「ホロとロレンスの旅のシーンなどをイメージしながら歌っていきました」『狼と香辛料 MERCHANT MEETS THE WISE WOLF』Hana Hopeにインタビュー
ホロとロレンスの心情、ふたりの旅を表現
──まさに本作も旅がテーマ。『狼と香辛料 MERCHANT MEETS THE WISE WOLF』のオファーをもらった時、Hanaさんはどんなお気持ちでした?
Hana:主題歌を担当することに対して、私はとても大きな責任を感じています。物語のなかのキャラクター、ホロとロレンスに、感情を通わすことができるのか、最初は少しだけ不安でした。
でも、『狼と香辛料』は自然がたくさん出てくるじゃないですか。私も自然がすごく大好きなので、そこにも共通点を感じて、今回のリメイクへの期待も大きかったです。
──自然に囲まれるのが好きなのでしょうか? Hanaさんの雰囲気と合いますね。
Hana:大好きです! 海派と森派で言えば、森派です。緑に囲まれているのが、すごく大好きです。
──では改めて「旅のゆくえ」の制作経緯について、具体的なエピソードやインスピレーションの源になったものなどをもう少し詳しく教えていただければと思います。
Hana:ホロとロレンスの親子的な愛情や、旅が進むにつれて感じる不安など、複雑で、対照的な気持ちを表したくて、そこも歌詞に表現したいなと思っていました。その一方で、コーラスは広大に広がるようなイメージがあって。そこはちゃんと希望を表せられるように頑張って歌いました。
──歌声からまさに不安な感じというのが伝わってきたんですが、サビにいくにつれておっしゃったように希望を感じるような。孤独(ひとり)だったところから二人での旅になって、希望を感じるような旅になっていくんだろうなって。
Hana:同じように感じてもらえて良かったです。あとは、聴き手にイメージが伝わるように、私自身もいろいろイメージをしながら歌いました。私は、歌う時にイメージをしないとそれに相応しい感情が出てこないんです。『狼と香辛料』のホロとロレンスの旅のシーンなどをイメージしながら歌いました。
──Hanaさんは、いつも何かイメージをしながら、そこに向かって歌っていくような感じですか?
Hana:基本的にそうですね。楽曲から浮かぶストーリーのビジュアルに重きを置いて歌っています。
──視覚的な要素ってすごく大事だなと思います。Hanaさんの歌声を聴いていると、まさに情景が思い浮かぶのは、Hanaさんがそうやってイメージしながら歌われているのが大きいんですね。
Hana:そう思ってもらえると、すごく嬉しいです! アニメの主題歌をいろいろ担当させてもらっていく中で、物語やストーリーテリングに対する理解や作り込み方は以前よりも向上したように思います。
──例えばそれはどのような場面で感じられるのでしょうか?
Hana:チャレンジする場面自体はいっぱいあるんです。チームといろいろと話し合いながら「ここは、こう表現した方がいいかな」など、細かいところを調整しながらレコーディング出来ました。
──改めて、完成した曲を聴いた時にHanaさんはどんな印象を受けましたか?
Hana:すごく嬉しかったです。……って、なんだか単純な答えになっちゃうんですけど(笑)。アニメのオープニング映像を見た時に、こんなに素敵なアニメと私の声が重なることができて、光栄だなと思いました。
──オープニング映像からはどのような印象を受けましたか?
Hana:自然がすごく豊かで、中世ヨーロッパの雰囲気が入っていて。そこにノスタルジアを感じました。
歌を通じて希望を届けていきたい
──話題が変わってしまうのですが、Hana Hopeという名前には、どのような思いが込められているのでしょうか?
