「三馬鹿(すずめ、弥生、佳穂)」とそれを見守る「お母さん(沙里)」!? 『響け!ユーフォニアム3』夏川椎菜さん、松田彩音さん、寺澤百花さん、陶山恵実里さんが1年生仲良し4人組の魅力を語り合う【連載第4回】
佳穂の笑い声はその場を温かくしてくれる
――次は、佳穂についてお願いします。
寺澤:4人の中だとマスコットキャラ的な存在だと思っています。(川島)緑輝先輩に「動物に例えると、アルパカ」って言われていますし、みんなの癒やし的な立ち位置なのかなって。それにこの子の最大の魅力は、すごく笑い上戸なところだと思っています。「そんなところで笑うの?」みたいなことでも笑っちゃうような子なので(笑)。その笑い声が周りの雰囲気も柔らかくしてくれるというか、その場を温かくしてくれる子だと思います。
夏川:笑っているのを見るだけで幸せな気持ちになれますよね。この子には、ずっと笑っていて欲しいです(笑)。(佳穂の)オーディションのセリフって、笑いのところもあったんですか?
寺澤:ありました。(取材時点では)まだ本編に出てきてないんですが、「笑わせないで」って言いながら笑っているところがあったんです。
夏川:やっぱり佳穂は笑いも含めてのオーディションだったんですね。そのくらいずっと笑っているし、笑い方も可愛いんですよ。一緒に笑ってあげたくなるし、すごく癒されています。
松田:弥生ちゃんやすずめちゃんがボケている時、みんなは笑ってくれなくても、佳穂ちゃんだけは笑ってくれるんですよね(笑)。本当に助かるし、それだけで「1年生楽しそうだな」みたいな雰囲気が伝わると思うんです。監督も最初に「三馬鹿」って仰っていたんですが、佳穂ちゃんのおかげで、すごく良いバランスになっている感じがします。
――沙里を除いた3人が「三馬鹿」と呼ばれたわけですね。
陶山:ただ、「馬鹿」って言われているんですが、笑いのネタはいつも歴史ネタじゃないですか。なので、みんな歴史の成績は良さそうだなって。
寺澤:そうそう、頭良さそうですよね(笑)。
――歴史について詳しいから、ネタにしたり笑ったりできるわけですね。
陶山:そうなのかなって思いました。佳穂ちゃんは、フワフワしていてタンポポみたいな感じもあるから、風除けになってあげたくなります。本当に、そこにいるだけでみんなが幸せになれるような子なので泣かせたくないし、みんなで「佳穂ちゃんを守る会」を作りたいです(笑)。
――最後に、沙里についても教えてください。
陶山:先ほどお話しした、おとなしさの中に芯の強さがあることに加えて、周囲への共感性がすごく高い子という印象も強いです。周りの人が何かを言われていたりすると、自分のことではないのに一緒にダメージを受けちゃうような、繊細な心を持っている子なんだろうなって。私も自分は怒られていないのに、別の人が怒られていたら一緒に悲しくなっちゃうタイプなので、彼女の傷つき方を見ても同じだなって感じました。
あと私、沙里役に決まってから(沙里の担当楽器の)クラリネットを習ってみたんですよ。でも、「ブンブンブン」って吹くのが限界で。
――「ハチが飛ぶ」の曲ですね。
陶山:はい(笑)。私も小学校と中学校で少し吹奏楽をやっていたのですが、そのときはコルネットとフルートだったんです。クラリネットを初めてやってみて、その難しさをすごく感じて。(クラリネットが上手な)沙里の音楽に対する愛や情熱の強さを改めて感じられたし、すごく良い経験になりました。
夏川:4人はすごく仲良しなんですが、やっぱり「三馬鹿」と比べたら、沙里ちゃんだけは、少し違うオーラをまとっている印象があったんです。なので、3話で神社の子だと知ったときにすごく納得できて。沙里ちゃんの少し神々しいというか、品のある感じはそこから来ているんだなと思いました。あ、他の3人に品が無いって意味ではないですよ(笑)。
松田&寺澤&陶山:あはは(笑)。
松田:私は沙里ちゃんを最初に見た時、「お母さん!」ってすごく思いました。「三馬鹿」は良い意味で少し子供っぽいというか、いつもおちゃらけて笑っている感じ。そこをまとめてくれるし、寄り添ってくれるお母さんみたいで、すごく素敵だなって思いました。
寺澤:自分よりも友達を優先するくらい、すごく優しい子で、しかも努力家なのに謙虚。本当に真っ白な心を持った子だなと感じていて。3話は特に沙里ちゃんの魅力があふれ出ている回だと思います。まだ吹奏楽を始めたばかりで練習に付いていけない子に寄り添って一緒に帰ってあげたり、話を聞いてあげたりするシーンも出てきて。悩んでいる子と同じくらい、自分も本気で苦しんで涙する沙里ちゃんの姿を見て、身も心も女神様みたいに美しい子だなと思いました。
沙里は一緒にいる相手によって空気感が変化
――アフレコを進める中で、特に印象的だったディレクションや、意識していることなどあれば教えてください。
寺澤:鶴岡(陽太)音響監督からは、「(佳穂は)おとなしいキャラだけど、ネガティブな方向のおとなしさじゃないよ」と教えていただいたので、そのことは毎回必ず意識していました。
