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春アニメ『ヨルクラ』監督からの直接オファー、豪華スタッフが集結した理由【連載00】

春アニメ『夜のクラゲは泳げない』連載第0回:監督 竹下良平× 脚本 屋久ユウキ|監督からの直接オファー、豪華スタッフが集結した理由

100通りのタイトル案!? クラゲのモチーフはこう生まれた

――キャラクターの魅力は内面的なところはもちろん、キャラクターのデザインにもあると思っています。popman3580さんにキャラクター原案をお願いした経緯を教えてください。

屋久:監督の第一志望でしたよね?

竹下:そうですね。原案はまずファッションセンスがいいイラストレーターにしようというのがあって、Xで探しているときにpopman3580さんに辿り着いたんです。ちょうどpopman3580さんが東京で展示会をやっていて、そこへ出向いて本人に直接お願いしました。屋久先生の時と同じように、この作品に絶対に必要なスタッフは直接自分からお願いするようにしています。

――監督が直接話したほうが、熱意は伝わりますしね。

竹下:作品の重要な部分を、自分がリスペクト出来るクリエーターに担当してもらえないと嫌なんです。なので展示会では、popman3580さんの絵が好きで、このセンスが私の作品に欲しいんですと、魅力を伝えました。ファッションセンスの良さとかわいい女の子が上手く融合している感じ。ハイセンスでカッコいい絵って取っ付きづらくなってしまい、身近に感じてもらえないんじゃないかと思うんですが、popman3580さんの絵はそのバランスが上手く取れていると思ったんです。

屋久:僕も最初、popman3580さんの絵を見たときに,めちゃくちゃいい人選だなぁって思いました。もともと可愛いときれいを融合したような作品にしたいという共通認識があって、可愛いだけでもなければ、綺麗で質が高いだけでもない。可愛くて質が高いお話であり、映像にしたいって話だったので、ドンズバな人選だなと思いました。

――キャッチーさがしっかりあって、スタイリッシュですからね。それをアニメで動かせるようにしたのが、キャラクターデザインの谷口淳一郎さんです。

竹下:谷口さんはとてつもない実力者なので、どんな絵柄で描けると思っています。popman3580さんの絵柄を活かしてくださいと頼んだら、このようなアニメデザインに落とし込んでくれて、今回改めてその実力の高さを感じました。

――そういう意味で、すべての部門で素晴らしい人材が配置されているなと感じました。

竹下:他に撮影監督の桑野さん、色彩設計の石黒けいさんなど、齊藤真吾制作プロデューサーが、動画工房の主要スタッフを当ててくれたというのも大きいですね。

――音楽に関しても、監督がお声がけしたのでしょうか?

竹下:挿入歌をお願いしている40mPさんはキングレコードの鈴木プロデューサーに紹介していただいたんですけど、自分も聴いてみて「良い!」と思ったので、そのままお願いしました。

――物語にものすごくマッチしていました!

竹下:40mPさんは脚本をすごく気に入ってくれて、山ノ内花音になりきって作詞もしてくれていたんです。作品に対する理解度の高さを、すごく感じました。

屋久:挿入歌に関しては打ち合わせも何度もしていて、歌詞に関して、ここがすごく良かったとか、ここはテーマ的にはこうかな?みたいな話もしていたんです。なのでスタッフの一員として、一緒に作品を作り上げてくれている感覚でした。

竹下:イメージのすり合わせのための楽曲打ち合わせは何度も繰り返していただけて、プロ意識が高い方だと思いました。

――そのくらい作品に入りこまないと書けない楽曲ですよね。

屋久:リモートでの打ち合わせだったので、実際には会えていなかったんですけど、話を聞いたり、歌詞の直しや上がってくる音楽を聞いていて、熱量でやるタイプのクリエイターという印象を受けていたんです。ガッと入り込んで、熱で書き上げるみたいな。その熱量が後半にいくにしたがってどんどん増して感じられてきて、僕もそれに刺激を受けながら、貰った歌詞の要素を脚本に取り入れたりするようになりました。刺激をもらって共作している感覚で、すごく楽しい作業でした。

――まさに花音たちのような感じですね。それはフィルムにも表れていたと思います。また、打ち合わせの話が出ましたが、脚本会議で印象に残っているエピソードはありますか?

竹下:作品と関係ないところでは、本読み中めちゃめちゃ柿の種を食べていました(笑)。机の上にお菓子が用意されてるんですけど、一度の会議で4〜5袋食べてたんですよ。

屋久:初手はナッツから。

竹下:ちょうどお腹の空く時間帯にやっていたからなんですけど、柿の種をゴリゴリ無意識に食べながら考えていたんです。だいたい16時から始まって……。

屋久:そこから23時以降までは基本やってましたね……。

竹下:プロデューサー陣は本当によく最後まで付き合ってくれたと思っています。

屋久:僕が印象的だったことは何だったかなぁ。タイトル案はいっぱい出して、めちゃめちゃ悩んだ気がします。

竹下:結局、屋久先生が出した今のタイトルが一番いいとなったんです。

屋久:最初に付けていた仮タイトルが『夜のクラゲは泳げない』だったんです。そこからもっと良いものを探そうとなって、100くらいは平気で出していたんじゃないかな。そこから4つくらいに絞って、ジャンル分けをしたりして迷った挙げ句、最初の『夜のクラゲは泳げない』に着地するという(笑)。ベストを出せたって意味で、後悔はないんですけど。

――これ以上ないタイトルだというのは、本編を見れば誰もが納得すると思いますが、最初の案だったのですね! クラゲのモチーフは、企画の最初からあったのですか?

