『16bitセンセーション ANOTHER LAYER』第12話放送後インタビュー:古賀葵さん(秋里コノハ役)×阿部敦さん(六田守役)|第6話までで、おふたりが印象に残ったやり取りは? 最終話は何も考えず、ただただ楽しんでほしい
若木民喜さん、みつみ美里さん(アクアプラス)、甘露樹さん(アクアプラス)が原作の同人誌『16bitセンセーション』をベースにオリジナル要素を加え、新たな物語にしたTVアニメ『16bitセンセーション ANOTHER LAYER』。アニメイトタイムズでは、現代と過去が入り交じるSF要素が加わり、生まれ変わった本作について語るインタビュー連載を実施中!
連載第13回は、時をかけてゲームを作った秋里コノハを演じた古賀葵さんと、コノハを支え続けた六田守を演じた阿部敦さんに、前半の振り返りと、第12話について語ってもらいました。
第6話Cパートのやり取りを経て、ふたりはコンビ感が出るようになった
――連載も残り2回になりますので、ここでは全体の振り返りの前編として、第6話あたりまでを振り返っていただこうかなと思っています。
阿部敦さん(以下、阿部):第4話のコミケで、マモルがPC-98のコスプレをしたところは、よくわかんないな〜って思いましたね(笑)。ただ、これも愛が深すぎるゆえなんだろうなって思いました。最後にコノハに焚きつけられた感じはありましたが、あそこは、マモルの個人的な思いというか、パーソナルなところに響く言葉だったんじゃないかなと思います。
――コノハが98を知らないから「未来に98はないんだ」と諦めていたマモルに、「だったら未来を変えちゃえばいいじゃん」ってコノハが言うんですよね。
阿部:あのあたりはお互い一歩踏み込んだというか踏み込まれたというか。お互いのポジションがまた違うところへ行ったのかなって思いましたね。
――実際に、ちゃんとマモルくんは98を残していますし、第11話のラストでは、狂気すら感じるほど98が積まれていましたからね(笑)。
阿部:ちゃんと現役稼働していましたね(笑)。
古賀葵さん(以下、古賀):あんなにいっぱい、どうやって集めたんだろうと思いました(笑)。
阿部:これは第6話以降ですが、9821スーパーオクタコアも出てきましたからね。
――アニメの前半は、基本的に、美少女ゲーム業界あるあるでした。
古賀:実際に映像で見て、「本当にマウスで絵を描いていたんだ!」と驚きました。しかも色を付けたりするのをあの人数でやっていることが信じられなくて! 今を知っていると余計にそう思うくらい、当時のゲーム制作事情は衝撃でした。
あと、コノハちゃんの言葉が全然通じないというのも面白かったです。「電子マネー」や「無双」とか。
阿部:当時はきっと、麻雀の「国士無双」くらいでしか、「無双」って使ってなかっただろうしね。
――古賀さんは、コノハとしてEDテーマ「リンク〜past and future〜」を歌っていましたが、これは名曲でしたね。
古賀:まさか歌わせていただけるとは思っていなかったので、とても嬉しかったです。すごいのは、折戸伸治さんや中沢伴行さん、KOTOKOさんなど、美少女ゲームの主題歌を手掛けていた“神”たちが曲を作ってくださっていたことで。
阿部:音はいわゆる「I’ve」サウンドだもんね。
古賀:これはとんでもないぞ!と思い、すごく緊張しました。なので、当時のゲームの主題歌をいっぱい聴いてから収録させていただきました。
曲調もそうですし、映像も当時の美少女ゲームっぽい感じで、羽が生えていたりとこだわりがすごくて素敵でした。それにKOTOKOさんの歌詞もすごく良いんですよね!
