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『真夜中ぱんチ』本間 修監督インタビュー【連載第2回】

夏アニメ『真夜中ぱんチ』本間 修監督インタビュー|視聴者にとってキャラクターが友だちのような存在になってほしい【スタッフ・声優インタビュー連載第2回】

“エモ過ぎず今風過ぎず”に込めた真意

──今教えていただいたようなことから「自分が子供の頃に夕方やっていた、キャラクターがイキイキとしていてテレビの画面から飛び出してくるような、そんな勢いが有って楽しい作品を届けたい!」という事前コメントを寄せられていたのでしょうか?

本間:ああ、それにはまた別の理由もあるんですけども、熱量感というのがひとつ共通する要素でした。ひとりのキャラクターとしてまとまりよく収まっている感じではなくて、当時のキャラクターたちが持っていた体温感を入れたいなと。

──別の理由についても詳しく教えていただけますか?

本間:企画時のキャラクターたちは「NewTuberというキャラクター、という商売であれ」のような理念があったように思うんです。昔の1話完結のTVアニメシリーズも、キャラクターたちになにか状況を与えて、そのキャラクターたちの感情が変化していくさまを楽しんでいたように感じていました。例えば『超発明BOYカニパン』(1999年)とか、P.A繋がりで言うと『メダロット』とか。そういうのはずっと頭の片隅にありました。

YouTubeという新しいメディアの中で、熱量高く、型に収まらずにやっているYouTuberと、そのキャラクター像というのは相性が良いんじゃないかなという想いがあったんですね。確信があったわけじゃないんですけども。

ちょっと語弊があるかもしれませんけど、キラキラ良いものではなくて、雑な人たちによる雑なものならではの勢いと言いますか(笑)。漂白されすぎていない世界。そういうものが良いなと。それでキャラクター原案のことぶきつかささんに“昔のキャラクターが持っていた体温感を、今の時代に再現してほしい”というお願いをしていました。

──ことぶきさんが生み出し、有間涼太さんによってデザインされた個性的なキャラクターたちを見たときはどのような印象がありましたか?

本間:素晴らしいなの一言でした。ただ、当時は大変でした。まだコンテがない段階だったので、このキャラクターたちがどう動くか、スタッフ全員が共有できているわけではなかったんです。そのため、中には「視聴者が受け入れてくれるのか」という厳しい意見もありました。ただ、そうした中でことぶきさんが柔軟にアイデアを出してくださって、結果的に良いところに落ち着いたし、ことぶきさんならではの元気なキャラクター性が出て良かったなと思っています。

──橋本さんのインタビューの中で「まあ、当初は大変ではありました」ともおっしゃっていましたが、そうした苦労話のことを指されていたんでしょうか。

本間:今の話に関してはすでに橋本さんがいた時だったんです。橋本さんが入る前のこととして……僕の勝手なイメージとして、P.A.WORKSさんはストーリーベースでお話を作られる会社だと思っていたんです。テーマを決めて、ストーリーラインを決めて、その中で「主人公だったらこう動くよね」という作り方をしているのかな?という印象がありました。もちろん、実際はどうかわからないですよ(笑)。でも自分の中で「今回はキャラクターベースで話を作るんだ」というテーマがあって、白坂さんにもそうお願いしていました。

だから最終回のプロットが決まる前に1話の原稿に入ってもらいました。キャラクターが動かして「りぶってこういうキャラクターなのね!」と感じながら、ストーリーが出来上がるようにしました。それは自分の中での挑戦でしたね。

──つまり、キャラクターたちが勝手に動いていったと言っても過言ではないということでしょうか?

本間:そうかもしれませんね。そうしたいと思っていましたし、ある程度、それができたんじゃないかなと思っています。もちろん終わり方に関してはある程度予想をつけているところはありますけど、僕としてはストーリー都合ではなく、キャラクターが動いた結果の最終回にしたいと考えていました。

キャラクターもどんどんと変わっていったんです。特に譜風はもともとああいう変わったキャラではなく、地味だけどある趣味を持っているという人でした。苺子はそのままですけどね(笑)。マスコットキャラクターです。

それこそ、りぶに関してはファイルーズあいさんが声を当てた段階で変わっていきました。

──へえ! 

