『ティアムーン帝国物語~断頭台から始まる、姫の転生逆転ストーリー~』ミーア・ルーナ・ティアムーン 役・上坂すみれさんインタビュー|アーティスト活動10周年となる私にとって、OPテーマ「ハッピーエンドプリンセス」はこれ以上ないお祝いの歌
2023年10月7日(土)からTOKYO MXほかにて放送の『ティアムーン帝国物語~断頭台から始まる、姫の転生逆転ストーリー~』。
ティアムーン帝国の皇女ミーアは民衆の革命によって断頭台で処刑されましたが、目覚めると処刑前までを綴った血染めの日記と共に、12歳の頃にタイムリープ! 保身上等&自己中最強のポンコツ姫は、第二の人生はギロチンの運命を回避するため大奮闘します。
本稿では、ティアムーン帝国皇女ミーア・ルーナ・ティアムーン役である上坂すみれさんのインタビューをお届けします!
作品の印象やミーアの演じ方、オープニングテーマの「ハッピーエンドプリンセス」について語っていただきました。
「かわいい絵のタッチからは想像がつかないほど、ハードでリアルな中世」
――本作の印象をご覧になった感想はいかがですか?
上坂すみれさん(以下、上坂):かわいい画のタッチからは想像がつかないほど、ハードでリアルな中世の感じが出ていますよね。魔法はないけれど、ギロチンが出てきますし、民衆は飢饉や貧困を抜け出すために革命を起こします。
歴史を辿っているようなお話ですが、ミーアの「今度は絶対ギロチンを回避する!」という気持ち良いくらいの保身があって、そこから民衆のことを考えて、根本的な世直しに繋がっていきます。
魔法や奇跡、偶然に頼らずに人脈などを手堅く作っていくところが骨太なストーリーで、ミーアを心から応援できるようになっています。
――冒頭の物語はもちろん、設定がハードなことに驚きました。
上坂:そうですね。幽閉されて民衆の前でさらし首になるところから、12歳に戻ってやり直すという骨太さで重厚なストーリーでありながらも、ミーアとアンナの可愛さも楽しめるので、キャラクターものとしても魅力があって、色々な側面から楽しめる作品だなと思います。
――では、世界観やストーリーの印象と魅力を教えてください。
上坂:思ったよりも厳しい現実を突きつけているなと思います。最初は味方もいなくて、わがまま放題した因果応報で、最後を迎えたゲームオーバーから始まるストーリーが、印象的に見えると思います。
そこから、政治の流れや飢饉が起こり、国を収めるのに必要なワードがたくさん出てくるんですけど、全体を通して真面目に硬く見ないといけない作品かと言われるとそうではありません。
ミーアがお菓子を大好きだったり、アベル(CV.松岡禎丞)やシオン(CV.堀江 瞬)との関係性、王子との駆け引き、学校に行って今度こそは友達を作ろうとする姿であったり。ミーアの為政者としての側面と12歳らしい側面が、1話の中でまんべんなく描かれているので、歴史ものを見たことない方も楽しめると思います!
――ビジュアルや作画もかわいいですよね。
上坂:はい、青基調で良いですよね。ミーアはダンスが上手で、貴族の嗜みがあるところも描かれるので、ポンコツですけど、ミーアの意外な才能にグッときたり、姫や貴族ならではの悩みも描かれていますね。
――そんなミーアを演じる前は、どんな印象をお持ちでしたか?
上坂:ミーアはドラマCDの時から、演じさせていただいています。第一印象としては、愛されている子だなと思いました。
アンヌをはじめ、学園のみんな、政府の人々からも一目置かれており、彼女自身にも行動力があって、すごく主人公らしい主人公というイメージでした。
12歳になるまでの経緯や「前の人生の失敗を繰り返さない」という思いが、彼女(の様々な行動)をかき立てています。
ただ前向きなだけではなく、もうギロチンにはかかりたくないという気持ちが出発点にあり、色々な人と出会い、成長して、民や国を思い、帝国の姫の風格が備わっていく彼女の成長ストーリーなので、演じていてどんどん印象が変わっていったキャラクターです。
――幽閉されてやさぐれた姿から、明るくかわいい姿までギャップが印象的でした。演じられた時に、音響監督(亀山俊樹)さんからギャップに対するディレクションはありましたか?
上坂:最初は食事もなくアンヌだけが会いに来てくれる状況で、絶望感、無気力と言いますか。「どうして」というセリフが多いです。
けれど、その状況を打破しようとしたり、考える気力もなくて。20歳ですが、疲労感をプラスしてもう少し上の年齢に感じるお芝居になっています。
12歳のミーアはドラマCDでも演じていたので、イメージはそんなに変わりませんでした。
ミーアは幼いですが、脳みそは20歳なので「幼すぎなくてもいいですよ」「演技をしていて、彼女の知性が節々に出る分にはそちらを優先してください」とディレクションいただきました。
――1話「タイトル」では、アンヌとの関係性が丁寧に描かれていましたが、アンヌ・リトシュタイン役の楠木ともりさんと共演してみていかがでしたか?
上坂:分散収録ではありましたが、アンヌとは結構一緒に収録できました。アンヌもドラマCDの時から、お声を聞いていたので、イメージがとてもしやすくて。動いているアンヌは想像以上にドジっ子でした(笑)。
前の人生で、(アンヌは)最後までミーアを見捨てないでいてくれたすごく優しい子で、悪意が全くないキャラクター性が楠木さんの真っ直ぐなお声にとてもぴったりだなと。
ミーアは、言ってることと考えてることが全く逆の時があるので、アンヌの「そういうことなんですね!」っていう真っ直ぐなセリフに、「まあ、そんなところですわ!」みたいな感じではぐらかしてしまうミーアとアンヌの対比がすごく面白いです。
キャスト全員がキャラクターと合っているので、これから登場するキャラクターにもご注目ください。収録していても凄く楽しかったです。
――楠木さんとの掛け合いで大切にされていたことはありますか?
上坂:アンヌは真っ直ぐな子で、疑うことを知らなくて、ミーアの言うことを全部受け入れてくれるんです。ミーアはどうしたらアンヌを傷つけないか、誤解させないかときっと考えていると思います。(ミーアは)前の人生のこともあって、ある種の緊張感を持って、色んな人と対峙していますよね。
アンヌは最後まで味方だったし、家族のように感じているキャラクターだと思うので、従者というよりすごくかわいい妹という気持ちで掛け合いしました。
――完成した映像をご覧になっていかがでしたか?
上坂:前の人生はモノトーンに近いような、色がなくなっていて冒頭の雰囲気が伝わりますよね。アンヌが櫛で髪を梳かしてくれますが、ミーアの髪が弱っていて全然櫛が通らなかったりする描写がリアルで。
でも打って変わって、12歳になったシーンはすごくカラフルですし、全体的に色味がかわいくて。空の青さの描写なども綺麗で、ひと目見てどんな状況なのかすごくはっきりわかる画の作りになっているので、原作を読んだことのない方でも物語に入りやすいと思います。
ぜひ原作未読の方にもおすすめしたい1話です。