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アニメ『デリコズ・ナーサリー』小西克幸が語る作品の見どころと世の男性に響く熱い「家事論」

アニメ『デリコズ・ナーサリー』インタビュー第2弾:小西克幸さん(ゲルハルト役)|絵画チックの美しい絵を動かした映像に感動。舞台発の作品だからこそのスタッフのこだわりも

 

アフレコ最終日に監督からおわびの言葉。その理由とは?

――ちなみにこのアニメのシリーズ構成、脚本だけではなく、舞台の『TRUMPシリーズ』の原作を手掛けられている末満さんとはお会いになりましたか?

小西:初回の収録にいらっしゃっていて、その時に(錦織 博)監督を含めて、ごあいさつさせていただきました。

――小西さんは舞台役者としても活躍されていますが、末満さんの脚本などから舞台の方らしさを感じた点はありますか?

小西:一般的なアニメと違うなと思ったことは、子供がいる中で会議をしているシーンもそうですが、本編の裏でもちゃんと物語が進んでいるところが明確に記されているのかなと。舞台はライブ感がある生ものなので、どんどんお芝居が変わっていきますし、毎日同じ演目でも役者の感情の変化があるし、演出も「こっちのほうがいいかな」と変えていって、最終的には作品が最初から全然違っているものになることもいっぱいありますから。

 

 
また最終日に監督が「いろいろ注文を付けてしまってすみません」とおっしゃってくれました。なぜかというと、僕らが発信するお芝居に対して、「もうちょっとこういうほうがいいかな」とか「これを聞いてみたい」、「これはどうだろう?」などいろいろなパターンを要求されて。要求通りにやってみたら、そこから枝葉が分かれていって、舞台の演出みたいに「これならこういう道もあるよね」と一緒に作っていってくれました。その分、リテイクも多かったです。

――本当に実際の舞台のように少しずつ、みんなで作っていくような感じですね。

小西:そうですね。本当はアンサンブルも含めて、みんなでやって、総合芸術のように作れたらよかったんですけど、収録で例え数人だったとしても最大限に時間を活用していくようなアフレコをしていました。

だから監督からのおわびも「できていなかったわけででなく、こちらの要求しているラインはとっくに超えているんですけど、他の道も見たくなったんです」とおっしゃっていました(笑)。

――あと森田さんは子育てでの、子供たちとの距離感が難しかったとおっしゃられていました。

小西:ゲルハルトもアニメの中で言っていましたが、子育ては乳母などにすべて任せきりで。だから自分では子供の面倒をほとんどみたことがなくて、たぶん自分の仕事ではないと思っているんでしょうね。

貴族には別にやらなくてはならない責務があって、それを全うするのが自分の使命であり、受け継いできた家柄を守ることだと思っていますから。子供たちとの距離感が難しくて、どう接していいのかわからず、子供が泣いていようものなら「泣くな! 泣くな!」と圧をかければ泣き止むと思っている、あの短絡さ(笑)。

 

 
また粗相をした子供をお風呂に入れて洗ってあげたけど、洗髪している時に子供が「痛い! 痛い!」と叫ばれたり、一緒に寝てほしいと懇願された時も何を言っているんだ、お前は。貴族としての立ち振る舞いを考えなさいと叱責するところを見ると、まったく子育てができないのがわかりますよね。ゲルハルト本人は自嘲気味に笑っていましたけど(笑)。

ゲルハルトは今後、我が子にちゃんと向き合うようになるのか、そして他のメンバーがどんなふうに子育てしていくのかなど気になります。ディーノは子供とまったく話さず、突き放すだけで、既に子供は闇オチ寸前ですから(笑)。

 

絵画チックの美しい絵を動かした映像に感動。舞台発の作品だからこそのスタッフのこだわりも

――では次に、実際に映像をご覧になった感想をお聞かせください。

小西:最初にオーディションを受ける時に設定画をいただいたんですけど、「こんなにきれいなキャラクターでいくんだ!?」と驚いたし、「このキャラたちを動かすのか。どうなるのかな?」と興味が湧きました。絵がきれいだと、背景や周りの光の加減など、調整しながら描いていくのが大変だと思うんです。

例えば影をどう入れるのかとか、光の加減をどうするのかとか、日の光をどうするのかとか、などのバランスを含めて、美しい絵を見ているような感覚でした。絵の質感がパキっとしているというよりも絵画チックで。それが動くのもすごいなと思いました。そしてこれは時間がかかるはずだよなと(笑)。スタッフの熱量を感じるし、「こういうものを僕たちは見せたいんだ」という意図が明確になっていると思いました。

あとスタッフさんからお聞きしたのは、キャラはあえて、ハイライトも少なめで絵画っぽく描かれていると。劇伴を担当されているのが舞台でも数多くの劇伴を手掛けた和田(俊輔)さんが担当されているので、舞台と同じ楽器が使われていたりと親和性があるかもしれませんね。

『デリコズ・ナーサリー』は、元々、『TRUMPシリーズ』という舞台から派生していて、舞台上の世界観もとても美しいので、そのあたり、もしかしたら大切にしてアニメで表現しようと思われた結果、アニメの美しさに繋がっているのかもしれないなと思いました。

