『がんばっていきまっしょい』兵頭妙子役・鬼頭明里さん&井本真優美役・長谷川育美さんインタビュー|喧嘩するほど仲良しなダッコとイモッチの関係性を大切に演じたい
ダッコとイモッチの関係性と空気感を大切に
ーー収録の際に意識した点をお聞かせください。
鬼頭:初めて台本を読んだ時、ダッコの口調の荒々しさが想像以上で、「どこまでやっていいんだろう?」と戸惑っていたんです。ただ、現場で「強めに出していただいて大丈夫です」と言っていただけたので、そこからはのびのび演じられた気がします。
長谷川:基本的にダッコからイモッチに仕掛けてくれるので、そのテンション感にどう乗っていくか、返していくかを大切にしようと思いました。ダッコとの掛け合いでは勢いを大事にしつつ、普段のイモッチのしっかりした部分は繊細に演じたいなと。
ーーイモッチはお嬢様で、実際の年齢以上に大人っぽく見えますよね。
長谷川:家のことを考えて立ち回っている子なので、普通の高校生よりも大人びているんです。そこは彼女のキャラクター性として、とても大事なところだと思っています。何かに気を付けるというよりも、ダッコとイモッチの関係性、その場の空気感や臨場感を大切に演じさせていただきました。
ーーお互いのキャラクターの印象についてもお聞かせください。
長谷川:ダッコが初登場するシーンでは、「すごい子出てきたな!」感がありますけど(笑)。彼女もしっかり周りが見えていて、イモッチがどんな子なのかも理解しているので、お互いのことを想う気持ちはあると思います。また実際に掛け合いができたことで、ダッコに対する愛着も湧いてきたので、一緒に収録できてよかったです。
鬼頭:イモッチは尖った性格のダッコとテンポ良く会話をしてくれるので、仲良し感があるんですよね。一瞬「ケンカ?」と思ってしまいますが、あまりにも噛み合い過ぎて、逆に仲の良さを感じさせてくれるんです。イモッチはお嬢様として振る舞いながらも、そんな掛け合いをしているので、きっと器用だと思うし、無邪気で可愛い子という印象があります。
ーーボート部のメンバーである悦子、姫、梨衣奈の印象についても伺えますか。
長谷川:悦ネエ(悦子)は、この年代の思春期らしさが強く出ているキャラクターじゃないでしょうか。一番共感できるキャラクターだと思うので、悦ネエに自分を重ねる方も多いんじゃないかなと。
鬼頭:悦ネエは周りに恵まれていて、支えられている子だと思います。私自身も共感できる部分が多かったですし、共感できるからこそ、自分の過去の経験を思い出すこともありました。
長谷川:ヒメは逆にあまり自我が見えないタイプだよね。
鬼頭:彼女の自我は「悦ネエが大好き。一緒にいたい」なのかも。
長谷川:その一点を貫いているのが面白いです。他の4人とは違う行動理念を持っていて、ボート部の中でも特殊な立ち位置という気がしています。
鬼頭:こんな友達が欲しいです(笑)。いつも一緒にいてくれて、気遣ってくれて、しかも可愛い。
長谷川:悦ネエが一人でいたら怖そうだけど、ヒメが横にいることによって、「ヒメと仲良しなら」と思わせる力を持っていると思います。
ーー雨宮さんと伊藤さんは「嫁にほしい」と言っていました(笑)。
鬼頭&長谷川:確かに!(笑)
長谷川:ポジション的には、リーも不思議な子だなと。唯一の転校生ということもあり、独特な空気感を持っているというか。リーがいなければ、この物語は始まらないので、起爆剤的な存在でもあると思います。
鬼頭:一見、普通の女の子っぽい雰囲気ですけど、自分で行動を起こしたり、感情表現も豊かだったり、猪突猛進型なんですよね。悦ネエとは違うベクトルで普通の女の子という感じがします。
友情や頑張ることの素晴らしさを再確認させてくれる
ーー映像をご覧になった感想をお聞かせください。
鬼頭:とっても美しかったです。水の表現が特に好きで、CGアニメで良かったなと思う一番のポイントでした。色彩も美しくて、「この水の上でボートを漕ぎたい」と思ってしまう程に綺麗でした。
長谷川:映像はもちろん、音楽が加わることによって、より青春らしさを感じられた気がします。アフレコの段階では、音楽がまだ入っていなかったので、試写会で観た時に「こんな爽やかな仕上がりに!」と驚きました。原作の素晴らしさにアニメならではの良さが加わって、魅力的な映画になっていると思います。
ーーちなみに、ご自身でボート競技をするとしたら、バウ、ミドルクルー、ストローク、コックスの中で、どれが一番やりたいですか?
