3期は久美子にとって「特別じゃない人生」に向かう 物語だった――『響け!ユーフォニアム3』北宇治カルテット(黒沢ともよさん×朝井彩加さん×豊田萌絵さん×安済知佳さん)インタビュー|最後まで『ユーフォ』ならではの音楽とエンタメを楽しんでほしい【連載第6回】
2015年にスタートしたアニメ『響け!ユーフォニアム』の最終楽章として、2024年4月7日(日)からNHK Eテレにて放送中の『響け!ユーフォニアム3』。
6月23日(日)に放送された第十二回では、吹奏楽コンクールの全国大会に臨む北宇治高校吹奏楽部の演奏メンバーが決定。黄前久美子と黒江真由が競ったユーフォニアムのソロ奏者は、全部員の投票による覆面オーディションの結果、真由に決まりました。
そして、6月30日(日)放送の第十三回(最終回)では、北宇治高校吹奏楽部にとって2年ぶりとなる全国大会が描かれます 。
アニメイトタイムズの『響け!ユーフォニアム3』インタビュー連載企画の第6弾では、「北宇治カルテット」が集結! 第1期からメインキャラクターの4人を演じてきた黄前久美子役・黒沢ともよさん、加藤葉月役・朝井彩加さん、川島緑輝役・豊田萌絵さん、高坂麗奈役・安済知佳さんら「北宇治カルテット」に、第12話までの振り返りや、1年生から3年生までキャラクターを演じてきた中で感じたこと、シリーズの集大成となる第13話の見どころなどを語り合っていただきました。
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久美子と麗奈のシーンは、しびれる展開だった
――『響け!ユーフォニアム3』も残すところあと1話となりました。第十二回までを振り返って、特に印象深いシーンやエピソードなどを語り合っていただきたいと思います。まずは、ご自身が演じたキャラクターに関するところから伺えますか?
黒沢ともよさん(以下、黒沢):印象深いシーン……今回、久美子は多いんですよね。
朝井彩加さん(以下:朝井):多いよね。全部、久美子のハイライトみたいな(笑)。
黒沢:そうそう(笑)。でもやっぱり、麗奈とのシーンはけっこうしびれる展開だったよね。
豊田萌絵さん(以下、豊田):大喧嘩してたもんね。
黒沢:3回くらいあったね。今回、久美子としては、麗奈と楽しく話せたシーンが一か所くらいしかなくて。
安済知佳さん(以下、安済):ちょっと待って! もっとあったって(笑)。
黒沢:麗奈(安済さん)は、楽しかったらしいんですけど(笑)。
安済:私は、第五回が一番、久美子と幸せハッピータイムでした。
──あがた祭りの日、久美子が麗奈の家へ行くエピソードですね。
黒沢:私は、第二回で自由曲について「どの曲を選ぶ?」みたいな話をするところですね。
――麗奈との楽しい会話は、かなり序盤で終わってしまったのですね。
安済:第五回は~?
黒沢:あはは(笑)。知佳ちゃんは、麗奈のシーンで印象的なところはある?
安済:今話した第二回と第五回。あと「部長失格ね」は、「あ~この子、言っちゃった」って(笑)。
――第九回の、橋の上でのシーンですね。
安済:第十二回もかなり印象的でした。(ユーフォニアムのソロ奏者オーディションの投票で)自分を貫いたことに後悔はしていないんですが、あそこまで辛い感情を露わにしている麗奈は初めて見た気がして。これまでにも大吉山のシーンは何度かありましたが、今までとは違う大吉山だったなという印象があります。
――では、葉月や緑輝に関してはいかがでしたか?
豊田:ミドリ(緑輝)ちゃんで言うと、やっぱり第四回ですね。(後輩の月永)求君が、なぜ苗字で呼ばれるのが嫌なのかとか、なぜ(周囲に)少しツンケンしているのかという原因が分かる回なんですが、元々ミドリちゃんは、「心技体」のすべてが揃っているイメージがありました。
でもこの回では、求君のことで「どうして話してもらえないんだろう?」と少し悩んでいるようなところが見られたんです。普段、心配になったり、落ち込んだりすることはほとんどないキャラクターだったので、「ミドリちゃんにもこういう部分はあるんだな」って、初めて知ることができました。
ですがその後すぐに、いつもの自分に戻っていて。最後も何か言おうとした求君に対して、ミドリちゃんの方から明るく話しかけていて。細かいことは聞かない、みたいなところも格好良いですよね。ミドリちゃんの人間としてのでき具合に改めて感動した回で、尊敬しかないです。
朝井:葉月に関しては、やっぱり部内オーディションで(初めて)受かった瞬間(第六回)が、すごく嬉しかったです。葉月にフォーカスして考えると、(3期で)3年生になった葉月がメンバーに選ばれるかどうかは、視聴者の方の中でも注目されていたことだと思うんです。
――『ユーフォ』ファンは、「北宇治が全国で金を取れるのか」と同じくらい「葉月がオーディションに受かるかどうか」も気になっていたと思います。
朝井:そうなんですね(笑)。この4人の中では葉月だけが(高校から吹奏楽を始めた)初心者で。1年、2年と練習を頑張ってきたけれど、大会では吹けない悔しさをずっと感じてきたんですよね。だからこそ、葉月の頑張りが報われた瞬間はすごく印象深いです。
それに、(副顧問の松本)美知恵先生に名前を呼ばれたとき、その場で喜ぶわけではなく、嬉しいけれど状況も見つつ、その場では静かに受け入れて。後から廊下で緑輝とキャッキャしながら喜ぶシーンには、周りをよく見ていて気も遣えるという、葉月の魅力を改めて見ることもできました。名前を呼ばれたときの「はい!」という返事は、自分でも言い慣れていない感じがしました。
(C)武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会