春アニメ『黒執事 -寄宿学校編-』シエル役・坂本真綾さんが語るセバスチャンと小野大輔さんの魅力「セバスチャンは、小野さん以外は考えられない」
「小野さんがこうだから、これでいいんだ」と安心できる
――掛け合ってみて改めて感じた、小野さんのお芝居の魅力について教えてください。
坂本:色々な役をやられているので現場によっても違うとは思いますが、『黒執事』に関して言うと、やっぱり小野さんが中央にいてくれるんです。作品の真ん中にいてくれて、みんなを引っ張ってくれる存在なんですよね。小野さんがいつも堂々と迷いなくセバスチャンでいてくれるから、私も他のキャストさんも「小野さんがこうだから、これでいいんだ」と安心できるんです。羅針盤のような方なんですよ。そのうえで『黒執事』らしい気品と、ちょっと怖い部分と美しい部分も声で表現している。セバスチャンは、小野さん以外は考えられなかったなと、アフレコする度に感じています。
――小野さんが演じることでセバスチャンの魅力が一段と増した気がします。
坂本:そうですね。ただ、実は小野さんもこの作品に関わり始めたばかりの頃は苦労されたらしいんです。数十年が経ったいま、当時のことを二人で話していると、「あのときは難しかった」とおっしゃっていて。
――当時、苦戦しているとは思ってもいませんでした。
坂本:P4を演じる子たちも同じようなことを言っていました(笑)。「もう、何も苦労なくやっていると思っていました」って。当時はまだ20代で技術が伴わないゆえに歯がゆさを感じることも多かったんです。この作品に教えてもらったこと、学んだことはいっぱいありました。やりながら成長させてもらったと感じています。同じく苦労を共にして、ずっと一緒にやってきた小野さんはもう“バディ”ですね。この作品で出会う小野さんには特別な信頼感がありますし、絆もあるなと私は思っています。
意外とお互いに頼っている面があるなと感じた
――「寄宿学校編」でのシエルは、セバスチャンだけでなく、彼と同世代くらいの人たちとの交流もありますね。演じるうえで、何か意識した点はありますか?
坂本:シエルを演じるうえで、これまでは周りにあまり影響されず、クールさをキープして欲しいと言われることが多かったんです。一方で今作のシエルは、ベーシックな部分は変わらないけれど、爽やかで普通の少年を演じているので、意外と感情の幅を見せるんですよ。例えば学友と笑い合ったり、熱血にスポーツをしたり、先輩にへりくだってみたり。これまでシエルが見せて来なかった行動や表情をいっぱいするので、演じる側としても今までとは違って自由度高くお芝居ができました。
――なるほど。
坂本:一方で、セバスチャンと二人きりのときは今までのシエルになるんです。爽やかな少年を演じる彼と、クールな彼を表現するのは難しくもあり、楽しくもありました。
――坂本さんから見て、セバスチャンはどういう人物に映っていますか?
坂本:計算高い人だと思います。そう分かっていても、彼が傍にいたら知らずのうちに頼って心を許してしまうような気がします。冷たさとあたたかさが交互に見えて、いちばん悪いタイプの男性(笑)。一度ハマったら抜けられない魅力があると思います。
――悪魔ですからね。
坂本:そうなんですよね。それを忘れちゃいけないなって。セバスチャンって、シエルからしたらビジネスパートナーなんですよ。お互いの利害があって傍にいるというのが大前提なんですよね。決して心を許していい相手ではないと、シエルは思っている気がします。ただ、物語の舞台であるウェストン校はある意味で彼らにとってはアウェイの場所。彼ら二人の間でしか共有できない秘密がある。そういう環境での彼らを見ていると、意外とお互いに背中を預けている面があるなと感じたんですよね。シエルは特にセバスチャンを頼っているように見えました。
――心を許していい相手じゃないと分かっているけれど、心を許している部分がある。
坂本:みんなの前で普通の少年を演じているなかで、あの環境下では素を出せる相手がセバスチャンだけなんですよね。彼の前ではすごく疲れをみせてため息をついたり、「帰りたい」と言ったり。その言葉がとても自然で、心を許しているなと感じました。
――長くシリーズに関わる坂本さんが思う『黒執事』の魅力を教えてください。
坂本:本作の映像を見て、作品舞台の時代感に即した建物・食器・食べ物・服装が丁寧に描き込まれていると感じたんです。ちょっとした紅茶カップのディテールまで細かく描かれているんですよ。これは原作の先生も大事にされているところだと思いますし、それをアニメでも疎かにせず描きたいと監督が思っているから実現していることだと感じています。先生の美学、美を追求するこだわりが『黒執事』のぶれない世界観の基礎になっていて、アニメでもそれを再現しようとしている。それが作品の魅力じゃないかな。
――最後に、今後の見どころを教えてください。
坂本:小さい謎を解決しながら物語が進んでいって、1話ごとに見せ場があります。1話のなかに起承転結がしっかりあって、見ていてすごく楽しいんですよね。見ている方々が「早く次が見たい!」と思うような仕掛けもたくさんあります。新キャラクターたちはみんな個性豊か。中にはシエルが警戒心を持って接する人物もいますが、私個人としては最後まで見ると全員憎めないなと思いました。どんなバックボーンがあっても、展開があっても、どこかで肯定している自分がいて。みなさんも、物語が進むなかで彼らの印象が変わっていくと思います。楽しみにしていてください。
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作品概要
あらすじ
名門貴族ファントムハイヴ家の執事セバスチャン・ミカエリスは13歳の主人シエル・ファントムハイヴとともに“女王の番犬”として裏社会の汚れ仕事を請け負っていた。
ある日、シエルの元に女王から、英国屈指の名門寄宿学校・ウェストン校に通う親族・デリックほか複数人の生徒が音信不通になっているという手紙が届く。
かくしてセバスチャンとシエルは、事件を調査するためにウェストン校に潜入する。事件の真相とは…?
キャスト
(C)Yana Toboso/SQUARE ENIX,Project Black Butler