『星降る王国のニナ』リレーインタビュー第1回:ニナ役 田中美海さん&アズール役 梅原裕一郎さん|ニナの尊い決意――これも一つの愛の形なんです!
10月から放送がスタートしたTVアニメ『星降る王国のニナ』。本作は、フォルトナ国城下で孤児として暮らしていたニナが、亡き王女と同じ色の瞳を持っていたがために、第二王子アズールに見出され、身代わりの王女として生きていくというストーリー。
ニナは教育係でもあるアズールとぶつかることもしばしばでしたが、二人は困難を乗り越え次第に心を通わせていきます。しかし、ニナはアズールを大切に思うからこそ、大国ガルガダの王子との結婚を決意。その決断がもたらすものとは――。
ますます目が離せない『星降る王国のニナ』を盛り上げるリレーインタビュー企画がスタート! 第1回は、ニナ役の田中美海さんとアズール役の梅原裕一郎さんに、これまでの物語を振り返っていただきました。
想定外の大胆な行動にアズールが心から笑う姿もよかったです
──第4話では、ついにニナが嫁ぎ先であるガルガダへと旅立ちましたね。
田中美海さん(以下、田中):アズールは、ニナがフォルトナにいられるように手配すると言ってくれましたが、それだとアズールの命が危ないままなんです。王女を演じる自分にしか解決できないという、ニナの愛ある決断だったなと思います。
梅原裕一郎さん(以下、梅原):ニナと関わりを持つことで、アズール本来の人間性を取り戻した矢先の出来事だったので、アズールとしてはとてもつらかったでしょうね。ニナと一緒に暮らすこと、国を守ること……ようやく自分の意思で何かをなそうと決めた途端、ニナがいなくなってしまったわけですから。のちのちニナの真意を理解できるようになるとは思いますが、現時点では自分のもとを離れた悲しさのほうが強いのかなと思います。
田中:声を荒げているのを見て、本当にニナのことが好きなんだなと思いました。
梅原:珍しく焦っていましたよね。
田中:もし私が10代だったら、私も「なんで行くんだよ、ニナ!」ってやきもきしたと思うんです(笑)。でも、大人になってから見ると、アズールのために“アリシャ”として生きようするニナの決意がすごく尊いものに見えて……。これも一つの愛の形なんだなと受け止めました。
──ニナは第一夜に比べて、心の持ちようが大きく変化しましたね。
田中:ニナの意思でアリシャの身代わりになったわけではないので、最初は自分の言葉に責任感がなかったり、気持ちが浮ついていたりしたんですけど、守りたい人ができたことで内面がすごく成長しました。地位に関係なく一人の男性としてアズールを愛し、彼を守るという覚悟ができたからこそ、フォルトナ王の前で「私は正真正銘、アリシャです」と宣言できたんだと思いますし、本当の意味でニナの人生が変わったんだと思います。
王に謁見するシーンは、音響監督さんからも「確固たる思いでやってください」と言われたので、私も気合いを入れて臨みました。
──ニナはアズールのどんなところに惹かれたと思いますか?
田中:王女になって「ニナ」という存在が消えかけたときに、アズールだけは「ニナ」の存在を受け止めてくれたからだと思います。家族もいない、仲間もいないという、どうしようもない状況の中で味方になってくれて、しっかり自分のことを見てくれる人がいた。それはすごく心強いことですし、大きな救いになったと思うので、そういう部分で心が動かされたんだと思います。
──ニナは「居場所」をくれたと表現していましたね。
田中:大上皇さまに「居場所をくれた人たち」と言って、アズールも含めて星離宮のみんなを「家族」と表現したシーンが大好きなんです! 確かにアズールに人生を変えられてしまいましたけど、それを自分の意思でいい方向に変えられたニナは本当にすごいなと思います。
──梅原さんからご覧になったニナはいかがですか?
梅原:アリシャの身代わりとして自分にできることは何か、アズールのためにしてあげられることは何か、そう考えられるようになったのは大きな変化だと思います。ただ、ニナの大胆さや行動力というのは、実は最初から変わっていないんですよね。もともと身代わりの王女になりながらも、その状況を自分の力で変えていこうとする強い意思があって、それがアズールのために作用するようになっただけで、そういう意味では最初から筋を通しているんだなと感じました。
田中:その大胆さや行動力が、ニナの「巻き込む力」に繋がっているのかなと思います。人だけではなく、今度は国をも巻き込んで大きなことをなそうしているんです。しかも、本当の姫ではないのに……。その巻き込む力は、ニナの変わらない魅力だなと思います。
──では、これまでのアズールについてはいかがですか?
梅原:アズールも身代わりの第二王子として、自分の意思よりも国のための論理を重視して生きてきました。操り人形とまではいかなくても、国に身を捧げるという観点で生きてきた人間が、自分の意思をしっかり持ったニナという女性と会話していく中で、だんだんと心を取り戻していったのがここまでのお話だったのかなと思います。
田中:欲しいものなど何もないと言い切れるくらいだったのに……。
梅原:そうなんですよ。でも、ニナと出会ったことで、彼女の影響を受け、自分の意思で動かなければいけないと考えるようになったんです。もちろん国のためという考えはずっと残っているんですが、そこにニナを守りたい、ニナと一緒にいたいという個人的な意思が芽生えたのが大きな変化でした。アリシャではなく、ニナという一人の人間として向き合っているんだなと感じます。
田中:私は、アズールは本当にかっこいいなと最初から思っていました。聡明だし、第二王子という立場なのに欲もなく、淡々と仕事をこなして周囲からも尊敬されている。非の打ち所がないなって。そんな人が優しくしてくれたり、自分の存在を認めてくれたりしたら、まぁ好きになりますよね(笑)。ちょっと陰があるところも、女性としては刺さるポイントだと思います。
──ニナとアズールのやりとりで、特にキュンとしたポイントはどこでしょうか?
梅原:第一夜で、ニナが池に飛び込んで王妃の扇子を取るシーンですね。行動そのものも印象的でしたし、想定外の大胆な行動にアズールが心から笑う姿もよかったです。
田中:アズールの笑顔が素敵でした。
梅原:たぶん、ずっと王宮で暮らしていたアズールだけでは解決策が見出せなかったと思うんです。だからこそ、野生児的な本能で行動して王妃に一泡吹かせたところが、アズール的にはグッときたんだろうなと思います。
──田中さんはいかがですか?
田中:私はやっぱり第三夜ですね! アズールが大上皇さまのところにきてくれたのも嬉しかったですし、ニナへの気持ちを隠しきれなくなってキスしてしまうシーンは、もうキュンキュンしちゃいました。しかも、「夢、だ――」なんて言い訳しちゃうんですよ! 焦っているアズールがすごくかわいかったです。
梅原:いつも冷静沈着なアズールが不意にキスをしてしまうくらい、ニナへの気持ちが高まっていたのが驚きでした。きっと、そうさせるだけのニナの魅力があったんでしょうね。二人とも恋愛に関してはまだまだ未熟な感じがあって、青春だなと(笑)。
田中:「あまずっぺー!」ってなりますよね。第四夜のデートも素敵ですし、きっとこれからラブラブするんだろうなと思ったら、急なお別れ……。なかなかうまくいかないですね。
──その一件があってから、ニナに掛けるアズールの声も柔らかくなった印象を受けました。
梅原:音響監督さんからディレクションをいただいたんです。「特に二人きりのシーンは、もう心を開いて優しく声をかけてほしい」と。アズールはもうニナをアリシャではなく一人の女性として見ているので、第二王子として振る舞っているときとただ男女として向き合うときの差をつけられたらいいなと思いました。