鬼頭:コックスでしょうか。オールも漕がなくていいですし(笑)。声優のお仕事も声を出すのが楽しいというところから始まっているので、水の上から声を届けるのも面白そうだなって。
ーー伊藤さんはコックスについて、「叫んでいるのを近くで見られていると思うと少し恥ずかしい」と仰っていました。
鬼頭:言われてみれば、確かに(笑)。先頭で叫ばなくちゃいけないから。
長谷川:リズム感も大事ですし、誰よりも冷静でいる必要がありますよね。声が大きいから「私もコックスかな」と一瞬思ったけど、やっぱり向いていないかもしれないです(笑)。どちらかと言えば、イモッチが担当しているバウが良いかも。一番端でも励ましの声を届けられると思うので、いけそうな気がしています。
鬼頭:ダッコが担当する2番はパワーが必要だから無理かもしれないです。私自身は、あまり体力がないので(笑)。
ーー(笑)。それでは最後に、この作品全体の見どころと演じるキャラクターの注目ポイントをお聞かせください。
鬼頭:今までボート競技に触れていなかった方でも、女の子の眩しくて繊細な青春が詰まった映画なので、楽しんでいただけるはずです。目標に向かって頑張るみんなの姿を見て、「仲間って良いな」というか、夢や目標に向かって頑張ることの素敵さを再確認できる作品になっています。
ダッコとイモッチの掛け合いは見ているだけで楽しいですし、実は理解し合っている部分も感じられるので、二人の掛け合いを温かく見守っていただけたら嬉しいです。その中で、荒々しいダッコの意外な一面が見える場面もあると思うのでお楽しみに!
長谷川:個人的には、悦ネエの心の揺れ動きがこの作品の一番好きなところです。学校は集団生活なので、みんな一緒に同じことをしていく中で、周りの人との違いを感じるとか。特に学生の方には共感できる方も多いんじゃないでしょうか。
そういった息苦しさや新しい出会い、誰かと一緒に何かをする楽しさ。大人になった今思うと、学校は色々なものが詰まった尊い時間だったんだなと。モヤモヤした気持ちさえもこの時にしか持てないし、ぶつかり合ったとしてもそれがきっかけで仲良くなったり、絆に繋がったりするということが描かれています。学生の方に「学校も悪くないかも」と思っていただけたら嬉しいです。
イモッチとしての見どころは、鬼頭さんが仰ったように、ダッコとの掛け合いに尽きます!
ふたりが小学生のようにケンカすることで、シリアスな空気が明るく変わるのでシンプルに楽しんでいただければと。それと同時に、時折見せるイモッチの大人っぽい部分とのギャップも楽しんでください!
[取材・文/永井和幸 撮影/MoA]
鬼頭明里さん
【ヘアメイク】
坂本由梨奈(Leading)
【スタイリスト】
原田幸枝
長谷川育美さん
【ヘアメイク】
松村南奈(B★side)
【スタイリスト】
久芳俊夫
『がんばっていきまっしょい』作品情報
2024年10月25日(金)全国公開!
あらすじ
どこまでも広がる青い空と青い海。この日、三津東高校クラスマッチのボートレースが開催されていた。
漕ぎ手を務めていた2年の村上悦子は、負けを確信し漕ぐのをやめる。やりたいことも見つからない。
家と学校を往復するつまらない毎日だ。
ある日、悦子のクラスに転校生がやってきた。クラスマッチを浜辺から見ていたという梨衣奈という名の転校生は、ボート部は廃部にも関わらず「ボート部に入りたい!」と初対面の悦子に熱弁を振るう。悦子と幼なじみの姫が力添えをしてボート部を復活させると、同学年の妙子、真優美も入部。名義貸しのつもりだった悦子もボートをやることになり、初心者5人の猛練習が始まった。
大会予選で惨敗し、自分たちのレベルを知ったボート部は、次こそは勝とうと気持ちをひとつにする。バラバラだった悦子たち5人の、濃くて、熱い毎日が、今走り出す―。
この秋、日本中が胸を熱くする青春アニメーション映画の新たな名作が誕生する。
キャスト
(C)がんばっていきまっしょい製作委員会