『この素晴らしい世界に祝福を！３』福島潤さん、雨宮天さん、高尾奏音さんインタビュー ｜『このすば』は、事切れる直前まで演じていたい “実家”のような作品

カズマとアクアは、お互いを必要としている特別な関係

――今回、揃っての収録は初めてだったと思うのですが、高尾さんからご覧になって、とくにお芝居がすごいと感じたキャストさんはいらっしゃいましたか？

高尾：みなさん本当にすごいんですけど、やっぱり福島さんでしょうか。

福島：ありがとう（笑）。

高尾：台本を読んでいて想像もつかない角度から台詞をおっしゃっていたりして。 「この台詞って一言だけなのに、なんでこんなに面白くなるんだ」という衝撃を毎回のように受けながら、私もお芝居をやらせていただいていました。

――確かに、第1話とか「風……」の一言だけであんなに面白くなるのはすごいですよね。

福島：本当、僕も正直あそこの（カズマの）気持ちはよく分かってないですからね（笑）。 もうキラキラに全てを合わせただけなんですよ。キラキラしてるからこんな感じだよねって。

――カズマについては、情緒がジェットコースターという話もありましたが、アクアも同じくらい感情の起伏が激しいキャラクターですよね。叫んだりするシーンも多いと思いますが、『このすば』の収録の前にやっているルーティーンのようなものはあったりしますか？

福島：さっきの話にもありましたけど、『このすば』の収録ってテスト収録の段階からもう録られているので、そこで喉を温めるとか、ギアを上げていく作業ができないんですよ。それが朝収録だったりしたら尚更ね（笑）。

だから、始まったらすぐにどんな声でも出せるように、事前に身体や喉をほぐしておくみたいな、他の作品ではあまりやらないような作業をやっておかないといけないというのはありますね。

――やはり、収録後の疲労も大きいですか？

福島：もう完全に喉を使い切る日も多いです。それで「よし、収録乗り切った」って安心したところで「じゃあCM録りますって」言われたりね（笑）。もう声出ないよ！ってなった時もありましたね（笑）。

雨宮：私の場合は、あんまりルーティーンとかがあるタイプじゃないんですけど、事前にやるのはアイキャッチの相談です。他の作品では、まずそんな相談したことがないです（笑）。

福島：そもそも、アイキャッチをどうするかを役者が決めるっていうのがおかしいからね（笑）。基本的には指定があるので。

雨宮：一応、台詞がある場合もあるんですけど、台本に「アイキャッチ」としか書いてないこともあって。何か言われているわけじゃないんですけど、いつも収録前に4人で集まって、「今回どうしますか？」「ここはカズマさん一人じゃないですか？」みたいな話し合いをやっているんです。

高尾：初めて現場に入った時、それもびっくりしました。最初にアイキャッチの打ち合わせから始まるんだって（笑）。

福島：アイキャッチをやるなんて全然思っていないキャストに「すいません、ここ言ってもらっていいですか？」みたいな交渉までやってますからね。「西田くん、バニルでここやってくれない？」って（笑）。

雨宮：演者としての目線もあるし、いち視聴者として、この流れだったらそのままバニルさんの声が聞きたいとかも考えたり。そういうアイキャッチの相談を事前にするのは、『このすば』ならではのルーティーンみたいなものかなと思います。

――カズマとアクアの掛け合いというのは、『このすば』ならではの魅力だと思っているのですが、第3期での二人の関係性について、福島さんと雨宮さんはどういう風に感じられましたか。

雨宮：そこに関しては、あんまり変わらないというか……（笑）。

福島： 何も変わってないよね。

雨宮：めぐみんとかダクネスとか、他のキャラクターたちはちょっと変わっていると思うんですけど、カズマとアクアに関しては、ほとんど変化はないと思います。私は、もう常に“熟年夫婦”と言ってますけれども、いつも通りっていうか、相変わらずだなって。

でも、同時に誰よりも心を許していて、言葉にしないところでのお互いの信頼関係みたいなものは、なんとなく増しているような気もしますね。口にはしなくても、なんとなくお互いのことを理解している感覚は最初からずっとあったけど、 よりそれが増してきたところもあるのかなっていう。

――どういった部分から、そのように感じられたのでしょうか？

雨宮：例えば、第1話でカズマさんが出家すると言い出した時、アクアはそんなに動揺とかしていなくて、家を出た時もひょいひょいって楽しそうについて来てるんですね。もしこれが第1期くらいのタイミングだったら、ちょっと違う反応になっていたかもしれないなと。

福島：確かに。もうちょっと突っ込んできそうだよね。

雨宮：そう思うと、やっぱり言葉にしないところでより分かり合っているというか、「カズマさんなら気が済んだらどうせ帰ってくるでしょ」みたいな感覚は、より増しているのかなと思いますね。

福島：そうですね。増してるし、もう本当に言葉にしてないし、それを表現してるところもないんだけど、やっぱりお互いを必要としてるんですよね。お互いに、「カズマがいないと」「アクアがいないと」みたいなところがそれぞれあって、それが言葉じゃないところで通じ合っている気がしていて。同時に似た者同士なところを感じている部分もありそうだから、 非常に面白い関係ですよね。

――カズマとアクアの関係性といえば、映画のクライマックスで、アクアがブレッシングを何重にも掛けるシーンも印象的でした。

福島：やっぱり特別ですよ。パーティの中でもアクアにしか“相棒”って言い方はしないので、やっぱりそういうところで違いがあるというか。ちょうど僕もこの前（映画を）見直したんですけど、あのシーンってアクアがめちゃくちゃ嬉しそうな表情をしてるんですよね。

雨宮：やっぱり嬉しいですよ。カズマさんにそうやって言ってもらえるのが一番嬉しい。 アクアも絶対にそうですし、私自身もめちゃくちゃ嬉しいですね。

福島：ああいうひょんなところで交わす会話とかに、やっぱり真実というか、普段心の中で思っていることが隠れていたりするのかなと。……まぁ、いつもは喧嘩ばっかりしてますけど（笑）。