美しくも残酷な『薬屋のひとりごと』の作品世界。逞しく後宮を生きる人々を前に、クールになりきれない“猫猫の人間味”が事件を紐解く
後宮を舞台に「毒見役」の少女が様々な難事件を解決する、シリーズ累計2400万部突破の大人気後宮謎解きエンタテインメント『薬屋のひとりごと』。
2023年10月21日より本作のTVアニメが絶賛放送中! 主人公・猫猫(マオマオ)を演じる悠木碧さんを始め、大塚剛央さん、種﨑敦美さんら豪華キャストが出演し、美麗な作画と実写ドラマのような閑やかな演出によってアニメならではの面白さや作品にぴったりな雰囲気が作り出されています。
本稿では、そんな秋アニメの注目作品である『薬屋のひとりごと』の見どころをご紹介! 可愛らしさと聡明さを併せ持つ猫猫の活躍や、後宮という特殊な世界で生きるキャラクターたちの物語をあなたも楽しんでみませんか?
特異な作品舞台と推理要素が組み合わさる!
華やかな衣装や、後宮が舞台の世界観などが特徴的な本作ですが、原作者である日向夏先生によると実在している国や場所を舞台にしておらず、あくまでファンタジーとのこと。詳細は「小説家になろう」の日向夏先生のページにて解説されています。
そして今作で事件の数々が起こる後宮について。後宮とは、その時代の帝や王様の后妃(妻)や子どもたちが住む宮殿で、大事な後継者を育てる場所です。日本でも平安時代や江戸時代等に存在しており、漫画やドラマでも描かれる「大奥」もその一種。
男子禁制で、複数人の后妃たち、その身の回りの世話をする侍女たち、下働きをする女性たち、そして、その女性たちと関係を持つことがないよう去勢された男性役人である宦官(かんがん)たちが日々生活しています。
本編では、下働きの猫猫の目線を通して、後宮で暮らす人々の営みが描かれますが、華々しい世界の裏側では地位を巡る陰謀が渦巻いています。猫猫は職や身分が違う人々が集まったこの後宮で巻き起こる事件に巻き込まれていくのです。
ちなみに、猫猫役の悠木碧さんはインタビューにて、「身分の違いであったり、職の違いであったり、それぞれ見えてくるものが違うからこそ気付ける謎があって」と、後宮が舞台だからこその仕掛けが用意されていることを示唆するとともに、「客観的に人々の営みを唱える猫猫の視点であったり、人がどう生きるかによって謎の生まれ方が違うのはこの作品の最大の魅力だと思います」と作品を楽しむにあたってのヒントを残しています。
そんな後宮という特異な場所と推理要素が組み合わさった本作。アニメならではの映像面のこだわりも抜群です! 原作小説やコミックスの丁寧な描写を落とし込みつつ、実際の建築物を想起させるほどの建物の外観や装飾、室内の壁や家具など、制作側のこだわりも見逃せないところ。
他にも、キャラクターたちの衣服にも仕掛けが! 上級妃や宦官たちの衣服がアップで映されるカットを見てみると、細かな刺繍がされていることがわかります。このようなアニメならではの細かな表現を楽しみつつ、後宮という特異な場所で巻き起こる事件を楽しんでみてください。
まるで「異世界転生系主人公」? 猫猫の活躍にシビれる!
