アニメ好き女子による究極の「ドリームボーイフレンド」が登場!? ピクサーで活躍する村山さんに聞く、本作のキャラクター誕生秘話!|『インサイド・ヘッド2』キャラクターアートディレクター・村山佳子さんインタビュー
新キャラクター・ランスは、ピクサーの日本アニメ好きの女子たちが生み出した「究極生命体」!?
ーー本作ではライリーが思春期に差し掛かったせいで、感情の嵐が起きるわけなんですけど、村山さんはライリーに共感するポイントはありますか?
村山:やっぱり友達との人間関係ですよね。あの頃って、本当にめんどくさい頭の中をしていたなと思います。ライリーも悩んでましたけど、この年代だと友達が全てで、高校でひとりぼっちだったら死ぬかもとか(笑)。
本当にそれくらい悩んじゃうんですよね、思春期って。そこは共感できるなと。そういうみんなの気持ちを預かっているようなところがヒットに繋がっているんだろうなと思います。
ーー村山さんは、その年代の頃からアニメにハマっていたんですか?
村山:もちろんです。小学生の頃に『幽☆遊☆白書』にハマり、王道の『SLAM DUNK』とか、柴田亜美先生の作品を読んだり。中高生になったら『ジョジョの奇妙な冒険』や『鋼の錬金術師』などを読んでいました。
『幽☆遊☆白書』と同じくらい影響を受けたのが、『幻想水滸伝』というゲーム作品です。あまりにもハマっていたので高校のタイムカプセルに「将来はビデオゲームキャラクターのデザイナーになりたい」って書いてありました。その夢は一旦忘れたんですけど(笑)。
ーー本当にゲームが好きじゃないと出てこないタイトルだ……!
村山:でも、『インサイド・ヘッド2』でランス・スラッシュブレードというキャラクターをデザインできたので、夢がかなった形になります。
ーー確かに。劇中ゲームのキャラクターであるランスにはいろんな要素を感じます。
村山:ランスのデザインをする時にですね、「チームのオタク女子は全員集まって!」って号令をかけたんです。そして「これから1時間みんなにドリームボーイフレンドを描いてもらいます」って(笑)。
一同:爆笑
村山:みんなが中高生の時に恋をしていたキャラクターを描いてもらって、そのドリームボーイフレンドのエレメントをかけ集めたキャラクターがランスなんです!
彼のイメージは、強く美しく。でもそれだけだと、設定上ちょっとズレてしまうので、ツッコミどころをいっぱい入れようという話になりました。肩パットが片方だけとか、戦闘服なのにお腹丸出しとかね。
私も含め、ランスのアイデアはどんどん出てきて、あれもこれもと付け足していたんです。肩パットも本当はもっと長くて面白かったんですが、監督に却下されて今の長さに落ち着きました。
あと、片方の腕だけ包帯を巻いているんですけど、プロダクションデザイナーをしていたアメリカ出身の方に「なんで包帯片方だけなの?」って聞かれたので「日本ってそうなの!」と言って押し切りました(笑)。
ーー(笑)。
村山:他の子達も「そうだ!そうだ!」って(笑)。世界各国のオタクの好きが集まった「ultimate life(究極生命体)」ってことですね。
ーー最高です(笑)。日本のアニメファンの中には、村山さんのようにアニメ業界で活躍したい方が沢山いると思います。これからこの世界で活躍するために必要なことはなんだと思いますか?
村山:クリエイティブな仕事をしたい方にお伝えしたいのは……『ハイキュー!!』のセリフにもあるんですけど、「センスは磨くもの」ということです。興味を持っていること、好きという気持ちは大前提で、苦労してどんどん磨いていかないといけないんです。
技術はまだまだかもしれないんですけど、センスだけ磨いておけば何か絵を見た時に「この人の絵は凄いな」ということがわかります。そして、自分がそれと比較してどのくらいの位置にいるのか、何が足りないのか見えてくる。その感覚を持っていればどんどん上達していくと思います!
※編集部註:「センスは磨くもの」は、青葉城西高校 及川徹の名言。アニメ『ハイキュー!! セカンドシーズン』第24話 「極限スイッチ」に登場するセリフ。
[インタビュー/タイラ]
『インサイド・ヘッド2』作品概要
あらすじ
少女ライリーを子どもの頃から見守ってきた頭の中の感情・ヨロコビたち。
ある日、高校入学という人生の転機を控えたライリーの中に、シンパイ率いるたちが現れる。
「ライリーの将来のために、あなたたちはもう必要ない」
―シンパイたちの暴走により、追放されるヨロコビたち。
巻き起こる“感情の嵐”の中で、ライリーは自分らしさを失っていく...。
彼女を救うカギは、広大な世界の奥底に眠る“ある記憶”に隠されていた―。
キャスト
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