高橋さんは“高橋さんらしい人生”を送る!?『がんばっていきまっしょい』高橋梨衣奈役・高橋李依さんインタビュー|「リーと共に楽しんで、一緒に悩んで、歩めた気がしています」
フィルムの中で、リーとして生きるような感覚
ーーボート部のメンバーである悦ネエ、ヒメ、ダッコ、イモッチの印象をお聞かせください。
高橋:悦ネエのキャラクター性を一言で言い現すのは難しいですね。ただ一つ言えるとすれば、彼女はこの時代を懸命に生きている少女なので、心の機微に共感できる人は沢山いるはずですし、いてほしいです。
ヒメは、悦ネエに対する寄り添い方に全てが詰まっています。チャーミングで可愛らしいけど、対照的な大人っぽさも持っていて。一歩引く時は引くし、気持ちを伝えなければいけない時はしっかり伝えているので、人との距離感がちょうど良い、温かい子だと思います。5人の中にヒメがいるからこそ、大人になってもずっと仲良しでいられそう。
ダッコは裏表がない存在として登場してくれて、本当に見たままです。決してウソを言わないところが格好良い。逆にお部屋は可愛らしくて、リーが思わず「誰の部屋?」と尋ねてしまうのにはクスッとしつつ(笑)。私服も可愛いし、髪型のアレンジをいつも変えているのもお洒落だなって。
イモッチは、多角的に物事を見ている子という印象があります。リーと歩きながら話すシーンでは特にハッとさせられました。ダッコとのケンカは子供みたいになっていますけど、きっと他の同世代の子よりも色々な景色を見ているんですよね。一方で、大人っぽいことを鼻にかけたり、友達を子供扱いしたりせず、ボート部でいる時の自分、社会にいる時の自分を自然に使い分けているんじゃないでしょうか。
ーー完成した映像をご覧になった感想はいかがですか?
高橋:波のうねりやボートに乗った時の気持ち良さなど、CGアニメならではの表現が伝わってくるんだろうなと思っていましたが、実際に見たらその通りだったというか。キャラクターの瞳の描写も美しくて、見れば見るほど「CGでお届けできて良かった……!」と喜びを噛み締めていました。
歩く時の歩幅、周囲に映っているキャラクターがどんな気持ちで佇んでいるのかまで、映像から伝わってくるんです。声を当てていないシーンでも呼吸がしやすくて、フィルムの中でリーとして生きられたような感覚がありました。
ーー舞台となっている愛媛県・松山の景色や光景も隅々まで美しいですね。
高橋:映画の中で登場するロケーションも、実際にある場所だと伺っています。実際に愛媛に住んでいる方から「あそこに行ったことがある」という声をいただく度、驚くと同時に「良い青春を過ごしていますね!」と勝手に思っていました(笑)。あんなに素敵な場所で、高校時代を過ごせるなんて羨ましいなって。
天ちゃん(雨宮天さん)がこの映画のお仕事で松山に行って、「ここを見てきたよ」という話をしてくれて。みっく(伊藤美来さん)とも「みんなで松山行きたい」と言っていて、スケジュールを合わせるのは難しいかもしれませんが、いつか実現したいですね。
「みんなが楽しく笑顔でやれるなら、私はどこでもいいんです」
ーーリーを演じる中で、ご自身の高校時代を思い出すことも?
高橋:そうですね。私もやりたいことを見つけたら、すぐに行動するタイプでした。男子が苦手だから「二宮くん(CV.江口拓也)に話に行くのは……」とモヤモヤしつつ、諦めきれないから動きたいといった気持ちもよく分かります。私は学生時代、放送部ともうひとつの部活を兼部していたのですが、合宿の企画書を作って顧問を説得したり、山に向かって発声練習をしたり……思い出しますね、青春を。
私、部活と文化祭が本当に大好きだったんですよ。みんなと一緒に何かをすることにトキメキを感じるタイプだったので、リーが五人の競技を選んだ気持ちもなんかわかるなあって。声優のお仕事もみんなで作り上げていくものなので、毎日楽しいですね。
ーーちなみに、兼部していた別の部活というのは?
高橋:ギター部という名前だったのですが、ドラマーの子もいたので「あれは軽音楽部だった」と今でも思っています(笑)。
ーー(笑)。もしご自身がボート競技をするとしたら、バウ、ミドルクルー、ストローク、コックスなどの中で、どれがやりたいと思いますか?
高橋:みんなで何かを選ぶ時、実は「余ったところがいい」とこっそり思っちゃうタイプでして。だからまずは、みんなのやりたいポジションを知りたいです。
ーー雨宮さんは悦ネエと同じストローク、伊藤さんは3番、鬼頭さんはコックス、長谷川さんはバウが良いと仰っていました。
高橋:それなら2番一択ですね! 例えば、違うケーキが5種類並んでいたら最後に選びたいんです。食べたいものを食べられない人が居ると、ケーキのおいしさよりも不安が勝ってしまって、笑顔で食べられなくて。
極端な話をすれば、みんなが楽しく笑顔でやれるなら、私はどこでもいいんです。もしかしたらそこはリーも同じなんじゃないかな。
ーー最後に、映画を楽しみにしている読者に向けて、本作の見どころをお聞かせください。
高橋:リーはボート部を復活させる“言い出しっぺ”で、もし『ボート部っ!』という四コマ漫画があれば主人公になるかもしれないくらい(笑)、物語が動き出すきっかけを担っています。ただ、この作品の最大の魅力は「悦ネエが主人公」というところじゃないでしょうか。彼女の心の機微を真っすぐに受け取れる描写になっているので、みなさんに何かを感じとっていただけたら嬉しいです。
[取材・文/永井和幸 撮影/MoA]
高橋李依さん
【ヘアメイク】
Yuu.(Leading)
【スタイリスト】
網野正和
『がんばっていきまっしょい』作品情報
2024年10月25日(金)全国公開!
あらすじ
どこまでも広がる青い空と青い海。この日、三津東高校クラスマッチのボートレースが開催されていた。
漕ぎ手を務めていた2年の村上悦子は、負けを確信し漕ぐのをやめる。やりたいことも見つからない。
家と学校を往復するつまらない毎日だ。
ある日、悦子のクラスに転校生がやってきた。クラスマッチを浜辺から見ていたという梨衣奈という名の転校生は、ボート部は廃部にも関わらず「ボート部に入りたい!」と初対面の悦子に熱弁を振るう。悦子と幼なじみの姫が力添えをしてボート部を復活させると、同学年の妙子、真優美も入部。名義貸しのつもりだった悦子もボートをやることになり、初心者5人の猛練習が始まった。
大会予選で惨敗し、自分たちのレベルを知ったボート部は、次こそは勝とうと気持ちをひとつにする。バラバラだった悦子たち5人の、濃くて、熱い毎日が、今走り出す―。
この秋、日本中が胸を熱くする青春アニメーション映画の新たな名作が誕生する。
キャスト
(C)がんばっていきまっしょい製作委員会