嬉しさと緊張が押し寄せた劇場アニメ初主演! 新人コンシェルジュ・秋乃の感情とリンクした演技――『北極百貨店のコンシェルジュさん』秋乃役・川井田夏海さん×エルル役・大塚剛央さんインタビュー
コンシェルジュのような相手の考えや想いを汲み取って、自ら行動起こせるよう人になりたい
――完成した映像を見た率直な感想をお聞かせください。
川井田:原作の絵の再現度が素晴らしいです。そして映像だからこそできる繊細な表現もとても豊かで、キャラクターの足音や百貨店のざわめきも丁寧に表現されていて驚きましたし、私も北極百貨店へ足を運びたい!と思いました。
大塚:原作の雰囲気をここまでアニメーションに描き起こせるなんて!と驚愕でしたね。あと、本作は原作エピソードを総集したストーリーとなっているので、作品を読んでいると「あのエピソードで出てきた動物だ!」という発見とワクワクがある素晴らしい作品になったと思いました。
――役作りをする際に意識したことはありますか?
川井田:実は、収録が始まるまで1人で色々な事を考えたんですけど、なかなか思うように秋乃にならなくて。現場で収録をしながら役を固めていったという感覚です。
具体的には、秋乃が持つ温度感を2度上げるイメージで、とディレクションをいただいたり、キャストの皆さんと掛け合いをしてみて、改めて相手との距離感や目線に気付いて、お客様の体の大きさや心境によって声のかけ方が変わってくるな、と意識して演じさせていただきました。
あと、コンシェルジュは人のお手伝いをする職業なので、相手に寄り添うような演技を心がけていました。
――大塚さんはどんなことを意識されていましたか?
大塚:エルルは人の言葉を話すので人間のようにセリフを読んでいたんですけど、音響監督の菊田さんから「エルルの見た目からそのお芝居だと人間クサすぎて違和感がある」とディレクションいただいて。
川井田:難しそう……。
大塚:でも、そのディレクションがあったからこそ、エルルのくちばしや鼻がどこにあって、どのように口を開けて話すのかをもっと意識しなければいけないことに気がつけて、役を作り直すことができました。だから呼吸の仕方はかなり意識して演技しています。
――秋乃とエルルの出会いは衝撃的で、別れるシーンも独特だなと感じました。ふたりの掛け合いで大切にされたことはありますか?
川井田:秋乃はエルルさんと出会うたびに踏みつけてしまうわけなんですが、あまり踏みなれた感が出ないようにしました(笑)。いつも新鮮な気持ちで。
大塚:逆に僕は踏まれ慣れている感じにしています(笑)。
川井田:(笑)。
大塚:エルルは踏まれても大きなうめき声を上げないんです。そういったところにも彼の落ち着いたところが滲み出るかもしれないと考えたので、キャラを崩さず踏まれることは意識しました。
――作中では、秋乃がコンシェルジュとしてお客様と接するとき、様々なことに注意しています。声優も人と接する機会が多いと思いますが、普段から大切にしていることや本作から学んだことがあればお聞かせください。
川井田:ここ最近はコロナの影響で、共演者の方と現場でご一緒することが少なくなっていました。だけど、やっぱり先輩方から多くのことを学びたいので、お芝居中や休憩中にどんなことをされているのか、観察した後に自分から積極的に話しかけるようにしています。
大塚:僕は自分からあまり話しに行かないタイプで、この人はどんな性格なのかと観察するところから始めちゃうんですよ。だから作中のコンシェルジュさんたちみたいに相手の考えや想いを汲み取って、行動起こせるようになりたいですね。まずは持ち物を褒めてみることから始めてみようかなぁ。
――とても素敵なことですね。最後に公開を楽しみにしているファンへメッセージをお願いします。
川井田:すごく温かいストーリーになっていて、皆さんもきっとお気に入りの動物ができるのではないかと思います。背景で起きている小さな物事も丁寧に描かれていて一度ではすべて見切れないと思うので、何度も劇場へ足を運んでいただけたら嬉しいです。よろしくお願いします。
大塚:僕自身、絶対にもう1回見たいと思いましたし、他の方も同じように感じていただけるはずです。また、原作を読んでいると自分なりの発見があってより楽しめると思いますので、あわせて見ていただけたら幸いです。
[取材・文・撮影/嶋脇]
『北極百貨店のコンシェルジュさん』作品概要
あらすじ
一人前のコンシェルジュとなるべく、フロアマネージャーや先輩コンシェルジュに見守られながら日々奮闘する秋乃の前には、あらゆるお悩みを抱えたお客様が現れます。
中でも<絶滅種>である“V.I.A”(ベリー・インポータント・アニマル)のお客様は一癖も二癖もある個性派ぞろい。
長年連れ添う妻を喜ばせたいワライフクロウ父親に贈るプレゼントを探すウミベミンク恋人へのプロポーズに思い悩むニホンオオカミ・・・
自分のため、誰かのため、様々な理由で「北極百貨店」を訪れるお客様の想いに寄り添うために、秋乃は今日も元気に店内を駆け回ります。
キャスト
(C)2023⻄村ツチカ/⼩学館/「北極百貨店のコンシェルジュさん」製作委員会