映画『数分間のエールを』織重 夕役・伊瀬茉莉也さんインタビュー|夕にとって彼方は情熱を思い出させてくれた恩人なんだと思います
作る喜びを知るすべての人へおくるアニメ映画『数分間のエールを』が、2024年6月14日(金)より公開されます。
本作は、新進気鋭の映像制作チーム「Hurray!」× 『ラブライブ!』『宇宙よりも遠い場所』を手掛ける花田十輝さんが送る等身大の“モノづくり”青春群像劇。
フリー3DCGソフト「Blender」をメインツールに描かれ、その独特で繊細な画作りにも注目が集まっています。
本稿では、朝屋彼方の高校に赴任してきた英語教員・織重 夕を演じる伊瀬茉莉也さんのインタビューをお届け。ミュージシャンを志していたものの、音楽の道を断念して教員に。音楽への淡い希望を捨てきることができずにいる織重 夕に対する印象や本作の魅力などを語っていただきました。
どの人物にも共感できますよね
──まずはじめに、映画『数分間のエールを』の魅力をお聞かせください。
織重 夕役 伊瀬茉莉也(以下、伊瀬):自分が夢中になれるものを見つけ、それに真っ直ぐ突き進む少年と、夢を諦め絶望している女性の出会いが、2人の人生に大きな影響を与え、一歩前進させてくれるお話です。
登場人物のキャラクターそれぞれが魅力的なのと、やっぱり楽曲がほんとうに素敵です!
──本作の脚本(または台本)を読んで、そして実際に収録をしてみて、ご自身が演じる「織重 夕」の印象はどのようなものでしたか? また、収録前後の印象に変化がありましたらお聞かせください。
伊瀬:彼方が「太陽」なら私演じる織重 夕は「月」。
ミュージシャンを志し挑戦するけど、打ちのめされ、夢を諦め現在は学校で教師をやっています。夢を現在進行形で追っているキラキラした彼方とは対照的。
特に前半の鬱々とした空気感は演じている私も重く苦しい気持ちでした。でも彼方の真っ直ぐな瞳と情熱に少しずつ心動かされ最終的には…。夕の笑顔が見れて良かったなと思います。
──夕というキャラクターの魅力を教えてください。また、歌唱シーン(歌唱:菅原圭)も魅力的でしたが、菅原さんの歌唱と作中のお芝居のバランス的な部分で意識したところはありますか?
伊瀬:最後の決断が凄いなと思うし、素敵だなと思います。それは間違いなく彼方との出会いが無ければそのまま教師を続けていたと思うので。
実はオーディションは私が決まってから、私の声に近いアーティストさんを選出したと伺い、驚きました。
なので、私がしっかり織重 夕のキャラクターを作らなきゃいけないなと背筋が伸びました。
──花江夏樹さん演じる朝屋彼方と夕の関係性について伊瀬さんご自身はどう感じられていますか?
伊瀬:夕からすると彼方はとにかく眩しい存在だと思います。少し前の自分も彼方みたいにやりたい夢に向かって希望と情熱だけで動けていたのに、諦めると決めた以上、いつまでも夢にしがみついていられない。
でも夢を持たずに生きることに意味があるのか? 教師として生きている夕は心が死んでしまっているんですよね。
夕にとって彼方は情熱を思い出させてくれた恩人なんだと思います。
──本作は“モノづくり”がテーマとなっている作品で、「表現する」という点でもお芝居と通ずるものもあるのではないかなと感じました。共感した登場キャラクターの心情や、発見など、作品についてご自身が感じたことをお聞かせください。
伊瀬:どの人物にも共感できますよね。彼方にも夕にも、外崎くんにも。一番大人なのは外崎くんかな。
夕の心情がわかってしまう自分に悲しさも感じてる外崎くんのセリフが好きですね。
──それでは最後に、見どころはたくさんあると思うのですが、伊瀬さんがお好きなシーンを教えてください。
伊瀬:彼方が夕の楽曲にMVを作ろうと一生懸命、寝ずに試行錯誤しながら作ってるシーンは映像的にも見ていてワクワクしますし、あまりに真っ直ぐで素敵すぎてなぜか涙が出てきました(笑)。
あと彼方が美術室で外崎くんがデッサンの練習ノートがNO.51まであることに気付いたシーンも好きです。
でも一番は外崎くんと彼方の「織重先生がなんで先生をやってると思う?」のシーンが一番好きですね。
作品概要
あらすじ
あさやかなたMV(ミュージックビデオ)の制作に没頭する男子高校生・朝屋彼方は、ある日目にしたストリートライブに感動し、その曲のMVを作りたいと強く思う。しかし、歌っていたのは音楽の道を諦めた女性教師・織おり重え夕ゆうだった......。
二人の出会いを軸にモノづくりの楽しさや苦しみを瑞々しく描いた本作は、脚本を『ラブライブ!』『宇宙よりも遠い場所』の花田十輝が担当、監督・演出からキャラクターデザインなど映像のほぼすべてを“ぽぷりか”“おはじき”“まごつき”で構成される映像制作チーム「Hurray!(フレイ)」の3名で作り上げた。
ヨルシカのMVやTVアニメ『可愛いだけじゃない式守さん』のED映像を手掛けるなど、今最も注目を集めるチームが満を持して送り出す初の劇場アニメーションは、フリー3DCGソフト「Blender」をメインツールとして制作が行われており、その独特で繊細な画作りにも注目が集まる。
劇中で織重夕が歌う楽曲の制作を担当しているのはボカロPとしても活躍するVIVI、歌唱はSpotifyが活躍を期待する次世代アーティスト「RADAR:Early Noise 2022」にも選ばれたシンガーソングライターの菅原圭が担当しており、中性的でエモーショナルな歌声で織重夕が楽曲に込めた想いを歌い上げる。
観た人達に前を向いて笑ってもらいたい。
どうかあなたに、 ”数分間のエールを”
キャスト
(C)️HIKE(C)「数分間のエールを」製作委員会