『劇場総集編ぼっち・ざ・ろっく! Re:/Re:Re:』ABEMAアニメ祭で行われたスタッフトークをレポート!斎藤圭一郎(監督)、けろりら(キャラクターデザイン・総作画監督)、山本ゆうすけ(副監督)ら制作陣が語る制作の裏話やTVシリーズ当時の思い出話は必聴
2024年6月に前編、8月に後編が公開された『劇場総集編ぼっち・ざ・ろっく! Re:/Re:Re:』。そのスタッフ陣が登壇したトークイベントが、2024年9月22日(日)に109シネマズプレミアム新宿で行われた「ABEMAアニメ祭」の施策のひとつとして開催されました。
当日は斎藤圭一郎さん(監督)、けろりらさん(キャラクターデザイン・総作画監督)、山本ゆうすけさん(副監督)、梅原翔太さん(アニメーションプロデューサー)、高山幹弘さん(プロデューサー)、石川達也さん(プロデューサー)が登壇し、制作の裏話をはじめとするトークを展開。
ここでは、第1部と第2部の模様をあわせてお届けします。
けろりらによる喜多郁代や伊地知星歌の衣装設定など超貴重な資料を初公開!
劇場総集編の反響についてのオープニングトークからスタッフ舞台挨拶がスタート。斎藤監督は姪御さんが後編を2回も鑑賞していたというエピソードを披露。けろりらさんは周囲の業界人から鑑賞報告があったそうで、ありがたいことだと話していました。
「劇場総集編のテーマ」という話題では、斎藤監督はTVシリーズのどこまでを前編、後編に分けるのかを考えたとコメント。各エピソードの軸やテーマ性は本編ありきなので、TVシリーズを既にご覧いただいている方の期待に、どうしたら応えられるのかを考えていたのだとか。
また、劇場総集編のサブタイトルが『Re:/Re:Re:』となった経緯も判明。これは高山さんが斎藤監督と相談しながら決めたもので、20パターンくらいの中で明らかに輝いて見えたそうです。
その後は劇場総集編の物語の構成やキャラクターのバックボーンをわかりやすく演出する工夫についてを話していき、話題は斎藤監督との制作上のエピソードに。
けろりらさんは斎藤監督の作品理解度が高いと一言。劇場総集編のTVシリーズの余白を埋める新規カットパートに感動を覚えていたようで、まるでファンのような目線で斎藤監督を称賛していました。
続いて、けろりらさんが描いた劇場総集編での衣装設定を初公開。まずは喜多郁代がバスケをするシーンの体操服姿がスクリーンに映し出され、観客から思わず感嘆の声が溢れ出ていました。この設定はお願いしたその晩に完成したものがあがってきたそう。また、そんな速度で設定が来ることはまずないといった話も飛び出していました。
他には伊地知虹夏と伊地知星歌、PAさんの衣装設定も特別に公開。星歌に関してはゼブラ柄というアニメ―ションで動かすのが難しい服だそうなのですが、1カットだけならと考え採用に至ったとのこと。
斎藤監督と梅原プロデューサーによる渋谷ロケハン写真には会場からの笑いが溢れた
第2部最初の話題は「TVシリーズと劇場総集編の違い」。斎藤監督は自分が作品を鑑賞した時にどう感じるかを想像するとコメントすると、この作品が良いものだと体感してもらうために公開時期やその季節も考慮に入れながら制作したと語っていました。
けろりらさんからは後編制作時のエピソードが飛び出しました。制作を担当するCloverWorksの動画スタッフのみなさんに細かいニュアンスまで汲み取って欲しいとお願いしており、そのためになんと後藤ひとりの全身を360度描きひとつひとつの線がどんな意図を持っているのか共有するメモを用意していたのだとか。
その後は山本副監督による前編オープニングの制作についてのトークが展開。斎藤監督から0話のようなテイストでとのオーダーがあったそうですが、オリジナル要素を生み出さなければいけないため苦労があったとのこと。最後には自分だけでなく斎藤監督や原作・はまじあき先生からもらったアイディアを活かしつつ完成に漕ぎ着けたそうです。
続いて第2部では、第1部とはまた違った制作資料を公開。絵コンテの前段階となる3Dのレイアウトや、ライブシーンで用いられたモーションキャプチャーの資料写真、渋谷ロケハン時の写真を次々と見ていきました。
渋谷ロケハンは斎藤監督と梅原さんとで足を運んだそうですが、どこへ向かうのか調べず行き当たりばったりな旅路になった様子。劇中を思い出す写真もあり、いくつかの写真がスクリーンに映し出されると会場から笑いが溢れる場面もありました。
第1部で公開したけろりらさんによるキャラクターたちの衣装設定を公開したところで、イベント終了の時間が近づいてきました。
けろりらさんがファンのみなさんに感謝の言葉を述べると、最後に斎藤監督はTVシリーズはTVシリーズ、劇場総集編は劇場総集編の良さを両立できるように制作したと作品への想いを露わに。
そして、本作のイベントではおなじみだという「𝐓𝐇𝐀𝐍𝐊 𝐘𝐎𝐔!」のコール&レスポンスを第1部は斎藤監督、第2部はけろりらさんの音頭で行い、本イベントは幕を閉じました。
まだまだその勢いは留まることを知らないアニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』。9月14日(土)からは『劇場総集編ぼっち・ざ・ろっく! Re:Re:』の副音声キャストコメンタリーがスタートしていますので、まだまだ上映中の劇場があれば足を運んでみてはいかがでしょうか。
[取材・文/胃の上心臓]
作品概要