「特撮を作る会社って素敵だなと思います」――『ウルトラマンアーク』伴ヒロシ役・西興一朗さんインタビュー|ふわっとした空気感でみんなを包む、優しさに溢れたSKIPとヒロシ所長のリーダー像
物語が進んでいく中で、ヒロシにも変化が訪れる
ーーここからは、SKIPのメンバーを演じるキャスト陣のお話を伺いたいと思います。西さんから見た、飛世ユウマ役の戸塚有輝さんはどんな方ですか?
西:根っこの部分に純粋な気持ちを持っていて、物事をすごく丁寧に考える人という印象です。その純粋さがお芝居にも活きている気がするので、ユウマは有輝にしかできなかったんだろうなと。本当に唯一無二の優しさを持っていますよ。
ーー戸塚さん自身は、性格や考え方に共通する部分は少ないものの、「所作や佇まいなどのアウトプットがユウマに似ているのかも」とお話されていました。
西:なるほど。もともとお芝居がすごく上手ですし、しっかりと役を作り込むタイプだと思うんです。そこに“戸塚有輝”というフィルターを通して、さらに良い効果が出ている感じですね。個人的にも好きなタイプの主人公です。
ーーそういう意味では、金田昇さん演じるシュウにも同じことが言えそうです。
西:昇はとても真面目なんですよ。シュウの芯が強い部分には、間違いなく昇の本質が滲み出ている気がします。ふたりに限らず、今回のキャストはベースに優しさを持っている人が多いですね。
ーー第1話のコーヒーのくだりでは、シュウの意外な一面も見られました。
西:僕もあのシーンは好きです。あれによって、シュウが視聴者から愛されるというか。実はシュウが「コーヒーはありますか?」と言って、僕らが「コーヒーは……」と顔を見合わせる流れは、アドリブで作ったんですよ。今考えると、あのふわふわとした空気感はSKIPらしい気がします。「ないですね……すいません」という感じで、強く否定しない人たちなんです。
ーー夏目リン役の水谷果穂さんについては、いかがでしょうか?
西:長くお芝居をしている人なので、安定型と言いますか。機嫌が悪そうな姿を一度も見たことがないです。「こんなに誰かのことを考えられる人がいるんだ」って。果穂ちゃんも良い意味で芯が強い気がします。
ーーSKIPにおけるリンの立ち位置とも重なりますね。
西:仰る通りで、SKIPの中ではリンが1番しっかりしていると思います。物語が進んでいくと、リンの存在がキーになる瞬間もたくさん出てくるんです。
ーーお話を伺っていて、現場全体の雰囲気の良さも伝わってきました。
西:全ての業界人が見学に来ても良いレベルの素敵な現場でした。スタッフさん含め『ウルトラマン』への愛情を感じましたし、お弁当も最高に美味しくて(笑)。個人的には、もう1年撮影したいくらいですね。
ーー折角なので、撮影を通して感じたウルトラマンの魅力についてもお伺いしたいです。
西:やはり大きいことが魅力じゃないでしょうか。過去に僕が出演させてもらった作品は、ロボットに乗ることはあっても、基本的に等身大のヒーローでした。ウルトラマンはもちろん、怪獣も大きいですから、迫力のある映像になりますよね。現場では特撮パートを完全に別で撮っていたので、それは『ウルトラマン』っぽいなと感じました。僕は両方好きですが、同じ特撮でも、東映さんと円谷さんの現場は全然別物ですね。総じて、特撮を作る会社って素敵だなと思います。
ーーどちらも経験した西さんだからこその見方ですね。最後になりますが、今後の放送に向けて、第3話以降の見どころをお聞かせいただけますか。
西:まずは、飛世ユウマの成長物語に注目していただきたいです。彼がどうやって苦悩を乗り越えていくのか。そして、ユウマを見た子どもたちが「自分も想像力を高めてヒーローになれる!」と希望が持てるような内容なので、ユウマに感情移入しながら、放送を観ていただけたらなと。SKIPのメンバーもどんどん成長していくと思います。観続けるほどに楽しくなるんじゃないでしょうか。こんなに続きが観たくなる作品も中々ないですよ!
ーーヒロシ所長の活躍にも期待していいでしょうか?
西:僕はただのコメディおじさんなので(笑)。ただ、物語が進んでいく中で、ヒロシにも変化があると思います。ぜひ楽しみにしていてください。
[インタビュー・撮影/小川いなり]
『ウルトラマンアーク』作品情報
あらすじ
市内の獅子尾山には、異彩を放つ巨大な物体がそびえ立っている。「モノホーン」と名付けられたそれは、実は、16年前の事件当時から突き刺さったままの「怪獣の角」だった。
世界各地で怪獣が同時に出現した「K-DAY」と呼ばれるその事件以降、怪獣災害が日常化し、日本では地球防衛隊が武力で怪獣への対処を行う一方、怪獣防災科学調査所・通称「SKIP(スキップ/Scientific Kaiju Investigation and Prevention center)」は、怪獣災害の発生・甚大化を防ぐため、地域に密着して科学調査や避難誘導を行っている。
この「SKIP」が今も調査を続けている「モノホーン」は、「K-DAY」で出現した宇宙獣・モノゲロスの角。
獅子尾山で両親とキャンプ中にモノゲロスの襲来に出くわした当時7歳だった「ユウマ」は、奇跡的に無傷で生還したのを機に怪獣生物学研究の道に進む。辛い過去を持ちながら夢見る「想像の力」をなくさずに成長を遂げたユウマは新人調査員として「SKIP」への入所が決まり、星元市分所へと配属された。
だがそんな矢先、星元市に大規模な怪獣災害が発生。目の前にいる絶体絶命の人たちを「守りたい!」その強くまっすぐな想いが心の底から湧き出した瞬間、「ユウマ」の脳裏に幼い頃に見た光の使者「ルティオン」が語りかける。
「私は君であり、君は私だ…想像力を解き放て!
手の中に現れた神秘の光がユウマの身体を包み込むと、解き放たれた想像の力が光と人とをひとつに結び合わせ、未来を守る光の巨人「ウルトラマンアーク」へと変身! 大切な仲間とともに、ユウマが、そしてウルトラマンアークが、絶やさぬ夢を追いかけていま走り始める!
キャスト
(C)円谷プロ (C)ウルトラマンアーク製作委員会・テレビ東京