本間:りぶは当初、察しの良いキャラクターとして描かれているところがあったのですが……察しが良いキャラクターってこの作品だと、埋もれてしまってキャラが立ってこないのでは、という懸念も正直ありました。しかし、ファイルーズさんの声が入ることで、りぶのキャラクターが一気に生き生きとして、人のことを考えずにズバズバと失礼なことを平気で言っても、愛されるようなキャラクターになったように感じています。

ファイルーズさんの声が入ることで、「りぶ」というキャラが成立したように思います。『ドラゴンボール』の孫悟空のようだなって。その話は最初からしていましたが、結果的に「失礼なことも言えてしまう」面白いキャラクターになりました。

──りぶは「なんでダメなの?」「やっちゃおうよ〜!」って感じのノリですものね(笑)。でもそこに嫌味を感じさせず、気持ちの良いキャラクターになっているのがファイルーズさんならではというか。

本間:そうそう。それはファイルーズさんの声の力が大きい気がします。なんなんでしょう。りぶが喋っているだけで勇気をもらえるんですよ。実際、りぶは本当に思ったことだけを言ってるんですよね。だから本人として、変な他意はないんです。でもきっと、「りぶ」が実在していたら、普通に炎上してしまうようなヤバいやつになってしまうんだろうなとは思いますけども(笑)。

──(笑)。声優陣とはどのようなやりとりがあったんでしょう?

本間:いろいろとやりとりはありましたが、とにかく優秀な方たちだったので、スムーズだった印象でした。「AnimeJapan 2024」のイベントステージで、苺子役の伊藤ゆいなさんが「アドリブで無茶振りされてたよね」ってことを言われていて。それを聞いて「あれ? そんな無茶振りしてたっけ?」と。まったく自覚がありませんでした(笑)。ただ、「今のところ、もう少し面白い感じで」と言った記憶はあります。

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──橋本さんからもお話がありましたが、伊藤さんは本間さんの推薦ということでした。

本間:そうですね。伊藤さんが担当しているキャラクターを見ていて、苺子に合うんじゃないかなと思っていました。ただ、オーディションの時は伊藤さん、ものすごく緊張していて硬い印象があって。自分の立場的に採用に慎重にならざるを得ないところもあり、迷っていたんですけども、橋本さんから「あそこまで推してたんだから伊藤さんでいくべきです!」と説得させられました。

結果、オーディションではあれだけ緊張していたにも関わらず、現場に入ったらものすごく高いポテンシャルの持ち主で。それを遺憾なく発揮してくれて、苺子というキャラクターを色づけてくれました。

──ところで作中の真夜中ぱんチのチャンネルの「真夜中なのにおっはよー!」というキャッチはどなたが考えたものなんでしょうか?

本間:それは僕の記憶が確かであれば 笠原(周造)さん(KADOKAWAプロデューサー)が考えられたものだったと思うんですよ。まだ何も決まっていないときに「最初の合図はあったほうが良いよね。例えば、真夜中なのにおっはよー!とか。これじゃなくても良いんですけど」って。それがそのまま、定着したような……(笑)。

──その時にはすでに、“真夜中ぱんチ”という言葉があったんです?

本間:いや、確かなかった気がします。もしかしたら「真夜中なのにおっはよー!」が先かもしれません。逆に笠原さんに伺いたいですけどね。あの時言ったのがそのまま使われてますけど、どう思いますか?って。でもそのノリ感も生っぽいし、YouTuberっぽくって良いなって。

なんか、決め込まない良さってあると思うんですよね。商業作品でやるのは難しいんですけども“決め込まない”って動画投稿者や配信者の魅力でもあると思うんです。例えばYouTuberさんが気にされているのは動画のタイミングやサムネイルだと思うんですけども、それ以外の部分は手作り感があって。

例えば、ヘッダーがマウスで描いたものだったりするじゃないですか。そういうのって良いなぁって。ただ、アニメ作品でそれを再現してしまうと、作画がうまくいっていないように捉えられてしまう可能性があるので、その塩梅は難しいところでした。舘さんが工夫してくださっていますが。

──監督自身は普段から動画はご覧になられるんですか?

