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冬アニメ『スナックバス江』玉袋筋太郎&芦名みのる対談

大人のSNS=スナックネットワークサービス? 冬アニメ『スナックバス江』放送開始記念! ナレーションで参加した玉袋筋太郎さん、芦名みのる監督、スナックをこよなく愛するふたりが語り合う

スナックと言えば、カラオケ! 

──玉袋さんはカラオケの普及にも尽力されています。スナックバス江にもカラオケは欠かせないものとなっていますが、カラオケの魅力についても教えて下さい。

玉袋:いちばんすごいツールじゃないですかカラオケって。日本発だけど、海外でもKARAOKEで通じるわけだから。手拍子を入れたり、ハモりを入れたりと、歌を通してコミュニケーションを取れるってすごいことですよ。素晴らしいマシーン。

芦名:世界的に見ても、日本人は歌が上手いんですよね。カラオケでよく歌っているから。ちなみに『スナックバス江』の企画をした時はコロナ禍まっ際中だったんですよ。それで夜の街もね、スナックもカラオケも元気が無くなってしまいましたから。だから、ヤングジャンプさんに持っていった企画書のまとめの部分に「スナックで歌いながら飲みたい!」と書いて持っていきました。で、今こうやって動いている。

玉袋:いい話。杓子定規をみんな求めてるけど、ゆるゆるな世界。そういう世界ってめちゃくちゃ居心地がいいんです。それがないとね、おかしくなっちゃうんと思うんだよ。その中にカラオケがあって。8トラの時代から考えたらすごい進化ですよ。今は歌本ではないですから。すごい時代になりましたよ。

芦名:実はですね。今回、アニメのエンディングがすべてカラオケなんですよ。

玉袋:それがいいよねぇ! やっぱり〆はカラオケだよね。

芦名:ねー。この対談している今って、ちょうどすべての曲を決めたタイミングなんですけどいまだに「ああ、あの歌も入れたかったなぁ」とか思っちゃう。

玉袋:俺が昔行ってたスナックではさ、必ず〆に「そっとおやすみ」(布施明)を歌うおじさんがいたわけよ。ああいうのがいいよな。西城秀樹さんが亡くなった時は、仲間内の4人が秀樹ファンだから、みんなで秀樹さんの歌をうたっていくわけよ。でもさ、「YOUNG MAN (Y.M.C.A.)」はやっぱり最後まで取っておく。誰もなにも言ってないのよ? でも外堀りを埋めていく。

芦名:わかる~! 外堀(笑)。

玉袋:なのに、後から入ってきた若い衆がさらっと「YOUNG MAN (Y.M.C.A.)」を入れて、「あーやられた〜!」って(笑)。

芦名:(笑)

玉袋:でもね、その隕石が飛んでくる感じも良いんですよ。

芦名:うんうん、向こうは気を使ってるわけですもんね。良かれと思って入れてるわけで。

玉袋:そうそう。だからそれはそれで良し。今、秀樹さんの話をしましたけど、自然と◯◯縛りみたいになることがあるんですよね。例えばアニメ縛りとか。そういうエールの交換もあるわけよ。五木ひろしを歌ってるから、じゃあ森進一で、とか。語らずも通じ合う。そういうのもね、いいわけですよ。

芦名:あるカラオケスナックに行ったときに、その場にいた人が全員上京者で。じゃあ「東京しばりで」と、東京とタイトルがついている曲を順番に歌うことになったんですよ。でもタイトルが全部「東京」だから、誰の「東京」を入れたのかが分からなくなるっていう(笑)。

玉袋:「東京」はいっぱいあるからな(笑)。でもそういう遊びができるのも、カラオケの魅力ですよ。お酒の力もあってね、より楽しくなるから。

芦名:今、飲んで話しながら歌いたいってなったときに、スナック以外の場所ってあんまりないと思うんですよ。もちろん、ガールズバーやキャバクラでも歌えるけど、喋るのがメインだから、やっぱりずっとは歌えなくて。スナックは歌が好きな人も集まりますからね。

玉袋:メモ帳持って、昼から歌ってる人もいるよね。自分に対してノルマを課してる。すごいよ。本当に。ちょっと話が逸れるけどさ、湯島にあるスナックがあるんだけど、長いキャリアを持ったママだから、お客さんの中には亡くなってしまう人もいるわけですよ。ママは常連さんが亡くなると、必ずお葬式には行くんだってさ。でさ、常連さんの歌を全部メモを取ってるから、それを遺族の方に見せたら「お父さんこんな歌をうたってたんだ!」と、知らなかった父親の顔が見えてくる。

──いいお話。

玉袋:いい話だと思うよ、俺は。六本木のスナックに行った時にはさ、家族で来てる人がいて。父親が歌ってる姿を家族が携帯で撮影してるわけですよ。珍しいね、なんて言ったら、父親がガンで余命3ヶ月だから、いつも行っている場所を家族に見せたいと。その半年後に亡くなったと聞いてね。だからさ、ドラマはたしかにそこにあるんですよ。7万個のドラマがある。

芦名:他の夜の飲食にはないドラマですよね。

玉袋:本当にいろいろな話がありますからね。テーマパークに行くよりもいろいろなキャラクターがいるわけだから。スナック行ったほうがいいよ、ってよく言ってますよ。毎日いろいろなパレードがやってんだからって。ギャグの宝庫だと思う。

──玉袋さんは北24条には行ったことはありますか?

