映画
『がんばっていきまっしょい』雨宮天&伊藤美来インタビュー

繊細なアプローチで表現した、思春期の揺れ動く感情――『がんばっていきまっしょい』村上悦子役・雨宮天さん&佐伯姫役・伊藤美来さんインタビュー|ボート部の5人が「ここに存在している」とハッキリ思えた

もし自分がボート競技をするなら……?

ーー本作は映像表現も非常に美しいですよね。

雨宮:私も最初の感想は「なんてきれいな映像なんだろう……」でした。先日試写会があって、大きなスクリーンと素敵な音響で作品を観ていると、自分自身がリアルに体験しているような感覚になりました。カメラワークも凝っているので、とても臨場感がある映像になっていると思います。例えば、5人がボートをやり始めた頃のシーンは、スタッフ陣が漕いでいるものをキャプチャーしたそうです。プロの方だとどうしても上手くなってしまうので、素人が漕いでいる感じを出したかったとか。そういう細部までこだわりを感じました。

伊藤:3Dならではの動きによって、実際に生きているような感覚があって。背景も「本当にアニメーションですか?」と思うくらいのリアルさと美しさでした。自分が悦ネエたちと一緒に松山にいる気分になれて、没入感があるというか。あと、劇伴やSE、主題歌などにもこだわりがあるんです。夏祭りの花火の音がすごいので、絶対に劇場で聞いてほしいと思っています。

ーー瞳や頬の動きの描写が細かくて、キャラクターの感情の揺れが分かりやすく伝わってきました。

伊藤:目の開き方や瞬きのスピードもリアルで、眉毛一本で感情の動きも伝わってくる感じは、むしろ実写に近いのかなと。みんなの瞳に海の乱反射が映って輝いているのがとても美しくて、「ここにみんなが存在しているんだ」とハッキリ思えました。

ーー雨宮さんは作品の舞台になった松山を実際に訪れたとか。

雨宮:私が行った2日間は、あいにくの天気でした(笑)。「青い空と海」という訳にはいかなかったんですけど、作中で松山の美しい景色がそのまま描かれていることを改めて実感しました。作品に登場した場所を巡れて、とても楽しかったです。悦ネエたちがよく行く喫茶店のモチーフになった場所にも行ったのですが、外観や座席の感じが本当にそのままでした。みなさんも映画を観た後で、登場した場所を見に行ってみていただきたいです。

ーーちなみに、もしご自身がボート競技をするとしたら、どのポジションになりたいですか?

雨宮:経験がないので、選ぶのは難しいですけど、演じるキャラクターのポジションをキャスト自身が担当して、一度ボートを漕いでみたいですね。

ーー雨宮さんは周囲を引っ張っていくタイプだと思うので、悦子と同じストロークが合いそうです。

伊藤:ストロークはクルー全体のリズムを作り出す役割があるから合いそうだね。タイミングも、上手に引っ張ってくれそう。

雨宮:嬉しい! 私、乗せられやすいところがあるので良いかも。向かいにコックスがいて、「頑張れ! 頑張れ!」と目の前で言ってくれたら「頑張る! 頑張る!」って(笑)。だからシンプルな人がストロークには向いているのかもしれません。

伊藤:私はバランサーでいたいので、3番です。

雨宮:そうなんだ!

伊藤:前の人のリズムを受けたうえで、それを正確に伝えていくような。だから2番と3番には安心感があると思うし、真ん中にいたいので3番で!

雨宮:3番はメンタルと体力の安定感が求められそうなイメージだけど、姫のポジションのコックスはどうなの?

伊藤:映画の中でも悦ネエ目線で、姫に近づいていくカメラワークがあって。みんな真剣だから気にならないと思うけど、叫んでいるのを近くで観られるのは少し恥ずかしいです(笑)。

ーー(笑)。最後に、映画を楽しみにしている読者に向けて、本作の見どころとキャラクターの注目ポイントをお聞かせください。

雨宮:細部までこだわり抜かれたキャラクターの表情や動きはもちろん、景色・音などの臨場感は大きな見どころです。そして、女子高生の心理描写もすごく突き詰めて、丁寧に描かれている作品だと思います。私自身も、お芝居もかなり繊細に作っていきました。

特に私が見てほしいと思うのは、リーと悦ネエが言い合うシーン。お互いが嫌いなわけではないから言い争いたくはないけど、意地になってしまったり、うまく気持ちを伝えられないことってありますよね。悦ネエの中で渦巻く感情を自分なりに表現したつもりなので、そこの空気や温度感にも注目していただけたら嬉しいです。

伊藤:姫は常に周りを見て、立ち回っていますが、悦ネエに対しての想いが静かに胸の中でふつふつと燃えているんです。そういった部分も、繊細に描かれた表情や動きから感じ取っていただけると思います。

作品全体でいうと、みんなが松山に住んでいて、ボート部として生きていることを感じられるので、絵の美しさや動き、セリフや劇伴、SEなどのすべての音を大きなスクリーンと素晴らしい音響設備で観ていただきたいです。

既に原作を読まれた方も、このアニメから作品に触れる方も、みんながそれぞれの想いで感じ取って、楽しんでいただける作品になったと思うので、ぜひ劇場で体感してください。

[取材・文/永井和幸 撮影/MoA]

雨宮天さん

【ヘアメイク】
社名:株式会社 アッドミックスビー・ジー
名前:尾関真衣

【スタイリスト】
新田アキ

伊藤美来さん

【ヘアメイク】
大久保沙菜

【スタイリスト】
川端マイ子

共通衣装クレジット

ジュエローブ(Jewelobe)
問い合わせ先:03-5724-4034

『がんばっていきまっしょい』作品情報

2024年10月25日(金)全国公開!

がんばっていきまっしょい

あらすじ

自分なんて特別じゃない―。そう思っていた。ボートに出会うまでは。

どこまでも広がる青い空と青い海。この日、三津東高校クラスマッチのボートレースが開催されていた。

漕ぎ手を務めていた2年の村上悦子は、負けを確信し漕ぐのをやめる。やりたいことも見つからない。

家と学校を往復するつまらない毎日だ。

ある日、悦子のクラスに転校生がやってきた。クラスマッチを浜辺から見ていたという梨衣奈という名の転校生は、ボート部は廃部にも関わらず「ボート部に入りたい!」と初対面の悦子に熱弁を振るう。悦子と幼なじみの姫が力添えをしてボート部を復活させると、同学年の妙子、真優美も入部。名義貸しのつもりだった悦子もボートをやることになり、初心者5人の猛練習が始まった。

大会予選で惨敗し、自分たちのレベルを知ったボート部は、次こそは勝とうと気持ちをひとつにする。バラバラだった悦子たち5人の、濃くて、熱い毎日が、今走り出す―。

この秋、日本中が胸を熱くする青春アニメーション映画の新たな名作が誕生する。

キャスト

村上悦子:雨宮天
佐伯姫:伊藤美来
高橋梨衣奈:高橋李依
兵頭妙子:鬼頭明里
井本真優美:長谷川育美
二宮隼人:江口拓也
寺尾梅子:竹達彩奈
大野舞:三森すずこ
安田夏央莉:内田彩

(C)がんばっていきまっしょい製作委員会
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