TVアニメ『ラグナクリムゾン』ラグナ役・小林千晃さん&クリムゾン役・村瀬 歩さんインタビュー|ラグナ同様、小林さん自身も極限状態に追い込まれたオーディション!? クリムゾンは村瀬さんにとって“制御不能”な存在
月刊「ガンガンJOKER」にて連載中の、小林大樹先生による漫画『ラグナクリムゾン』。
絶対強者である存在“竜”が跋扈する世界で、竜を狩る「狩竜人(かりゅうど)」の少年・ラグナと、彼に協力する謎多き存在・クリムゾンの戦いを描いたダークファンタジー作品です。
本作のTVアニメが2023年に放送決定! ラグナを小林千晃さん、クリムゾンを村瀬 歩さんが演じ、アニメーション制作はSILVER LINK.が担当します。
今回、アニメイトタイムズでは、小林さんと村瀬さんにインタビューを実施!
演じるキャラクターの魅力やお互いのお芝居の印象、オーディション時のエピソード、序盤の収録で印象に残ったシーンなどをたっぷりと語っていただきました。
ラグナ同様、小林さん自身も極限状態に追い込まれたオーディション!?
――作品の第一印象をお聞かせください。
ラグナ役・小林千晃さん(以下、小林):オーディションを受ける際に、資料として原作をいただきました。オーディションの該当台詞は3巻くらいまでだったんですが、本当に面白く、流れるように続きも読み進めてしまいました。
ダークファンタジーなので残酷なことも起きるんですが、それ以上に圧倒的な作画の力と、作品自体にクリムゾンのような「私を読め!」とグッと引き込まれる力を感じましたし、「この作品に受かりたいな」と強く思いました。
テープオーディションもこれまでにないものだったので、印象に残っています。普通に台詞を読むパターンとは別に、「ご自分が思ったシーンや状況、感情を設定してやってみてください」というのがあったんです。
クリムゾン役・村瀬 歩さん(以下、村瀬):あったね! アレ、初めて見た。
――オーディションに関しては、ある種、原作を無視して読んでもいいということでしょうか?
村瀬:無視してもいいですし、(表現を)大きくしたり、逆に小さく、ナチュラルにやってみてもいいんですよね。
小林:自由に台詞を表現してほしい、みたいな感じです。表現の幅とか感受性みたいなものを見たかったのかもしれません。
なので、同じ台詞を二つずつ収録したんです。原作のインパクトも強かったですし、オーディションも挑戦しがいのあるものだったので、すごく印象的でした。
――ちなみに、小林さんはその自由にやっていいパターンで、どのようなお芝居をされましたか?
小林:台詞の対象にかける感情を全然違うものにしました。例えば、原作では尊敬として台詞を言うところを、ちょっと好きの形を変えて興奮気味に言う、みたいな。
あとは、憎しみの感情を出すところを、内側に秘めて、押し殺して最後ににじみ出るくらいのパターンと、最初からガッと出すパターンでやったりしました。
村瀬:演出家っぽい仕事をしているようなオーディションで楽しかったよね。
小林:そうですね。これまでにない体験でした。
村瀬:え~、(オーディション時の音声を)聞いてみたい!
――今後、何かの形で聞けたらいいですね。
村瀬:オーディションのマル秘ボイスみたいな(笑)。
――村瀬さんもオーディションで別パターンを録りましたか?
村瀬:クリムゾンは役割的に、男性バージョンと女性バージョンで録りました。
例えば、メイド姿のクリムゾンが出てくるところは、完全に少女に見えるパターンと、男の人が女装してやっているパターンの2つを出しました。試されている感じがして燃えましたし、面白かったです。
小林:普段のオーディションでも何個かパターンは考えますが、最終的に一番しっくりくる1つに絞るので、今回、2パターンできたのは嬉しかったです。
村瀬:やっぱりそれだけ演技の幅を気にしているというか、しっかり聞きたいんだなと思いました。
特にラグナは上手い人じゃないとできないと思います。変化の機微をちゃんと追いつつ、同時にきちんとラグナとしての一貫性が必要なので。
「めちゃくちゃ難しい役だけど誰がやるんだろう?」と思っていましたが、小林くんのお芝居を聞いて、超合っていると思いましたし、すごく好きです。
小林:嬉しい。ありがとうございます。
――村瀬さんは原作の印象はいかがでしたか?
