録)を歌わせていただけることになった時の、その電話のことも覚えています。衝撃的すぎて、景色と一緒に覚えていますね。「そんなことが起きるの!?」って。
──『キボウノチカラ~オトナプリキュア’23~』のお話をいただいた時も覚えていらっしゃいますか?
うちやえ:はい、原宿にいました(笑)。最初はメールでご連絡いただいたので、最初は「何を? どういうことだろう?」と全貌が分からず『キボウノチカラ~オトナプリキュア’23~』……?という感じでした。
咲ちゃん、舞ちゃんが大人になるということは、その間もプリキュアになっていたのか、それともお休みしていたのか……?なんていろいろ想像してしまいました。
しかもキュア・カルテットをピックアップしていただけるんだと思って。すごくびっくりしたというのが正直なところでした。
──改めて「プリキュアライブ」についてはどうでしたか?
うちやえ:それもびっくりしました。最近の「プリキュアライブ」の様子を見て「かわいいな、みんなキラキラして素敵だな」と思っていました。まさかそこにと。今回は4人なので心強いです。
きっと私の生歌を初めて聞く人も多いと思うんです。「あ、この人なんだ!」「確かに声はそうかも!」と思ってもらうところからはじまるのかも。それに今回は『ひろがるスカイ!プリキュア』をきっかけに来られる方もいらっしゃると思います。
『ひろプリ』が好きなお子さんとは、“はじめまして”になるでしょうし、そういう意味でも、また違った世界の中で、皆さんに歌を届けられるのかなと。
例えば当時の曲「まかせて★スプラッシュ☆スター★」は、大人が聴いてもグッとくるものになっているんですよね。<ヘコんでいいじゃん>など共感していただけるフレーズが散りばめられています。
今回どの曲を歌うかは楽しみにしていてもらいたいところなのですが、歌手のひとりとして、プリキュアの曲の魅力を伝えられたらと思っています。『プリキュア』には「こんなにも素敵な曲がたくさんあるんだよ」と。