Hana:本名がハナで、もう少し違う名前にしたいなと。デビューした時はコロナ禍の時で、暗い世界になっていて……少し希望がいるなと感じていました。それでHopeという名前をつけたいと思ったんです。今の世代は、希望はどんなにあっても受け入れられるから。私の曲もそうでありたいなと思っていました。
──Hanaさんの学生時代というのは、まさにコロナ禍だったんですよね。
Hana:毎日Zoomでやりとりしていて、ほとんどがリモート授業でした。今はもう元通りになってるんですけど。でもそうした中で歌を歌うのが自分自身の救いになっていました。歌とのすごくディープなつながりを感じていましたね。
──コロナ禍によって、より音楽が好きになった感覚もありましたか?
Hana:確かに、その通りです。特に気分が沈んでいるときに、音楽を聴くこと、自分の感情を素直に表現できることに救われた気がします。私たちは誰もが、自分の内面を表現したいと思う瞬間がありますよね。私はその気持ちを歌に託してみました。
──Hanaさんの場合は、自分の気持ちをうまく伝えるツールにもなったということですね。
Hana:まさにそうですね。
──世界中でいろいろなことがあったなかで、音楽はひとつ救いになっていたと思うんですが、まさに本作で描かれる旅も、Hanaさんのオープニングでの旅も、誰かの希望になるのではないかなって。
Hana:そうですね。アニメを見ている方はもちろん、アニメを視聴していない方々にも曲の描くストーリーに共感できる場面がいっぱいあると思います。
未来がどうなるか予測はできないし、今は明確な終わりや目的もないままに旅を続けているかもしれないけれど、いつの日か希望が見えてくると信じています。そして、また前を向いて頑張ることができるような希望を持てたらと願っています。この曲を通じて、少しでもリフレッシュしてもらえたら、私にとっては大きな喜びです。
──まさにそのような思いが、このタイトルには込められているのでしょうか?
Hana:そうですね。『狼と香辛料』は、故郷に帰る目的で旅をしているんですけど、そこではさまざまなトラブルに見舞われます。ふたりの旅のゆくえはどうなっていくかは不確かではあるけれど、それでも前に進む力を持ち続けていれば、希望が見えてくる。そういう大切なメッセージが込められていると思っています。
──今後Hanaさんがアーティストとして挑戦したいことはありますか?
Hana:私は国内外を問わず、さまざまなアーティストとコラボレーションを重ねていきたいと考えています。それと、いろいろなジャンルに挑戦したいですね。インディーズからバラードでも、K-POPに至るまで、all-inclusiveな感じで挑戦していきたいです。
──Hanaさんの曲は一言で表すことができない音楽なことが魅力的です。今回の「旅のゆくえ」自体も、幅広い音楽ジャンルが詰まってますよね。異国情緒と日本の雰囲気が共存しているような……。
Hana:ありがとうございます。とてもダイナミックで、いろいろな音が重なって。アニメも、中世ヨーロッパと日本のアニメの文化が融合したような印象を受けました。その多様な要素が、歌のジャンルにも表れていると思います。いろいろなことが繋がり合っていて、すごく特別な曲だと思います。
──Hanaさん自身も文化の橋渡し的な存在になりたいということも考えられているんですか?
Hana:はい。アメリカでも活動していきたいですし、日本の文化や曲をアメリカにブリッジして、ふたつの違う文化を繋げたいです。これからも、さまざまなプロジェクトやアイデアを探求し続けることで、新しい可能性を切り開いていきたいです。
インタビュー・逆井マリ
楽曲情報
発売日:2024年5月29日
価格:1,999円(税込)
作品概要
あらすじ
ある日、黄金色の麦畑が広がる小さな村を訪れた彼は、耳と尻尾を有する美しい少女と出会う。
「わっちの名前はホロ」
自身を“賢狼”と呼ぶホロは、豊穣を司る狼の化身だった――。
彼女の「遠く北にあるはずの故郷・ヨイツの森へ帰りたい」という望みを聞き、ロレンスとホロは北を目指す商売の旅の道連れとなる。
だが行商人の旅には思いがけない波乱がつきもので……。孤独だった行商人と、孤独だった狼の化身を乗せた馬車が、今、騒がしく走り始める。
キャスト
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