村瀬:オーディションの時に読ませていただいて、めちゃくちゃ面白くてハマりました。ついつい読む手が止まらず、(その時点の)最新巻まで買いました(笑)。
小林:ただのファンですよね(笑)。
村瀬:そのぐらいハマりました。もちろんお仕事する上では、全ての作品を大事にしていますから、村瀬個人としてという意味ですね。というか「男の人ならみんな好きでしょ! こんな面白い漫画!」と思います。
単純にストーリーラインも面白いんですが、「なぜか未来に超強い自分がいて、そこから力が送られてくる」という、ありそうでなかった設定も魅力で。「それにはクリムゾンが関わっているようだぞ?」と読み取れたりするんですが、思わせぶりな、完全には掴ませずに、先が気になるところがすごく多いんです。つい続きが気になって、読み進めていく中で「絶対に受かりたいな」と思いました。
小林:僕もお話をいただいて、後から原作を買うことはもちろんありますが、基本、オーディションに受かった後ですね。
村瀬:普通はそうだよね。
小林:もし落ちたらそれが手元に残るので、やっぱりどうしても、作品として見ることはできても、ちょっとイヤなんですよね。「好きなんだけど、まったく関われなかった」みたいな気持ちになるので(笑)。でも今回、それでも買っちゃうくらいの魅力があったってことですよね。
村瀬:そうなのよ。
「これは全部知った上で、絶対に取りたい」という意思が強烈にありました。
――お二人とも、かなり強い気持ちでオーディションに臨まれたんですね。テープオーディションを通り、スタジオオーディションはどのように臨まれたのでしょうか?
村瀬:実はクリムゾンはテープだけで決まったんです。
小林:もとからテープだけで決めるつもりだったかは分からないですが、村瀬さんは満場一致だったと聞きました。
村瀬:ありがたい話です。
クリムゾンとラグナはバディなので、クリムゾンを先に決めて、そことバランスが取れる人を選ぶという意味もあったのかもしれません。
――なるほど。では、小林さんはスタジオオーディションでの思い出などはありますか?
小林:テープオーディションは、原作3巻くらいまでの内容の4台詞が用意されていて。「スタジオでもこの4台詞をやります」と聞かされていたんですが、いざ当日にブースに入ると、「4台詞だけだとちょっと分からないからこれも読んでみてよ」と12台詞くらい渡されました(笑)。
村瀬:とんでもないだまし討ちだよ!(笑)
小林:台詞量が一気に3倍になったうえに、いただいていた原作より先のシーンの台詞も含まれていて。一応、「こういう理由でこういう台詞になってます」と状況説明はいただいたんですが、とはいえ、初めて読む単語とかもあったのでとにかく大変でした。
村瀬:(宣伝担当を見て)笑ってますけどだまし討ちですからね!(笑) でも、とっさの対応力も見たかったのかもね。
小林:それもあるんだと思います。急に渡された時にできるのか、追い込まれた時に何が出るのか見たかったのかもしれません。ただ、当事者としては「やめてくれよ!」と思いながら必死にやっていました(笑)。
村瀬:でも確かに、原作になぞらえてみても、ラグナはめちゃくちゃ強いんですが、敵も同じくらい強いので、ギリギリの戦いになることが多いんですよ。ある意味、そういう極限の状態に置かれた中で、どれだけのポテンシャルが出せるのかを見たかったのかも。
小林:小手先じゃなく、その時にどうできるかみたいな。
その時はまだクリムゾンが誰になるかは聞いていなかったので、「クリムゾン役の人との相性もあるな」と思いつつ、とにかくいただいたものを全力でやったという印象ですね。全力すぎたので、スタジオオーディションに関してはあまり記憶がないです(笑)。
村瀬:でもきっと決め手がそこであったんだろうね。
よかった、こっちはいきなり12ワード増やされなくて。聞いたことない。
――やはり珍しいことなんでしょうか?
小林:作品によってはスタジオオーディションを複数回やらせていただくこともありますが、それでもこんなに急に台詞が増えることはなかなかないです。たまに1、2台詞増えるくらいですね。
村瀬:逆に台詞がカットされるとかね。それだけ本気で、いろいろ知りたかったんだろうね。
小林:なので、スタッフの方たちの作品に対する熱量はすごく感じました。
――最初のラグナの状態にも通じるところがありますよね。いきなりすごい情報量が押し寄せてきて、有無を言わさず行動を迫られるというか。
村瀬:確かに。果たして作り手がどこまで考えてやっていたかは分かりませんが(笑)。
小林:単にドSな人がいただけの可能性もあります(笑)。
村瀬:「オーディションの台詞少ないから、1時間前だけど12個くらい追加しとく?」みたいな(笑)。
真相は僕らには何も分かりません。何にせよ、決まったからよかった。
小林:本当に。今となっては笑い話です(笑)。