冬アニメ『俺だけレベルアップな件』連載インタビュー:監督 中重俊祐|監督2回目ながら出来上がったものも想像以上で、とても刺激的な仕事に
旬役を坂さんに選んだ理由は覚醒後の声質。6話のモノローグも坂さんのアイデアを採用
――各キャストが決まったときのポイントや、最初の収録でキャストに伝えたことなどがあればお聞かせください。
中重:各キャストを決める上で自分の中で一番大事にしたのは「声質がキャラクターのイメージに近いかどうか」でした。もちろん、あくまでも自分の中でのイメージなだけなので、現場オーディションには他のスタッフの意見を聞きつつ、声質に差のある方々をお呼びして、実際の演技を見つつ選ばせていただきました。特に旬は覚醒前後で体格から違うので、それを両立するためにも選択肢は狭めずに幅広い方々に来ていただきました。
その中で水篠旬を坂(泰人)さんにお願いしたのは、覚醒後の声質が一番イメージに近く、同時に覚醒前との差を出しつつもしっかり地続きの一人の人間の声として演じてくれているなと感じたのが大きな理由です。
最初の収録でキャストの皆さんには「楽しんで演じていただけると幸いです」「ご提案などあったら言ってもらえると嬉しいです」とだけお伝えしました。
――実際にアフレコを進めていく中での感想、収録時の印象深かった出来事などお聞かせください。
中重:皆さんとても素晴らしい方ばかりでしたので、基本的な役づくりや芝居に関してはほぼお任せしきりでした。細かい部分での要望も汲んでくださいましたし、こちらの拙い指示にも真摯に向き合ってくださり感謝しかありません。
その中でも坂さんから積極的に提案をいただけたのは特に嬉しかったです。6話の「どうしてどうして……」のところや初めて人殺しに手を染めてしまった後のモノローグに関してのアイデアはとても面白くて採用させていただきました。また、原作漫画からニュアンスの変わっているセリフに関しても質問をいただくことがあり、読み込んでらっしゃるなぁと感心しました。
制作上、難しかったのはアクションの多さ。印象的だったのは8話
――制作していく中で難しかった点や印象深いエピソードがあればお聞かせください。
中重:難しかった点は本当にアクションが多いことですかね。ほぼ2話に一回アクション回で、4話なんて約21分を4回のアクションシーンがメインに構成されている話数でした。そんな高頻度でくるアクションを持ち回りで担当してくださったアクションアニメーターの皆さんには頭が上がりません。
各話それぞれ印象的なことはありますが、特に8話は自身でシナリオを書いたのもありますし、EDを担当してくださっている大城(丈宗)さんのテレビシリーズ話数初演出回でもあったのでとても出来上がりが楽しみな話数でした。他話数に比べ各キャラクターの心情に重点を置いたしっとりした回でしたが、大城さんの手腕でより人間臭さの感じる湿度の高い映像になったと思います。
――Blu-ray&DVDや配信などでもう一回、または初めてご覧になる方への楽しみ方や注目してほしいポイントのご紹介をお願いします。
中重:初めてご覧になられる方には純粋に何も意識せずエンタメアニメとして楽しんでいただけると嬉しいです。2回目以降の方にも同様に楽しんでいただけると嬉しいですが、原作漫画と照らし合わせて「何がどう変わったのか」探しながら見るのも新しい発見があり面白いかもしれません。
――最後までご覧になってくださった皆さんへメッセージをお願いします。
中重:これだけアニメ作品が多い中、この作品を選んで最後までご覧になってくださり本当にありがとうございました。少しでも楽しい時間をお届けできていれば幸いです。1話1話スタッフ一同心を込めて丁寧に作ってまいりました。一度きりでなく何度も繰り返し見ていただけると嬉しいです。
作品概要
あらすじ
ハンターはその力を使い、ゲート内のダンジョンを攻略し対価を得ることを生業としているが、強者揃いのハンター達の中で、「水篠 旬」は人類最弱兵器と呼ばれる低ランクハンターとして生活していた。
ある日、低ランクダンジョンに隠された高ランクの二重ダンジョンに遭遇し、瀕死の重傷を負った旬の目前に謎のクエストウィンドウが現れる。
死の間際、クエストを受けると決断した旬は、自分だけが「レベルアップ」するようになり—。
キャスト
(C)Solo Leveling Animation Partners