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ついに完結!『呪術廻戦』とは一体、何だったのか【めざせ! トレンドマスター!】

ついに完結!『呪術廻戦』とは一体、何だったのか……? 僕達の青春を彩った『呪術』が与えてくれたものとは……? 徹底感想会【めざせ! トレンドマスター!】

空っぽだった虎杖の変化

タイラ:結局、虎杖の領域は名前も能力もわからないままでしたね。

小川:「じゅじゅさんぽ」とか言われてましたが(笑)。でも、虎杖の領域が披露された回が『呪術廻戦』の中で一番好きです。虎杖の集大成だったと思うんです。

彼のセリフの通りですが、正しい死に方、自分の役割を全うすることに全力をかける不思議な主人公。彼に誰かを助けたり、正しい死に方をさせないような現実が虎杖を押しつぶしていく話でもあったじゃないですか。友人も助けられなくて、宿儺に体を奪われて渋谷を壊滅させて、伏黒まで乗っ取られてしまう。

虎杖は、自分を犠牲にして宿儺という厄災を抑え込んでいるというのがある種生きがい、死にがいになっていたのにその役割すらも剥奪されました。本当に無になった虎杖が、宿儺に挑む中で「生きるのに役割なんていらない」と気づいている。

タイラ:そういうこれまでの生き方とか、焦りみたいな外枠を外しましたよね。

小川:虎杖は「生きているだけで価値がある」ということを否定するような真人や宿儺たち呪霊を倒すために戦う、みたいな境地にたどり着いたんだと思います。領域展開をしたのに自分の故郷を歩き回って宿儺と対話するっていう一見地味なんだけど、全ての命が存在して良いみたいな虎杖の感覚が伝わるものになっていました。

私も読んでいて、何だこれと思ったけど、宿儺と同時に気づく。虎杖は、宿儺という呪いの王までも包みこんで憐れんでいるんだなと。

タイラ:宿儺はブチギレでしたね。

小川:全ての生を肯定できない宿儺を憐れんで、そこで仏像のカットが入る。虎杖の慈悲ですよね。そして、もうお前をいつでも倒せると告げる。

タイラ:「お前はもう死んでいる」。

小川:主人公の作り方というか、あり方、変化の仕方として最高だと思います。その後、伏黒にお前がいないと寂しいって伝えているし、虎杖も立派な主人公に成ったんじゃないでしょうか。

呪術師ってなんだろう

タイラ:今日、最終話が更新されましたが個人的に素晴らしいラストだったと思います。『呪術廻戦』で少しぼんやりしていた部分を自分の中で捉え直すことができました。

僕は、物語で描かれている要素を現実世界と照らし合わせて考えるのが好きなんです。例えば、呪霊や呪詛師ってなんだろう? みたいな。彼らは人間に備えられた悪意や怒り、負の一面の具現化だとさっきも言いましたが、まさにそういうものだと思っています。誰かを苦しめる社会構造であったり、犯罪とか暴力、いじめみたいな人間だからこそ生まれてしまうもの。

対して、「呪術師ってなんだろう」という問いにイマイチ答えが出せなかった。彼らは呪霊たちと同じような力を持ちながら、誰かを救ったりする。作中ではちょこちょこ「呪術師の存在」に言及するようなセリフがあると思うんですよ、例えば七海建人が命を落とすところや日車が宿儺と戦っている時のセリフだったりとか。それでもピンとこなかった。でも今日で答えが出ました。

呪術師って強聡(つよさと)なのよ。

小川:強くて聡い奴らね。五条が最初から言っていることです。

タイラ:勝手に略しているのに良くわかりましたね(笑)。人間の怒りや悪意、苦しみ、絶望感みたいなものに打ち勝つ強さや優しさ、聡明さを持っているのが術師であり、強さ・優しさ・聡明さそのものなんじゃないかと。

最終話で五条の「五条悟とかどーでもよくない?」というセリフがありましたけど、誰か一人の強大なパワーを持った奴じゃなくて、一人ひとりがいろんな種類の強聡を持っていてほしいっていうことですよね。

五条が繋ぎたかったものってそれなんだと理解しました。僕自身もそういう強くて聡い仲間の一員になりたいし、ならなければなと。現実社会では、毎日のように自分の人生とか地球全体のこの先みたいなものに絶望してしまう事ばかり起きていますけど、それに立ち向かうというか、大層なことはできなくたって、そんな社会で懸命に生きて少しでも誰かに優しくできるような気持ち、そういう姿勢が現実における「呪術師」なんじゃないかなと僕は思います。

物語のラストに、虎杖が迷惑呪詛師に「期待してる!!」って伝えていましたが、あの呪詛師に僕は勝手にリンクしていました。僕も良い術師になれるって虎杖が言ってくれているような気がしましたね(笑)。『呪術廻戦』という作品を通して、強くて聡い仲間たちがどんどん生まれてくれたら素敵だなと思います。

