『神之塔 -Tower of god- 工房戦』はついにクライマックスへ! “全キャラクターが爪痕を残す総力戦”にかけた市川太一さん、岡本信彦さん、内田雄馬さんの胸の内【キャストインタビュー】
放送中のTVアニメ『神之塔 -Tower of God- 工房戦』がまもなくクライマックスを迎えます。韓国発のwebtoonを原作とし、踏破すればあらゆる願いが叶うという“塔”に挑む者たちのし烈なバトルを描く群像劇『神之塔』は、2020年にTVアニメ第1期『神之塔 -Tower of God-』が放送。24年4~6月には第2期第1クール『王子の帰還』が、満を持してオンエアされました。第2期の幕を飾る第2クール『工房戦』では、主人公“二十五日の夜”(通称:夜)とその仲間たちが、強力なアイテムを勝ち取るべく、塔の30階で開催される“工房戦”の激闘に臨んでいます。
今回は、市川太一さん(ジュ・ビオレ・グレイス/夜 役)、岡本信彦さん(クン・アゲロ・アグネス役)、内田雄馬(王野成役)にインタビューを実施し、『工房戦』クライマックスの見どころや、収録の舞台裏をおうかがいしました。
怖すぎるラヘル。“演技力で殴られる”感覚とは
――『神之塔』は第1期が2020年に放送されたので、市川さんと岡本さんは4年以上関わっている作品となりました。24年放送開始の第2期から参加された内田さんも2クール目です。キャラクターとも長い付き合いになってきましたが、演じるにあたって心がけていることはありますか?
市川:夜ことジュ・ビオレ・グレイスは、第1期から第2期にかけて、大きくキャラクターが変わりました。当初の夜はまったく力をもっておらず、ラヘルを追いかけるために塔に来ましたが、周囲に支えられてようやく次の階層に上がることができる程度の弱い存在でした。
第2期第1クールの『王子の帰還』では、自分の力で何かを守れるというところまで来たので、その心持ちの差はかなり大きかったです。一方“FUG”という組織に半ば強制的に利用されており、自分の心を押し殺して組織が理想とする“ジュ・ビオレ・グレイス”を演じているので、あまり情に流されないようにするとこを意識して演じました。
第2クールの『工房戦』では、たくさんの仲間たちと心を通わせられるようになってきたので、“夜”としての言葉や、情にあつい部分を少しずつ出しています。
岡本:クン・アゲロ・アグネスは「ミステリアスでクール」というのが第一印象でしたが、非情なことを言いながらも、実は情にあついというギャップがポイントのキャラクターです。彼が気にかけるキャラクターの中でも、とりわけ夜に対しての感情が強く、第2期ではいつも“もう死んでしまったかもしれない夜”を思い出しながら行動していましたね。ラヘルとのだまし合いのようなやりとりも、夜に対する思いが根底にあって、クンの中で夜の存在がどんどん大きくなっているなと感じています。
ですから、クンの非情な部分については「そう演じようとしているのかな?」と思うことが結構あります。それがナルシズムに見えたり、カッコよく見えたりすればいいなと。計画が失敗する時もあるので、それが可愛いところです(笑)。クンにとって、ラーク・レクレイシャー(CV:三宅健太)や王野のような人たちは何をしでかすかわからない存在ですが、それさえも楽しめる余裕をもっているのかなと思います。
内田:王野は、この世界の“素直な人代表”だと考えています。思っていること、感じていることをちゃんと相手に言うキャラクターなので、見ていて気持ちがよかったですね。
『王子の帰還』の第1話で、初登場した際には「表現をもっと大きめに。とにかく勢いがほしい」というディレクションをいただいたので、ストーリー上は暗く沈みがちな重たいことが起きているのですが、王野が明るい雰囲気を呼び込んでくれる……それぐらいのパワーで演じていきました。『神之塔』は腹に一物を抱えているキャラクターが多く、「誰が塔の頂点に登るか」という蹴落とし合いが根底にある作品なので、逆に王野の泥臭さ……ストレートなところは愛すべき美点だと思います。
――これまでの『神之塔』で、特にお気に入りのシーンはありますか?
岡本:第2期での、まったく悪びれず笑顔で被害者を演じるラヘルが怖すぎます。演じているのが早見沙織さんだからこそ、信じてしまいたくなる説得力も相まって……。その後の悪い高笑いも含めて、“演技力で殴られる”みたいな感じが、とても印象に残っています。
別録りではなく2人で収録できたことも大きいです。しかも、本番では「テストより大きめのお芝居をください」というディレクションが早見さんに入ったので、より強さが増しました。底が知れなさすぎるので「(ラヘルを)早く殺したほうがいいぞ」と思いましたね(笑)。
――ラヘルの非情な一面を、キャストのみなさんは最初から知っていたのでしょうか?
岡本:はい。第1期の最初から知っていて、早見さんもそれを踏まえてお芝居をされていました。なので、夜の目線からだとすごく幸せでキラキラしているシーンが、後々すべて反転していくのが本当に怖かったです。『神之塔』で一番人間的に怖い部分をさらけ出してるのはラヘルかなと思います。エディン・ダン(CV:林勇)に対する仕打ちも、むごすぎて……。
でも、演じているのが早見さんですから、声だけなら「ありがとうございます」みたいな(笑)。ラヘルの声には、どんなに残酷なことをしていても「何か理由があるんじゃないか?」と思わされてしまう魔力がある。本来ならば、クンが早々に始末してしまってもおかしくないと思うんですけどね。
内田:第2期のスタート時点では登場キャラクターが一新されました。夜もビオレとして初登場したわけですが、最初に組んだチームメンバーとのシーンが心に残っています。寄せ集めだったチームに、次第に結束が生まれてくる。そして離れ離れになっても、なんとなくチームの絆が残っているというのが素敵だなと。
ビオレが王野と2人で会話をするシーンあたり(「信じられる部屋」のあと)から、ちょっとずつチームがまとまってきて、約束を交わして、というくだりがすごく好きでした。
市川:強そうな人がそんなに多くないチームなんだよね(笑)。
内田:マナ(CV:宮下早紀)、カナ(CV:嶋村侑)、ブリンス(CV:河西健吾)はもちろん、ホーン・アークラプター(CV:白石兼斗)もすごくいいやつですが強敵も多いので……。戦闘面では虎助(CV:松田健一郎)が頼りになりますね。第4話はニアが殺されるところから始まるので「重たいな、この作品……」と思っていたのですが、コメディシーンなど楽しそうなところは思いっきりやってくださいということだったので、そういう意味でも愉快な仲間たちに救われました(笑)。
市川:第1期、第2期ともに夜(ビオレ)が高いところから落とされるシーンがあります。第1期だとラストシーン、第2期では後半になるのですが、その対比がストーリーを象徴しているようで印象的です。落とされた時に見える景色がかなり違うので、そこを比較して見てもらいたいです。個人的にはとてもエモーショナルだなと感じたシーンなので、ぜひ注目していただけたらうれしいです。