薬師である猫猫は、識字能力や豊富な薬学の知識と、毒や薬を愛しすぎるが故に自身の体を実験台にしてしまうという少し変わったところがあります。
また、17歳でありながら達観しており、いつ何時でも冷静沈着。加えて、好奇心の強さ、高い観察力を持っているというハイスペックなキャラクターです。
人に対してフラットな態度を見せることが多く、冷たい印象を与えますが、興味のあることには心を弾ませたり、困った人を見過ごせないお人好しな一面も。そんな彼女について悠木さんは「何事もなく暮らしたい、でも事件を放っておけるほど事なかれ主義でもない。内面にはそんな矛盾があるんですよね」と、内に秘めた人間味に言及しています。
そんな猫猫が働く後宮では権力闘争や立場間のすれ違い、嫉妬心などから、いじめやパワハラが日常茶飯事。彼女は極力目立つことなく、出世することなく生活しようと心がけていますが、持ち前の能力のせいで後宮で起こる様々な事件の原因に気づいてしまいます。
それでもなるべく事件に関わらないようにする猫猫ですが、幸か不幸か、困っている人や、解決できそうな事件を放っておくことができないお人好しな一面が背中を押してしまうのです。
しかし、一度スイッチが入るとスマートに問題を解決! そんなクールな姿が見どころのひとつです。
美しく残酷な後宮を逞しく生きるキャラクターたちに感情移入できる
本作の面白さは猫猫の活躍ぶりだけではありません。後宮の美しさと残酷さ、そこで生きるキャラクターのドラマが物語の軸を作り上げています。
この時代・舞台設定ならではの厳しいルールや慣習の中で生きる人々の辛さや生きる姿勢に共感したりハッとさせられることも。
TVアニメ第3話で描かれた中級妃・芙蓉妃のエピソードでは、この時代の慣習や「妃」という身分、後宮という場所ゆえの切なさが描かれていました。
“城壁の上で女の幽霊が踊っている”という噂が広まり、その正体を確かめることになった猫猫。美しく舞う女の姿は芙蓉妃で、帝の前で舞踏を失敗して以来、部屋に閉じこもりふさぎ込んでいる様子。そのまま他の武官に下賜(下の身分の者に渡る)されることになり、思い悩んだ芙蓉妃が夢遊病になったとされていますが、そこには事情があり……。
一見すると、辛いお話ですが、芙蓉妃の結末は意外なものでした。彼女の行く末を見守った上級妃・玉葉妃は猫猫に、妃ではなくひとりの人間としてポロッと本心をこぼします。そのセリフに玉葉妃が持つ複雑な心情が現れたとともに、第3話の山場のひとつになっていました。
本作は、ミステリー・謎解き要素を軸に物語を進めながらも、特殊な環境で逞しく生きていくキャラクターたちの心情やドラマを丁寧に描いているのです。また、実写ドラマ作品のように間をたっぷりと使った演出が物語への没入感を高めてくれます
ファンの間では、随所に散りばめられたアニメオリジナルのシーン・描写が話題になっており、原作・コミカライズとはまた違った映像作品としての面白さにもこだわりが感じられます。
猫猫の活躍と、後宮で巻き起こるドラマを見逃すな!
周囲の人を引き付ける猫猫のキャラクター、そして彼女が事件を解決していく推理シーン、魅力的な登場人物たち、後宮で繰り広げられる美しくも残酷なドラマの数々。
沢山の見どころや、魅力が詰まった本作は幅広い層の方が楽しめるエンタメ作品になっています。ぜひ、みなさんそれぞれの視点で作品を味わってみてください。猫猫によって解き明かされていく謎、彼女たちの生き様にきっとあなたもハマるはず!
TVアニメ『薬屋のひとりごと』は、毎週土曜24:55より日本テレビ系にて全国放送中! 各種配信サイトでも随時公開されていますので、あわせてご活用ください。
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画像をクリックすると、関連記事にとびます。『薬屋のひとりごと』作品概要
あらすじ
名前は、猫猫(マオマオ)。
花街で薬師をやっていたが、現在は後宮で下働き中である。
ある日、帝の御子たちが皆短命であることを知る。
今現在いる二人の御子もともに病で次第に弱っている話を聞いた猫猫は、興味本位でその原因を調べ始める。呪いなどあるわけないと言わんばかりに。
美形の宦官・壬氏(ジンシ)は、猫猫を帝の寵妃の毒見役にする。
人間には興味がないが、毒と薬の執着は異常、そんな花街育ちの薬師が巻き込まれる噂や事件。
きれいな薔薇にはとげがある、女の園は毒だらけ、噂と陰謀事欠かず。
壬氏からどんどん面倒事を押し付けられながらも、仕事をこなしていく猫猫。
稀代の毒好き娘が今日も後宮内を駆け回る。
キャスト
(C)日向夏・主婦の友インフォス/「薬屋のひとりごと」製作委員会