春アニメ『ザ・ファブル』興津和幸さん(佐藤明役)インタビュー|「どこまでが本当なのか分からないのが佐藤明の気持ち悪さであり、魅力でもあるのかなと」
累計発行部数2,400万部を誇る漫画『ザ・ファブル』がTVアニメ化。2024年4月6日(土)より、日本テレビ系にて順次全国放送されます。
本作の主人公は、幼少期から殺し屋としての英才教育を受け、どんな敵も6秒以内に鮮やかに葬り去る殺しの天才。通称“ファブル”と呼ばれる彼はある日、組織のボスから「1年間誰も殺してはならない」という突然の指令を受け、人殺しをしない全く新しい生活を送ることになります。佐藤明と名乗り、初めて過ごす普通の生活。しかし、平穏な日常の中にうごめく不穏な空気が彼を放っては置きません。果たして、この最大にして至難のミッションを遂行することはできるのか!?
今回は、アニメでファブル(佐藤明)を演じる声優の興津和幸さんにインタビュー。作品や演じる佐藤明への印象と合わせて、「もし1年間、声優活動をしてはいけないと言われたら?」という質問にもお答えいただきました。
決定連絡を受けたときは「佐藤って、誰!?」と思っちゃって(笑)
――最初に原作を読んだときの感想を推してください。
佐藤明(ファブル)役・興津和幸さん(以下、興津):実はオーディションを受ける前に友達に薦められて、大人買いしていたんです。実際に読んでみたら面白過ぎて、一晩で一気に読んじゃいました。他の人にもこの漫画を読んで欲しいと思い、某声優さんに「すごく面白い漫画があるんだけど、読まない?」と薦めて、全巻貸したんです。この前会ったときは「まだ読んでいない……」と言っていましたが、もうさすがに読んでいて欲しいなぁ(笑)。
――オーディションを受ける前から作品のことをご存知だったんですね。
興津:はい。でも読んですぐに貸しちゃったから、読み返すことができなくて。それで、オーディションのお話をいただいたときに、ちょうどいい機会だからと思って電子版を購入したんです。そして、また最後まで一気に読んじゃいました。何度読んでも面白い作品です。
――ふだんからアウトローなエンタメに触れることはありますか?
興津:大人になってからちょくちょく見るようになりました。大人になるにつれて「この世の中に裏の社会があるんだったら、その中で戦っている何者かがいるかもしれない」と思うようになって。「悪」ってハッキリと何かの基準で線引きできないのかもという余白を感じるようになってから、アウトローな作品を楽しめるようになった気がします。
――勧善懲悪の世界が描かれていない作品を楽しめるようになった。
興津:そうですね。それにこういう作品って、本当か噓かも分からないじゃないですか。ありそうだけど本当だったら怖いし。どこまでが現実で、どこまでが空想なのかという輪郭線がぼやけていくのが、楽しいのかもしれません。とにもかくにも、こういう作品を読んでいると「悪いことはしないでおこう」とは思いますね。
――そういう学びが得られるのもエンタメのいいところですよね。元々知っている作品ということでしたが、主人公役に決まったときはどんなお気持ちでしたか?
興津:オーディションではファブルのほか、クロ(黒塩)と高橋役も受けていたんです。「決まりました」と言われたときは、いちばん時間をかけてオーディションした高橋くんかなと思っていたんですよ。そしたら「佐藤役です」と言われて。自分のなかでファブルはないだろうと思っていたこともあり、最初は「佐藤って、誰!?」と思っちゃって(笑)。
改めて「主人公・ファブルの佐藤明ですよ」と言われてビックリしました。それくらい意外だったんです。併せて、原作を読んでいる自分ですら一瞬「誰!?」となるくらい記憶に残らない「佐藤明」という名前をあえて選んだボスはすごいなと思いました。
――ファブル役を演じると発表されてから、周りからはどんな反応がありましたか?
興津:原作を読んでいる方から「佐藤の声が全然イメージできなかったけど、確かに興津さんだったらピッタリ」という声をいただきました。嬉しかったですね!