 

 

――改めてアニメの全体的な見どころと、ゲルハルト・フラとしての見どころのご紹介をお願いします。

小西:ゲルハルトは先祖から代々受け継いできたもの家柄や血筋を守りながら、フラ家を大きくしていこうというプレッシャーや覚悟のために頭でっかちになりがちで、その上に生来の生真面目さが乗っかっていて。だからいつも張り詰めながら生きてきたと思いますが、そんな真面目な彼が今回はほとんど未体験である子育てに挑戦することになりました。

自分の発言がきっかけなので、ダリにできないとは言えず、子育てすることになりましたが、初めて子育てに触れたことで、自分の子供だけでなく、他の家の子供への接し方や考え方が変わってくるわけで。彼の生真面目さがどんな形で子育てに影響していき、自分の子供のアンジェリコと初めて向き合う機会になると思うので、そこを注目して見ていただければと思います。

――女性が共感できるだけなく、彼氏やだんなさんもこのアニメを見れば子供への意識が変わるかもしれませんね。

小西:世のだんなさんもゲルハルトたちみたいな感じだと思いますよ。ゴミ捨てに行った後に「ゴミ捨てておいたから」とわざわざ言うような。奥さんからすれば、そんなことは当たり前のことで。旦那さんが外で仕事をしているからって、やらなくていいことなんて、ないと思うんです。一緒に住んでいるわけだから。

男子もひとり暮らしをしていた時は炊事や掃除や洗濯など家事全般を自分でやっていたわけで、結婚したからやらなくていいということはなく、家事は分担してやっていくものです。もし奥さんがいつも家にいてくれたら助かりますけど、協力できることは協力するべきだし、何かやったからといって自慢するべきではないし。

 

 

見どころから話題は、家庭での男性の家事についての主張へ。熱くなる小西さん!?

――すみません……自分は子供がいるわけでないですが、申し訳ない気分になりました。

小西:そんなつもりではないんですけど(笑)。これから結婚しようとしている男性がこのアニメを見て、どう感じるのかは関心があります。男性に限らず、女性も子育てをやったことがない人が、どう子供と接して、どう子育てしていけばいいのか、参考になるのかなという気がはします。

初めて子供が生まれた時、泣いている子供をどうあやせばいいのか、わからないまま子育てしている家庭もあれば、フラ家のように厳しくしつけている家庭もあるかもしれませんが、女性も男性も楽しめるし、考えるきっかけになるアニメかもしれないので、恋人同士や夫婦同士で見るのもいいかもしれません。

――小西さんは家庭の家事や子育てへの理解がある人だとわかったところで、好感度も爆上がりだと思います。

小西:そんな気持ちはなくて、家庭を持つということは一人暮らしの延長線にあるんじゃないかなと思っただけで。

男女が付き合ったり、結婚すると一緒にいる時間が長くなるので、相手への甘えが出てくると思うんですよ。結婚した当初は、一緒に家事をやっていたのに、時間が経つと仕事が忙しいとか疲れているとか理由を付けてやらなくなって。一人暮らしの経験のある人は全部自分でやってきていたはずですから……何で、こんな熱量で話しているんだろう?(笑)

逆に考えてみると、甘えられる相手がいるというのも素敵なことですけど、アレだけはやめてほしいと思うのは、気を利かせて食器を洗ったり、洗濯ものを畳んだ時に「畳み方が違う」とか「食器をちゃんと洗えていない」とか言うのはやめてください。

――アニメの見どころから子育てへ、そして家事へと不思議な流れになりましたが、アドバイス、ありがとうございました。

小西:こんな締め方でいいんですか?(笑) グサッと刺さった方も子育てや家事に関係なく、『デリコズ・ナーサリー』を楽しんでください。

 

作品概要

デリコズ・ナーサリー

あらすじ

名門デリコ家の貴族であり、将来を嘱望されている《血盟議会》のエリート議員 、ダリ・デリコ。

吸血種たちの最高統治機関である《血盟議会》からある任務を命じられるものの、ダリはにべもなく断ってしまう。

業を煮やした同期議員であるゲルハルト、ディーノ、エンリケが説得に向かうと、そこには自ら幼子をあやすダリの姿が。

一方巷では、吸血種を狙った謎の連続殺人事件が発生。その黒幕と思われる反社会組織《ペンデュラム》と、ダリの間には、なにやら過去の因縁があるようで……。

『血と誇りにかけて、任務と育児の両立──成し遂げてみせようではないか!』

吸血種の貴族たちによるノブレス・オブリージュ育児奮闘記。

壮麗なゴシックワールド×誇りにかけたドタバタ育児は、果たして両立することができるのか!?

キャスト

ダリ・デリコ:森田成一
ゲルハルト・フラ:小西克幸
エンリケ・ロルカ:下野紘
ディーノ・クラシコ:佐藤拓也
ウル・デリコ:日高里菜
ラファエロ・デリコ:小原好美
アンジェリコ・フラ:伊藤彩沙
ルチア・ロルカ:和久井優
エレーナ・ロルカ:福沙奈恵
テオドール・クラシコ:安済知佳

(C)末満健一/デリコズ・ナーサリー製作委員会

 

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