映画『北極百貨店のコンシェルジュさん』ウーリー役・津田健次郎さんインタビュー|仕事に誇りを持って働くことは素敵なことだと新人コンシェルジュ・秋乃から学んだ
新人だからこそ失敗を恐れず、己を信じてやり抜くことが大切!
――お気に入りのシーンや思い入れのあるセリフについてお聞かせください。
津田:飛べないはずのエルルが飛び出す場面は、本作最大のカタルシスな部分だったので感動しました。エルルが移動する時はお尻を押してもらって、ずっと床を這っていたんですよ。そんな彼が、勢いよくジャンプするのはいい演出だなと思いました。
エルルもそうなんですけど、フロアマネージャーの東堂さんやコンシェルジュらフロントに出ない人たちがお客様と同じように主人公のひとりとして輝いているのが本当に好きなんです。
あと、レストランや香水販売店のシーンは、お客様と店員が一緒になって難題に向かっていて「このように北極百貨店は成り立っているんだ」っていうのを感じられて、すごく印象的でした。
あとで知ったんですけど、「Joel Robuchon(ジョエル・ロブション※)」を取材していることがわかった時は驚愕しましたね。「恵比寿にあるあの有名なレストランがこの映画の制作に関わっているのか!」と。
※世界で最もミシュランの星を獲得していると言われるシェフ、ジョエル・ロブションが手掛けるレストラン。今回ロケハンが行われたのは恵比寿ガーデンプレイスにあるガストロノミー ジョエル・ロブション。
――クレジットを見てご自身で気づかれたのでしょうか?
津田:スタッフさんからのネタバレではなくて、クレジット見て気づきました。あと、伊勢丹と高島屋の2社も取材していて、スタッフさんの制作に対する強い想いを感じましたし、演じさせていただけてありがたかったです。
――本作は、新人コンシェルジュとして秋乃が「北極百貨店」に来店したお客様のために奔走する物語となっています。作品を見て新人時代を思い出したり、共感したりしたことはありますか?
津田:仕事の苦しさや喜びが本作で丁寧に描かれていたので、新人の頃に失敗したことなどを思い出しましたね。やる気が前面に出すぎて余計なことをしてしまったりとか(笑)。
――今のお姿からは全く想像できません。
津田:いやいや、空回りしてばかりでしたよ。やる気が前面に出過ぎてしまって、バランスが取れなかったんです。だけど、そこが新人の良さだと考えていて。周りと比べてどこかはみ出しているからこそ、他とは違った発見をしたり、獲得できるものがあったりすると思うんです。
何かを恐れて守りに入ってしまうと開けない世界や見えない景色が出てきてしまうので、新人の時は、やる気を前面に出した方がいい気がします。そしてそんな新人をベテランがフォローアップしていくというのが理想です。
――やる気が出過ぎて、アフレコで監督に注意されるなんてこともあったり?
津田:かなりありますね(笑)。当時は、どうしても自分のやりたい芝居を通そうとして色々とやりすぎてしまい、個人的に呼ばれて「君は、頑固だね」と言われました。
――お話を伺っていると、己を貫く心が成長させてくれたように感じました。
津田:今もその心は忘れないようにしなくてはいけないと思っていて。ある程度のキャリアを積めば、バランスを取ることはそんなに難しくはなくて、逆にはみ出ることの方が難しいんですよ。
失敗を恐れず、自分の感性を信じてやり抜くことが大切だと思いますね。
――作中では、秋乃がコンシェルジュとしてお客様と接するとき、様々なことに注意しています。声優も人と接する機会が多い職業かと思いますが、普段から人と接する上で大切にしていることや本作から学んだことがあればお聞かせください。
津田:本作からは、自分の仕事に誇りを持って働くのはとても素敵なことだということを学ばせてもらいました。
あと、作中では「コンシェルジュの辞書に“NO”の2文字はない」というセリフがあるんですが、基本的に声優も“NO”がない職業だと思っていて。作品全体のことを理解している監督がリクエストしたことに応えられるよう努力しています。もちろんそれだけじゃなく、僕のやりたいことも混ぜこんでより良いものにしていけたらいいなと思います。
――最後に公開を楽しみにしているファンへメッセージをお願いします。
津田:普段見落としがちな大切なことを丁寧に描いていて、見ると温かい気持ちになります。年齢を問わず、子供から大人まで楽しめる作品になっていますので、ぜひ見ていただきたいです。
『北極百貨店のコンシェルジュさん』作品概要
あらすじ
一人前のコンシェルジュとなるべく、フロアマネージャーや先輩コンシェルジュに見守られながら日々奮闘する秋乃の前には、あらゆるお悩みを抱えたお客様が現れます。
中でも<絶滅種>である“V.I.A”(ベリー・インポータント・アニマル)のお客様は一癖も二癖もある個性派ぞろい。
長年連れ添う妻を喜ばせたいワライフクロウ父親に贈るプレゼントを探すウミベミンク恋人へのプロポーズに思い悩むニホンオオカミ・・・
自分のため、誰かのため、様々な理由で「北極百貨店」を訪れるお客様の想いに寄り添うために、秋乃は今日も元気に店内を駆け回ります。
キャスト
(C)2023⻄村ツチカ/⼩学館/「北極百貨店のコンシェルジュさん」製作委員会