――かなりストレートな歌詞でしたね。
古賀:それがめちゃくちゃいいな!と思いました。『16bitセンセーション ANOTHER LAYER』のことを書いてくださっているのはもちろんなんですが、ゲームを作ったことがある人や、携わったことがある人にも刺さるし、ゲームをやっていた人にも刺さる、ものすごく考えられているであろう歌詞なんですよね。
私、〈「君に会いたくて生まれたの」〉という歌詞がとても好きなんです。ここでは、君たち(=キャラクター)もそういう気持ちなんだね!!となるところなので、そこがすごく良いなと思いました。
阿部:前奏だけで「懐かしい!あの頃の音だ!」って感じるところもいいですよね。当時の我々に向けての曲でもあるし、古賀ちゃんが言っていたように、きちんと歌詞を理解すると内容にも即している。本当に全方向に向けての曲だから、すごく良いEDだなって思いました。
――あと、歌声が良かったですよね!
阿部:最初、古賀ちゃんが歌っているってわからなくて。
古賀:コノハのいつもの感じをあまり出さないほうが曲に合うと思ったし、コノハも多分カラオケとかで懐かしい歌を歌うとき、あまりコノハコノハせずに歌いそうだなと思ったので、そういう感じが出るように歌わせていただきました。
――OP/EDテーマが印象に残ることって、アニメでは大事ですよね。
阿部:やっぱり主題歌は作品の顔みたいなところがありますから。
古賀:OPテーマの「65535」も“らしさ”が出ていて、すごく良いんですよね!
――ものすごく難しそうな曲でしたけど。
阿部:中川翔子さんも「どこで息を吸っていいかわからない」って話していましたから。
古賀:初披露のとき(『Aniplex Online Fest 2023』)、私たちは同じステージにいたんですが、さすが!と思いながら聴いていました。
阿部:我々3人(阿部さん・古賀さん・川澄綾子さん)は舞台袖に残って見ていたんですよ。
古賀:本当に素晴らしかったです!
――あと、前半の振り返りで聞きたいところがありまして。第6話の最後のシーンなのですが、ここでのやり取りを実際に映像で見たら、本当に素晴らしくて。
阿部:Cパートですよね。
――台本のみを見て取材をしているときは、そこまで熱いシーンだとは思っていなかったんですが、「お前のやりたいこと、僕が何でも叶えてやる」って、実際に見たらもう告白みたいなものじゃん!と思ってしまって。
古賀:マモルくんは、めちゃめちゃカッコいいんですよ!
阿部:基本的に、未来が変わってしまうまでは、マモルが一方的にコノハの影響を受けていることが多いんですよね。だからここも、マモルとしてはかなり珍しく感情を表に出したというか。やっぱりそれだけすごく凹んでいたし、心も折れかけていたと思うんです。
コノハに「マモル君も、やっぱりアルコールソフトが好きなんだね!」と言われて、「べつに、ずっと居ただけだ」って応えるんですが、仲間みたいな気持ちはマモルにもあったし、しかも騙されたのが実の父親で、その変化にも気付けなかった……。コノハが市ケ谷を知らなかったことからも違和感は確かに感じていたし、自分なら止められたかもしれなかったけど、結局何もできずに、ただ居ただけ。その無力感や後悔が渦巻いていたと思うんですよね。
でも「あまりそれをお芝居で出しちゃうと、キャラが崩れちゃうしな」って思いながらやっていたんです。なので最初のほうは、結構自暴自棄に近い感じでやっていたと思います。
で、そのあとに、コノハにゲームを作ろうと言われ、美少女の力はすごいんだと言われて前へ一歩踏み出していくところは、僕もすごく良いシーンだなって思いました。
古賀:ここで、コノハは「マモルくんは本当は熱いハートを持ってる人だって、コノハ知ってる!」と言うのですが、マモルくんの98愛とか、結局アルコールソフトのみんなを見捨てずに、ずっと助けてくれていたのを見ていたからこそ言えた言葉だと思うんです。本当にコノハが思っている言葉だったからこそ、マモルくんも乗り気になってくれたと思うし、ここからものすごいコンビ感が出てくるんですよね。
阿部:そうだね。99年にコノハが来てからの掛け合いは、きちんと掛け合っている感じが僕の中にもあって、これ以降は、結構きちんとコノハと会話していた感じがします。
――ここでしっかり、バディものになったような感じはありましたね!