玉袋:たぶん行ったと思いますよ。

芦名:北24条は北大の近くにあるんですが、なかなか個性的ですよ。占いをしてくれるスナックとかもある。

玉袋:そういうのが面白いんだよね。昔ね、俺の仲間の桐畑トールとそういうスナックに行った時にさ、俺にはなんかいい守護霊がついてるって。で、トールちゃんには、首に矢が刺さった落ち武者がついてるって(笑)。占いが好きなママもいれば、野球が好きなママもいれば、相撲が好きなママもいる。そういうのが面白い。

スナックは身近なリゾート地

──さきほどスナックはさまざまな場所にあるというお話がありました。スナックたまちゃんを赤坂にオープンさせたきっかけはなんだったんでしょう?

芦名:最初、赤坂と知ってびっくりしたんですよ。浅草とかの下町か、中野方面かなって思ってたんで。

玉袋:本当はね、俺がよく飲みに行くエリアでやろうと思ったんですよ。中野とか荻窪、阿佐ヶ谷とか。それはそれで良いんだけど、お客さんがみんなパジャマで来てしまうような気がして。候補地を絞って行って赤坂にしたら、本当にいろいろな人がくるわけですよ。もちろんね、パジャマで来ても構わないんですけど。お店のお客さん同士でつながっていって、出版物を出すこともあるしね。おもしろいですよ。

芦名:スナック玉ちゃんにくるお客さんは面白い人ばかりですよねえ。

──本作でスナックに興味を持った方が遊びに行っても……?

玉袋:もちろんもちろん。教習所になると思いますよ。なんでも免許を取らせますから、そこから路上教習に出るのもよし、船舶免許を目指すのもよし。

芦名:そこからいろいろな店に行ってみるのも良いですよね。『バス江』のアニメ化が発表になった時に「スナックに興味がある」って人をSNSで見かけたんですよ。まずはスナック玉ちゃんに行ってみたら良いんじゃないかなと思います。なんていったって、玉ちゃんは会長ですからね。

玉袋:もし嫌だなと思ったら、別の店に移ればいいしね。スナックなんて山程あるんだから。いつか自分にあった、それぞれの場末が見つかるはずですよ。よく言ってるんですけどスナックは“飲んで歌って繋がる夜のリゾート”ですから。

芦名:リゾートって表現はすごく良いですね。最近よく流行ってるアニメって、すごく動いたり、激しいシーンがあったりするじゃないですか。それが良いと思われているけど、『スナックバス江』は、最初から肩ひじ張ってないです。座ってるだけのアニメですから。ずっとスナックの中にいて、外にも行かない。

──監督はそれを密室劇とおっしゃっていましたね。

玉袋:ああ、本当にそうだね。密室劇。

芦名:その中で今日はこんなことがあったという物語。昔、やしきたかじんさんのバースタイルの番組があったじゃないですか。ああいう雰囲気がアニメーションになっている。そういうアニメがあってもいいと思うんです。このアニメを伝えて自分が伝えたいメッセージのようなものはなくて。「今日はちょっと飲みに行こうかな」って思ってもらえたら良いなと。『スナックバス江』のキャラクターも声優も、魅力が高すぎる人たちなので、そういう人たちばかりじゃないかもしれないけど、絶対にスナックって面白いよ、って。それが伝わったら、と思います。

──玉袋さんのナレーションのアフレコ中、監督から「素晴らしい、これはなかなかできない」という声が飛んでいました。

芦名:たくさんアドリブも入れてくれました。「カラオケ」のワードは最初は入っていなくて。というのも、カラオケがないスナックもありますから、迷っていたところだったんです。そしたら玉ちゃんが、カラオケも加えて、おしぼりまで飛ばしてくるから(笑)。「そうだわ、アニメの中にしっかりおしぼり描いておかなきゃ」って思いました(笑)。

玉袋:おしぼりっていうのも、スナックの文化だと思うんですよ。安心するんですよ。ママの手洗いのおしぼりがね、これがまた良いんだよ。もちろん業者のおしぼりも良いんだけどさ、ミニタオルがくるくるっと丸まってて、そこに「イブサンローラン」とか書いてあったりしてね。これはママが洗ってるんだろうなって分かるのも、また良いわけですよ。ホスピタリティの塊ですよ、スナックは。

──そういう意味でもリゾートなわけですね。

玉袋:本当にそう。身近にこんなに良いリゾートがあるんだから、わざわざ飛行機に乗って他国のリゾート地には行かなくていいと思うよ。

(C)フォビドゥン澁川/集英社・「スナックバス江」常連一同
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