アニメ『デリコズ・ナーサリー』インタビュー第1弾:アニメ×舞台 Wダリ対談 森田成一さん×染谷俊之さん|二人が語る『TRUMPシリーズ』の魅力
森田さんにすごく刺さった舞台での「デリコパンチ」とは?
森田:ところで「デリコパンチ」はアドリブですか?
染谷:アドリブなんですけど……。
森田:やっぱり!
染谷:『TRUMPシリーズ』を生み出した末満(健一)さんが初期の舞台でダリを演じていて、アドリブで「デリコパンチ!」とやっていたのを見て、僕も「若い頃のダリならこんなパンチかな」とやってみたら、末満さん本人からも「ぜひ、やってほしい」と言われて(笑)。
森田:なるほど! じゃあ、アレは受け継いでいるわけですね。
染谷:そうです。受け継ぎました(笑)。
森田:冒頭の5~6分のあたりで「デリコパンチ」が出るのを見て自由にやっているなとうらやましかったです。
染谷:でも末満さんがダリ役をやっていた時の「デリコパンチ」はもっとすごかったですよ。肩からプシュ~! 肩からプシュ~! と、ものすごい時間をかけて「デリコパンチ」をやっていました(笑)。
森田:じゃあ(末満さんがダリ役をやっていた時の)「デリコパンチ」は台本にちゃんと入っていたんですね?
染谷:それはわかりませんが、僕が「デリコパンチ」をやった後、残された人たちがすごく困っていました(笑)。
森田:それは舞台人として、一番やってはいけないことですよね。
一同:(笑)
染谷:ゲルハルト役の三浦(涼介)くんが大好きなんですけど、困らせてしまいました。僕はドSなので。
一同:(笑)
染谷:そういう関係もいいなと思いました。
森田:他のキャストの方も困っていましたが、つまり皆さんはドMということですか?(笑)
僕はクルクル巻き毛のところを引き継ぐことができたので、そこは嬉しかったです。でも「デリコパンチ」もやりたかったな。もし収録前に知っていたら、1話の冒頭の戦闘シーンで入れたかもしれません(笑)。
染谷:でもかなり重いシーンでしたよね?
森田:もちろん寄りではなく、俯瞰で撮影している時とかに遠くで、「デリコパンチ!」と入れて、ガヤと混ざるように(笑)。
染谷:よく聞いてみたらわかるくらいの(笑)。
森田:入れておけばよかった(笑)。
アニメでダリを演じる上で染谷さんの舞台から参考にしたことは? そして舞台について森田さんが驚いた事実とは?
――今のお話にリンクするかもしれませんが、森田さんが『グランギニョル』を見て、アニメのダリを演じる上で参考されたり、落とし込んだ部分はありますか?
森田:そこが難しいところで、もしアニメの収録前に『グランギニョル』を見てしまったら、そこに引っ張られるかもという恐れがあるし、アニメの現場にお芝居が合わなくなるかもしれないと思って、キャラを作り終えるまでは見ないことにしました。
あえて見ないでやっていきながら、途中で『グランギニョル』を見て、「こういう捉え方をするのか」とか「ここは共通項があるかもしれない」と見つけることができました。なので、舞台のダリと大きな隔たりはないかなと思っています。
逆に悔しく思ったのは、染谷さんの演技を拝見したら、思った以上に自由に演じられていたことと、ダイナミズムがあるお芝居をされていたので、「ああ、その部分をもっと出したほうがよかったかな」と思ったりしました。僕は貴族に引っ張られたことで、抑えた部分があったので。台本上の問題もありますが、「ここまでやってもダリはダリなんだな」と改めて『グランギニョル』を見た時に感じましたし、とてもうらやましいなと思いました。
染谷:森田さんに、僕が出ている作品を見ていただけたことがただただ光栄です。こんな日が人生に来るなんて。本当に嬉しいです。
森田:『グランギニョル』は上演時間がとても長いですよね。2時間半以上あるし。
染谷:途中に休憩もないので。
森田:えっ!? 休憩がなかったんですか? お客さんも大変。
染谷:確かに。相当重いシーンもありますから。
森田:僕は休憩があると思って、見ている最中に自主的に休憩をとりましたもん。
染谷:あっ!? 映像を一旦止めて(笑)。
森田:「たぶん、この辺だろう」というところを予測して。
染谷:休憩がある良さもない良さもあると思いますが、この時は冒頭から最後まで没入できるので良かったと思っています。
森田:見終わった後、いい意味ですごく疲れました。
染谷:お客さんも皆さん、どっと疲れ果てながら劇場を後にされていました(笑)。
森田:演者もすごく疲れるでしょう?
染谷:僕は全然そんなことはなかったです。
森田:若いって素敵。1日2公演の日もあるんでしょう? やっぱり僕はアニメのほうで良かった! 舞台はムリムリ!
染谷:でも出ずっぱりではないですし、自分が出ていないシーンも割とあるので。
森田:それを今日、聞きたかったんです。「舞台では休憩があったんですか?」って。休憩がなかったら絶対にもたないだろうなと。あと衣装はすごく暑いんですか?
染谷:めちゃめちゃ暑くて、重いです。
森田:だからこそのマントというかコートのひるがえし方ですよね。あのひるがえし方がカッコよくて。
染谷:この長机くらい重いかもしれないです……ちょっと言いすぎました(笑)。
森田:わかりづらっ!(笑) でもゲルハルトも髪の毛とか重そう。
染谷:めちゃめちゃ重たかったと思います。ターンする動きもあったんですけど、僕も三浦くんもマントに体を持っていかれてしまうので、ターンをやめようかという話があったりしました。
森田:じゃあ元気なうちにオープニングでダンスをすると?
染谷:そうですね(笑)。
森田:すみません。ついファン目線で聞いちゃいました。