『ATRI -My Dear Moments-』連載第6回:髙橋ミナミさん(神白水菜萌役)|水菜萌は夏生がより幸せになれる選択をする
水菜萌は誰かにとっての最善を選択できる人
――夏生と水菜萌、ふたりの関係性についてもお聞かせください。おそらく水菜萌が夏生に淡い想いを抱いていることに視聴者はすぐ気づくと思いますが……。
髙橋:水菜萌が伝えることに重きを置いていたらもどかしいですが、そうではないんです。自分の好意に気づいてほしいとか反応がほしいとか、そういう気持ちがあるなら苦しいし喋るのも辛くなってしまいます。けど水菜萌はそうじゃないから楽に話ができる。
ナツくんの感情の揺れ、アトリちゃんへの想いも感じているとは思うけれど、そこに割って入りたいわけでもない。相互愛でもなければ一方的な片思いとも違う、なんて言ったらいいんでしょうね。もう自分から何かを分け与えられたらそれで充分みたいな。
それを言葉で伝えられること、ナツくんと喋れていることがおそらく水菜萌も幸せだと思うので、掛け合いも楽しくやっていましたね。
――アトリについて。水菜萌は最初からロボットではなく人間と同じように扱っている印象があるのですが、彼女とのシーンはどうでしょうか?
髙橋:アトリちゃんは動きも表情変化も人間らしいじゃないですか。水菜萌は自分の見たものを信じるタイプだと思うので、事実よりも普通に子供たちのひとりというイメージで接していると思います。
アトリちゃんの感情の機微みたいなものも知らず知らずの内に受け取っていたのかなとも思いますが、水菜萌はロボットだからという理由で反応を変えたりしないと思いますし、どんな相手もみんな平等に扱っていて凄いなと。
――今後はアトリと水菜萌の距離が近づいていくかもしれませんが、そういった面での見どころはありますか?
髙橋:水菜萌は、ナツ君がより幸せになれる方向に行くんじゃないかなと。
例えばアトリちゃんにお料理を教えていることもそうですけれど、ナツくんがより良い生活をできるようにしている。そういう方にシフトしていくというか。バトンを渡した人になっていくイメージですね。本当に自分のことは置いておいて、誰かにとっての最善を選択できる人なんだなぁって思います。
――5話放送後となりますが、今後のみどころをお教えください。
髙橋:この後、水菜萌が自分の想いで凄く悩むシーンがあって、私はそれを見て恋ではなく愛だったんだなって思いました。彼女は自分を客観視できる人なので、そんな彼女の心情に注目して見ていただけたら。きっとこの『ATRI』の世界の見え方が少し変わってくるのかなと思います。
もちろん大筋はアトリちゃんとナツくんが主役ですが、島で生活している他のキャラクターたち、特に水菜萌は視聴者のみなさんと近い目線を持った存在だと思います。ぜひ彼女にも注目してもらって、ひとりの女の子の成長物語としても見ていただけたら嬉しいです。
――最後に今後を楽しみにしている作品のファンのみなさんへメッセージをお願いします。
髙橋:原作ゲームを好きでいてくださったみなさんにとっても、アニメからこの作品に触れて下さったみなさんにとっても、この物語が持っている美しさそのものは変わっていません。ただ、アニメーションだから見せられる映像美だったり、キャラクターたちの表情がより新鮮に描かれています。
アニメならではの部分を楽しんでいただきつつ、自分がもしこの世界に入ったらみたいな気持ちで物語に入り込んでもらえると、よりキャラクターたちの心の機微や気持ちの揺れ動きが見えてくると思います。ぜひ色々な楽しみ方でこの作品を楽しんでください!
[文・胃の上心臓]
作品概要
あらすじ
キャスト
(C)ATRI ANIME PROJECT