あと、佳穂ちゃんは笑うシーンがとにかく多いんですが、演じている私も佳穂ちゃんの笑いのツボが本当に分からないんです(笑)。「そこで笑うの?」と思うシーンも多いんですが、佳穂ちゃんは二人のギャグが本当に大好きなんだということは理解していたので、吹き出す感じをリアルにできるように、お家でめちゃくちゃ練習しました。
陶山:本当にリアル。
松田:うん。
夏川:私も台本を見て、「なんでこれで笑うんだろう?」って思ったんですが、吹き出し方がすごくリアルなので、「(寺澤さんは)本当に笑ってるのかな? 私がギャグを理解できてないだけ?」って思ったりして(笑)。
寺澤:あはは(笑)。私も「今のギャグは面白いんだ」って自分に言い聞かせる感じで笑っています。
夏川:私は、1話の自己紹介について、テストの後に(音響監督から)「やり過ぎない感じで、端的にやって」というニュアンスのディレクションをいただきました。さっきの話にもあったんですが、弥生は(ネタを)考えているタイプなので、面白いと思うところをけっこう盛ってやっているんですが、すずめは天然でぶっ飛んでいる子なので、ナチュラルな感じが欲しいということだったんです。意識して面白いことを言おうとしている人と、意識していない人では、醸し出す雰囲気が違うんだろうなと私も思ったので、1話以降もずっと意識するようにしました。
松田:私も1話のアフレコで「すずめは天然でぶっ飛んでる。弥生は考えている子で根はまとも」ということを教えていただいて。それこそ先生に怒られたときも、弥生ちゃんはちゃんと謝れるんですが、すずめちゃんは「なんでですか?」みたいな反応をしちゃう子だと言われました(笑)。
(弥生が)周りのことがちゃんと見えつつも面白いことを言えるのは、やっぱり「みんなを笑顔にさせたい」という気持ちが根本にあるから。そのことはずっと意識しながら、そこにいるだけで周りを明るく、元気にできるような雰囲気を出せるように演じました。
陶山:沙里は4人の中でのまとめ役みたいな存在なので、根が真面目なところを意識しつつ、4人でいるときは気を抜いた親しさも出るように意識しています。逆に、先輩と一緒にいるときは少し緊張感があるというか、真面目だから力が入るタイプの子なのかなと感じていて。一緒にいる相手によって変化する空気感は、自然に出せたらと思っています。
ディレクションで特に印象的だったのは、最初の(1話の)収録の時に、他のキャラクターとの兼ね合いで「声のトーンを少し変えよう」と言われたことですね。
――たくさんの生徒がいるので、分かりやすく差を付けることになったんですね。
陶山:それで、もう卒業された先輩を例に出して、「ここの枠はどう?」みたいな形でご提案をいただいたんです。声のトーンについての話なので、キャラクターもお芝居も全然違うのですが、先輩から何かを継承させていただいたみたいな気持ちになって嬉しかったです。
――そういうこともあるのですね。ちなみに、どの先輩ですか?
陶山:小笠原(晴香)先輩です。
――2代前の部長ですね。納得感があります。では最後に、読者の皆さんに向けて、4話以降の見どころも含めたメッセージをお願いします。
夏川:これまでの『ユーフォ』を好きな方が求めている人間ドラマは、この3期でもすごく描かれていると思います。特に女の子同士の絶妙なヒリヒリ感というか、言葉の裏の裏を探り合うみたいな場面がたくさん登場するので、観ている側もヒリヒリするというか、ハラハラしちゃうはず(笑)。そのハラハラも楽しむような気持ちで観ていただくと良いのかなと思います。
あとは、ネタバレになっちゃうので詳しくは言えないんですが、すごく焦らされている感じがすると思うので、最終話まで、その焦らされている感じも楽しみながら観ていただきたいです。
松田:3話は1年生主体でトラブルがありましたが、今後も(吹奏楽部は)コンクールに向かって一筋縄ではいかない人間関係の渦に巻き込まれていく感じがあります。(黄前)久美子先輩の活躍も含めて、そこを楽しんで観ていただけたらなと思います。そして1年生も一生懸命、頑張って練習しているので、その姿も見届けてもらえたら嬉しいです。
寺澤:私が実際に吹奏楽部だったからこそ感じる部分もあるとは思うのですが、『ユーフォ』は人間関係が本当にリアルに描かれている作品で、この3期も、ただ爽やかなだけでは終わりません(笑)。オーディションや合宿など、1期、2期からの恒例のお話もあるので、そういうところは特に今まで観てきてくださった人たちには、堪らなく面白いお話になっていると思います。ぜひぜひ最後まで楽しんでください。
陶山:『ユーフォ』という作品は、いろいろな視点で人間関係を考えるきっかけになるところが大好きなんです。それに、この作品はすごくリアルなので、爽やかだけど、その中に苦さもあって。逆に言えば、苦さがあるからこそ、爽やかなものの綺麗さが際立って見えるというか……。そういった『ユーフォ』ならではの魅力が、今回もいっぱい詰まっているので、全国大会金賞に向けて一丸となって頑張る部員たちを一緒に見守っていただけたら嬉しいです。
[取材&文・丸本大輔]
作品概要
あらすじ
キャスト
(C)武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会