本間:僕はなにかしら動画を見ていますね。YouTubeやニコニコ動画、その他プラットフォームを常に見ている状態です。ただ、僕はあまりバラエティ的な動画を配信しているYouTuberには詳しくなかったんです。だからYouTubeに詳しい辻さんや舘さんに助けられました。また、制作にあたっては『プリッとChannel』さんを始めとしたYouTuberの方にアドバイスをいただいています。

──いろいろな方の力があって、本作が生まれたんだなと改めて感じるエピソードです。本間監督としては、どのようなところを視聴者に楽しんでもらいたいですか。

本間:元気がもらえるアニメになっていると思うんです。いろいろな人が見て、元気になったら良いなと。それとは別に、小さい頃にアニメの最終回を見ると、キャラクターが転校・卒業していってしまうような寂しさを覚えていたんです。それを視聴者の皆さんに感じさせることができたら成功なのかなと思っています。そういう感じのところまで、持っていけたらいいなって。視聴者にとってキャラクターが友だちのような存在になってほしいなと考えています。

実は制作は結構前に終わっているので、本当に早く観てほしいです。手応えのある作品になっているので、できれば感想をSNSなどに書いて盛り上がってもらえたらうれしいです。

[取材・文/逆井マリ]

連載バックナンバー

TVアニメ「真夜中ぱんチ」作品情報

2024年7月8日(月)放送開始!
《動画投稿、はじめます!?》

放送・配信情報

■放送
TOKYO MX・AT-Xほかにて7月8日(月)放送・配信開始!
TOKYO MX:7月8日より 毎週月曜 22:30~
AT-X:7月8日より 毎週月曜 22:30~
【リピート放送】毎週水曜 10:30~/毎週金曜16:30~
BS11:7月8日より 毎週月曜 23:00~
KBS京都:7月8日より 毎週月曜 24:00~
サンテレビ:7月8日より 毎週月曜 24:00~
チューリップテレビ:7月8日より 毎週月曜 25:50~
※放送開始日・放送時間は変更となる場合がございます。予めご了承ください

■配信
dアニメストアにて7月8日(月)22:30より地上波同時・最速配信!
dアニメストア:7月8日より 毎週月曜22:30~
U-NEXT:7月11日より 毎週木曜 22:30~
アニメ放題:7月11日より 毎週木曜 22:30~
その他サイトも7月13日(土)22:30~以降、順次配信予定!
詳細は各サイトでチェック!

INTRODUCTION

「真夜中なのにおっはよー!真夜中ぱんチです!」

世界でもっとも見られている動画投稿サイト「NewTube」。

3人組NewTuber「はりきりシスターズ」の「まさ吉」こと真咲は、生配信中の問題行動が炎上し、チャンネルをクビになってしまう。

起死回生を狙う真咲の前に現れたのは、なぜか彼女に運命を感じたヴァンパイアのりぶ。

その超人的な能力があれば、目標のチャンネル登録100万人だって夢じゃない!?

真咲は、自分の血に惹かれるりぶに動画出演を依頼。

対価として差し出したのは......。

「100万人が達成できたら、いいよ。私を食べて」

りぶの暮らす晩杯荘の仲間たちを巻き込み、絶対夢を叶えたい動画投稿少女×絶対食べたいヴァンパイアの決死の動画撮影が始まる!!

現代人共感必至!?

「パリピ孔明」スタッフが贈る、ワケあり動画投稿者たちのハイテンション・ガールズ”再生”ストーリー!

STAFF

原作:動画投稿少女
監督:本間修
シリーズ構成:白坂英晃
キャラクター原案:ことぶきつかさ
キャラクターデザイン:有間涼太
総作画監督:有間涼太、さとう沙名栄、合田真さ美
メインアニメーター:鍋田香代子
美術設定;藤井祐太
美術監督;前田有紀
色彩設計;江口亜紗美
撮影監督;児玉純也
2Dworks:吉垣誠
3D監督:小川耕平
編集:髙橋歩
音楽:tepe、樂
音楽制作:ハートカンパニー
音響監督:飯田里樹
音響効果:小山恭正
録音調整:安齋歩
音響制作:dugout
アニメーション制作:P.A.WORKS
製作:「真夜中ぱんチ」製作委員会

CAST

真咲:長谷川育美
りぶ:ファイルーズあい
苺子:伊藤ゆいな
譜風:羊宮妃那
十景:上田 瞳
ゆき:茅野愛衣
橘花:安済知佳
乙美:近藤玲奈

公式サイト
公式X(@mayopan_anime)
推奨ハッシュタグ:#マヨぱん #mayopan

(C)2024 KADOKAWA/P.A.WORKS/MAYOPAN PROJECT
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