屋久:企画案のときはなかったですね。ただ脚本会議で閃いたとかではなく、僕がクラゲをモチーフにした音楽を聴きながら執筆していたときに閃いたんです。その歌詞のフレーズが、めっちゃまひるじゃん!と思ったんですよね。まひるが周りに合わせがちなキャラクターというのは決まっていたので、それってクラゲみたいだし、夜の街というビジュアルイメージも最初からあったから、テーマと夜の街をクラゲみたいに漂うまひる、ってビジュアルがババババっと繋がって、クラゲをモチーフにしたプロットを提出したことを、いま思い出しました。

竹下:夜を舞台にした作品というのは、企画段階からありましたからね。

屋久:だから、もともと決まっていたかのように、クラゲがいろいろな要素と繋がってくれたので、良かったなって思います。

――“夜のクラゲ”というだけで気になりますし、まひるのイラストレーター名が海月ヨルなので、ハッとなりますよね。

屋久:でもそれは会議でのことではないから、会議での話に戻すと、全体のプロットを提出したとき、僕は各話で扱うテーマの流れを軸にしたプロットを提出していたんです。そこに監督が、各話をポップに見せるためのアイデアを出してくださって。たとえば、この話数で水族館に行きましょうみたいに、舞台を考えてくれたんです。

僕はどうしてもテーマ先行で考えてしまうから、テーマを回収する会話が先にある中で、後から舞台を考えてどうポップに見せるかというのを考えるんですけど、監督はエモくなりそうな舞台から先にいくつも考えてくれたんです。もともとキャラクターの心情がどう変わって、どこに着地するのか、みたいなところから作っていたんですけど、そこに、映像にしたときにポップになりそうな要素を追加してくれたから、見やすさが2段階くらいガッと上がった感覚がありました。だからあれは結構大事な出来事だったと思います。

――小説家と映像監督のケミストリーというか、それは第1話でも随所に表れていたと思います。では最後に、第1話を楽しみにしている方にメッセージをお願いします。

竹下:監督として、そして自分の演出家人生の中でも自信を持って面白いと言える作品が出来ました。ぜひ最後まで見てください。

屋久:僕も本当に面白い!と思っていて、それと同時に、2024年に届けたい作品になっていると思っています。ネットから見えている景色に感情移入している人、今をリアルタイムで感じている人であればあるほど、面白く感じる作品だと思うので、今この瞬間だからこその作品を、たっぷり味わってほしいなと思っています。

[文・塚越淳一]

TVアニメ「夜のクラゲは泳げない」

2024年4月6日より放送開始!

放送情報

TOKYO MX, BS11:4月6日(土)25:00~
関西テレビ:4月7日(日)25:59~
AT-X:4月7日(日)22:30~
HTB北海道テレビ:4月8日(月)26:25~
他 予定
※放送日時は編成の都合等により変更となる場合もございます。予めご了承下さい。

配信情報

4月6日(土)25時より
dアニメストア、DMM TV、U-NEXT、アニメ放題にて地上波同時・先行配信

4月12日(金)24時より順次配信
NETFLIX、AbemaTV、Amazon Prime Video、AnimeFesta、auスマートパスプレミアム、バンダイチャンネル、FOD、HAPPY!動画、Hulu、J:COM STREAM、Lemino、milplus、ムービーフルplus、ニコニコチャンネル、ニコニコ生放送、TELASA、YouTube(有料配信)、クランクイン!ビデオ、ふらっと動画(ネットカフェ)

Introduction

“私”も誰かみたいに輝きたい。

明日話すべき話題も、今週買うべき洋服も、
全部が教えてくれる。
何者かになってみたい——そんな願いを持つ間もないほどこの世界は忙しい。

活動休止中のイラストレーター“海月ヨル”
歌で見返したい元・アイドル“橘ののか”
自称・最強Vtuber“竜ヶ崎ノクス”
推しを支えたい謎の作曲家“木村ちゃん”

世界から少しだけはみ出した少女たちは匿名アーティスト“JELEE”を結成する。

自分じゃない“私たち”なら——輝けるかもしれない。

STAFF

原作:JELEE
監督:竹下良平
シリーズ構成・脚本:屋久ユウキ
キャラクター原案:popman3580
キャラクターデザイン:谷口淳一郎
サブキャラクターデザイン:中島千明/朱里
衣装デザイン:葛原詩乃/長澤翔子
プロップデザイン:服部未夢
総作画監督:谷口淳一郎/豊田暁子/鈴木明日香
メインアニメーター:太田慎之介/Saurabh Singh/中尾和麻
劇中イラスト原案:はむねずこ
美術監督:金子雄司
美術設定:平澤晃弘
色彩設計:石黒けい
撮影監督:桒野貴文
編集:木村佳史子
音響監督:木村絵理子
音楽:横山 克
音楽制作:キングレコード
アニメーション制作:動画工房

MUSIC

オープニング主題歌:カノエラナ「イロドリ」
作詞・作曲:カノエラナ 編曲:永井正道

エンディング主題歌:ツルシマアンナ「1日は25時間。」
作詞・作曲・編曲:40mP

CAST

光月まひる:伊藤美来
山ノ内花音:高橋李依
渡瀬キウイ:富田美憂
高梨・キム・アヌーク・めい:島袋美由利
みー子:上坂すみれ
瀬藤メロ:岡咲美保
柳桃子:首藤志奈
鈴村あかり:天城サリー

公式サイト
公式X(@yorukura_anime)

コミカライズ

漫画アプリ「マガジンポケット」にて2024年4月よりマンガ連載開始。コミカライズを担当するのは藤居にこ先生。

ノベライズ

小学館「ガガガ文庫」にて5月・6月・7月の3ヶ月連続刊行。
著・屋久ユウキ イラスト・popman3580

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