タマは“パーティの中で”一番のしっかりもの！　ダメなセンセーを放っておけない素直さが素敵――夏アニメ『異世界失格』タマ役・鈴代紗弓さんが第3話を振り返る【インタビュー連載第3回】

先輩として憧れる大久保さんとの本格的な掛け合いは初めてなのに、安心できる心強さ

――タマの相方的な存在のアネット役・大久保瑠美さんと収録が一緒の機会が多かったと伺っています。大久保さんに対する「もっと汚く」というディレクションを聞いた時、この現場はヤバそうだなと思いませんでしたか？

鈴代：（笑）。この作品の音響監督を担当されている明田川（仁）さんは別の現場でもお世話になったことがありますし、他のキャストさんもそうなので、「汚く」と言われた瞬間、「ああ、やっていいヤツだ」とみんな理解したと思います（笑）。役者側に任せていただける現場なんだなと。でもアネットのおかげで、そういう方向性だとわかったので、私も「やってやろう！」という気持ちになった記憶があります。

――前回、アネット役の大久保さんにお話を伺った際、鈴代さんへの溺愛ぶりがすごくて。

鈴代：とっても嬉しいです！

――アネットとタマの掛け合いについて尋ねたところ、「私、紗弓ちゃんのことが大好きなんです」から始まり、「素直さと純粋さと、周りをよく見ている観察眼みたいなものがお芝居につながっているんじゃないかなと。私がマネージャーだったら、絶対推したくなりますもん（笑）」と、しばらく鈴代さんを絶賛する時間が続きました（笑）。

鈴代：本当ですか!?　あとで絶対前回のインタビューを読ませていただきます（笑）。瑠美さんは、私が初めて主役を務めた作品でご一緒させていただきました。初めてお会いした時から、お芝居されている時の役への取り組み方や待ち時間の姿勢もずっときれいで、「こういう大人の女性になりたいな」と思ったことをラジオでお話ししたくらい、素敵だなと思っている役者さんです。

でもメインで共演させていただくのも、がっつり掛け合いするのも今回が初めてでした。だから今回、瑠美さんがいてくださって心強かったです。アフレコでも特番でも安心で。本当に憧れの先輩です。

神谷さんのお芝居に目の前にセンセーがいるような感覚に。センセーの一番好きなところは笑い方!?

――センセー役を演じる神谷浩史さんのお芝居の印象をお聞かせください。

鈴代：最初にキャスト表を見た時、神谷さんと大久保さんと（ニア役の）小市（眞琴）さんと……ということに驚きつつ、素敵な機会をいただけたなと思いました。神谷さんと言えば尊敬する大先輩のおひとりなので、神谷さんが演じるセンセーが楽しみで仕方がありませんでした。

実際にブースに入って、お芝居を聞いたら、本当にセンセーが目の前にいるような感覚になりました。死にたがっているセンセーのどよんとした雰囲気も声にのっていて。決して出そうと思って出せるものでもないし、形からではなく、内側から入るってこういうことなんだろうなと感じました。

原作を読んだ時も「センセーはどんなテンポや抑揚で話すんだろう？」と興味津々だったんですよね。タマは速いテンポでポンポン話していくんだろうと思っていましたが、センセーは間はたっぷりだけど、変な説得力がある感じで。神谷さんがセンセーを演じている時の呼吸感などは本当にセンセーだと感じましたし、文豪っぽさもにじみ出ていて。

一番好きなのは笑い声で、「…ふふ」みたいな（笑）。何ともいえない異様さは、一回聞いたら忘れられず、耳に残りました。センセーのイメージを尋ねられたら、セリフではなく、笑い声かもしれません。それくらい印象に残るキャラになったのは神谷さんのお芝居あってのことだと思っています。

――センセーは今、どんな感情なのか、まったくつかみようがないんですよね。

鈴代：その雰囲気を狙って出しているのか、すごく気になるんですけど、まだ神谷さんに聞いたことはなくて。

――あと大久保さんの話では、鈴代さんと一緒によくほめられたり、アドバイスをいただいていたと。

鈴代：神谷さんご自身の体験から「こういう時はこうだよね」とアドバイスしてくださって。あとカイバラ役の小野大輔さんがいらっしゃった時、抜き録りする予定だったセリフを私が間違って出してしまい、小野さんとかぶってしまったことがあって。その時もきまずくならないように、優しく神谷さんがフォローしてくださって、温かみも感じました。

ご一緒するまで、私の中での存在が大きすぎて恐縮していましたが、優しく、温かく接してくださって、更に尊敬の念が増しました。

――ちなみに、この連載の初回で神谷さんにお話を伺った時、「大久保さんも鈴代さんも本当に上手な人たちで、コメディエンヌの素質があるんだろうな」とおっしゃっていました。

鈴代：嬉しすぎて、まだ信じられません。その発言の部分も掲載されたらスクリーンショットしたいと思います（笑）。