小川:そういう意味で言うと、五条悟というキャラクターのゴールがわかった回でもあったかなと。夏油と共に過ごした全能感のある青春があって、そこから自分の限界みたいなものを知って、宿儺に負けて最強でもなくなって。

彼は強く聡い仲間を作っていくと物語の序盤に明言して、虎杖たち若い世代に「期待してるよ」と伝えて死んでいった。最終的に虎杖も含めて、みんな無事に生き残っていましたけどそれこそが五条の目的だったんですよね。

夏油を失って、自分ひとりだけ力があっても意味がないことに気付いた。彼が命をかけてまで成し遂げたかったことは、虎杖や乙骨みたいな強く聡い術師たちを残すことだったので、それが無事に叶っていますよ。本当の意味で五条は"先生"だったんだなと思いました。

枠にハマるのか逸脱するのか

タイラ:宿儺のラストも印象的でしたよね。五条と虎杖の会話と対になるかのように、真人と宿儺の会話が描かれていた。

小川:宿儺も虎杖と同じ様な枠に囚われていたんですよね。今の宿儺じゃない生き方ができたという自覚がありながら、自分の呪いを恐れて、自分を定義して異形の忌み子として生きることを選んでいます。

タイラ:脹相も呪いとしての枠で生きることが楽だったと言っていました。

小川:そう考えると呪霊ってみんなそうかもしれないですね。真人もそうですが、呪いっていう枠で生きるしかないのかも。逆に枠にハマっていない登場人物を考えてみると秤や東堂、髙羽なんかが思い浮かびますが、そういうキャラクターはみんな強くてかっこいい。

伏黒の領域展開や、真希の相撲もそうですし、虎杖もそういう役割を全うするみたいな枠を外すことで宿儺に勝ちました。宿儺も虎杖に負けることによって、次の生き方を模索するようなフェーズになっています。

そう考えると、善悪の戦いではなくて、枠に留まっているものと、枠なんて考えていないもの、どうにかそこから脱した人たちの衝突みたいな作品とも言えますね。

タイラ:そうですね、型にはまるというのも意識しすぎると呪いに転じるのかもしれません。いや〜、良い最終回でした。芥見先生のラブコメやギャグ漫画も読んでみたい。

小川:読みたいな(笑)。何を描いても面白そうですよね。『呪術廻戦』を描いてくれたことだけでも本当に幸せだけど、これからどんな作品が生まれるのか楽しみです。また、『呪術廻戦』に影響を受けた作家さんの作品が生まれてくるのもまた最高です。

何十年とか経ってジャンプを読んで「いやこれ呪術廻戦やん!」って言いたいもん(笑)。

タイラ:ジジイになってね(笑)。

小川:「いや、『呪術廻戦』って何?」って若者に怒られたりしながら。

タイラ:昔、『呪術廻戦』って漫画があってね……みたいな。

小川:その時に、この記事を読んでもらいましょう(笑)。

『呪術廻戦』作品概要

呪術廻戦

あらすじ

少年は戦う―― 「正しい死」を求めて
辛酸・後悔・恥辱
人間が生む負の感情は呪いと化し日常に潜む
呪いは世に蔓延る禍源であり、最悪の場合、人間を死へと導く
そして、呪いは呪いでしか祓えない
驚異的な身体能力を持つ、少年・虎杖悠仁はごく普通の高校生活を送っていたが、
ある日“呪い”に襲われた仲間を救うため、特級呪物“両面宿儺の指”を喰らい、己の魂に呪いを宿してしまう
呪いである“両面宿儺”と肉体を共有することとなった虎杖は、
最強の呪術師である五条悟の案内で、対呪い専門機関である「東京都立呪術高等専門学校」へと編入することになり……
呪いを祓うべく呪いとなった少年の後戻りのできない、壮絶な物語が廻りだす―

キャスト

虎杖悠仁:榎木淳弥
伏黒 恵:内田雄馬
釘崎野薔薇:瀬戸麻沙美
禪院真希:小松未可子
狗巻 棘:内山昂輝
パンダ:関智一
東堂 葵:木村昴
加茂憲紀:日野聡
西宮 桃:釘宮理恵
禪院真依:井上麻里奈
三輪 霞:赤﨑千夏
究極メカ丸:松岡禎丞
五条 悟:中村悠一
夜蛾正道:黒田崇矢
七海建人:津田健次郎
吉野順平:山谷祥生
庵 歌姫:日笠陽子
楽巌寺嘉伸:麦人
冥冥:三石琴乃
禪院直毘人:中田譲治
家入硝子:遠藤綾
猪野琢真:林勇
新田明:徳井青空
夏油傑:櫻井孝宏
漏瑚:千葉繁
花御:田中敦子
真人:島﨑信長
脹相:浪川大輔
壊相:檜山修之
血塗:山口勝平
組屋鞣造:稲田徹
重面春太:羽多野渉
両面宿儺:諏訪部順一
高田ちゃん:黒沢ともよ
伏黒津美紀:早見沙織

(C)芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会
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